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テレビ・スタンド

---------引用:高野光平(茨城大学講師)氏作成のサイト「テレビCM史研究拠点」
http://www002.upp.so-net.ne.jp/TVCM_archeology/index.html
テレビ月評・白井・アレン戦の人気  土方正巳(人形劇団プーク創立メンバー、元東京新聞編集局長)(『電通月報』1953年12月号、p.35.)
テレビジョンの本放送が始まって、もう十ヵ月になる。初めのうちの物珍しさは薄らぎ、気がついてみると、一日中受像機のダイアルに手を触れないこともよくある。(中略)ついスヰッチを入れない日もある訳だが、スポーツ放送だけは別である。
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スポーツ放送のうち、最も人気のあったのは、何といっても10月27日夜後楽園で挙行された白井義男対テリー・アレンの世界選手権ボクシング試合だった。この夜どこのテレビの前も黒山のような人だかり。この実況放送を独占した日本テレビ放送網の調べによると、都内と近県に特設した五十余ヶ所のテレビ・スタンドの前はどこも、押し寄せたファンがひしめき合い、これにラジオ屋、喫茶店、家庭の受像機の前に群がった聴視者を合計すれば、四十五万以上になるという、待頭受像機28ヶ所を実地に数えて歩いた結果は次の通り─

銀座日本堂(600)     綿糸町江東楽天地(2000)
エビス須山百貨店前(1800)     大井町金星銀星横(2400) 
朝日新聞社前(2000)      毎日新聞社前(800)
読売新聞社前(1000)      京成上野駅内(1300)
京成日暮里駅(600)      八重洲口名店街(1700)
浅草観音堂横(1000)     新宿サービスセンター(1700)
日比谷公園内(500)      テレビカー(澁谷駅裏)(1000)
水天宮境内(900)        巣鴨とげぬき地蔵(600)
神楽坂毘沙門天内(300)  戸山アパート内(300)
五反田紅谷喫茶店前(200)   京浜品川駅内(1200)
京浜横浜駅内(800)       京浜横須賀中央駅内(1000)
京浜川崎駅内(1100)           東武池袋駅内(700)
東武浅草駅内(700)           逗子駅前(500)
佐野駅前(2000)         新宿山之手証券前(800)

車道にまではみ出して群集の懐中をねらってスリが出没、(中略)このテレビ放送が、どんなにファンを熱狂させたかを示す実例が、いろいろ語られている。
今まで民間放送にメイン・イヴェントを提供していたアサヒ・ビールがテレビへ乗替えたが、この試合には打ってつけのスポンサーである。(これに引代へラジオ東京(注:現在のTBSラジオ)は中島征露丸(注:現在の大幸薬品のブランド・・正露丸)がついたが、勇壮なボクシングに胃の薬ではどうにもシックリしない)。日英両国々歌の前に軍艦マーチが吹奏されたのは驚かされたが、試合の始まる直前「白井・アレン両選手の健闘を祈って乾杯しましょう─あなたはビルゼル風のビール、私はバヤリーズ・オレンジ」というコマーシャル・メッセージは気が利いていた。
試合そのものはクリンチばかり多く、期待はずれの凡戦に終始した。(中略)白井の判定勝ちときまって、観戦者が乾杯するところを見せ「これこそアサヒ・ビールの提供です」と言ったのは、最後の締めくくりとして効果百パーセントだった。
-------------------終了
この当時のTVはむちゃくちゃ高く、概してこういう街頭テレビということが多かったようです。あるいみちょっと前のCS放送に近いかな。(朝日新聞社前・毎日新聞社前・読売新聞社前となっているのは、当時日本テレビは3社の共同出資だから)但し、この調査に示すように2000人(マックス大井町金星銀星横2400人・・・これどこなんでしょうね。)も集まって小さいブラウン管のTVを見て本当に画面が見えたのかなあというのは不思議ですね。我が家にはいまだ現役の白黒TVがありますが(30年ものです。当時としても最終期の製品でそのころでもゼネラル製しかなかったです。ちなみにこれが残っていたのは生活保護世帯は白黒テレビしか購入・所有できないという規定があったからといわれている)コントラストもそれ以上に不鮮明ですから、ほんとうに見えたのかなと疑問に思います。とはいえ世の中にはパブリックビューイングというものがあり最近はそれの人気が高いということであるから、実態はこれに近いものであろう。
さて、駅に設置したものと言うのは
京成上野駅・京成日暮里駅・京浜品川駅・京浜横浜駅・京浜横須賀中央駅・京浜川崎駅・東武池袋駅・東武浅草駅・(国鉄)逗子駅前・(国鉄・東武)佐野駅前
ということ。実は佐野駅だけが意外なところである。(しかも2000人と言うのもすごい)関東広域圏なのだが、埼玉県・千葉県がこの統計ではないんですね。(勿論駅近くというのは他にもありますし、喫茶店・理髪店などで近所がと言うのがありなんでしょうが。)
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さて、品がいいというのはこれであろう。
試合の始まる直前の
白井・アレン両選手の健闘を祈って乾杯しましょう─あなたはビルゼル風のビール、私はバヤリーズ・オレンジ」というコマーシャル・メッセージ、そして、判定勝ち後観戦者が乾杯するところを見せ「これこそアサヒ・ビールの提供です
というものである。じつはビルセル風ビールと言うのはどういうものなのかわたしゃ一向に判らないのであるが、ドイツビールなのですかね。TVを買える人・TVを見ることの出来る都会生活者が対象になるのだろうが、こういう品性を高く持った広告と言うのが、私にとっては改めて新鮮に写る。大衆がわかりえないという文化人のゴーマンな側面を少し味わいながら。

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コメント

こんばんは
>ビルゼル風のビール
おそらく「ピルスナー」のことではないかと想像します。
それはそうと昔のテレビCMはずいぶん上品だったんですね。

投稿: kunihiko_ouchi | 2008年7月19日 (土曜日) 00時08分

>現在、世界中で醸造されているビールの大半はピルスナースタイルである。日本でビールといえばピルスナースタイルのビールを指すことが大半である。
・・・そうかあ、アサヒ・ビールも当然ピルスナータイプですからね。

投稿: デハボ1000 | 2008年7月19日 (土曜日) 00時23分

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