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単位系

SI単位の功罪 2008/03/21 18:29  高野 敦=日経ものづくり
先日,ある独立行政法人の技術発表会に行ったところ,思いがけず「単位」について考えさせられることになった。その発表会とは,構造部材の機械力学的な試験法に関するものだが,そこでデモンストレーション用の表示機器に使われていた単位が「重量キログラム(kgf)」だったのである。
 筆者に同行した記者が冗談めかして,先方の担当者に「半官半民の機関がSIじゃない単位なんて使って大丈夫なんですか」と聞いたところ,担当者は苦笑していた。そんなことを聞かれるとは思いもよらなかったのだろう。
 『日経ものづくり』では原則としてSI単位を使っている。従って,力は「ニュートン(N)」,応力・圧力は「パスカル(Pa)」。kgfやkgf/mm2は,これらの単位に変換する。誤りがないように神経を使う作業の一つだ。
(ちなみに,中学校の物理理科第1分野では2002年度から,1Nを「100gの物体に働く(およその)重力」として教えるようになったらしい。円周率ではないが,新たな問題の種にならないとよいが…。)
 筆者はすべてSI単位で教育を受けたこともあり,無意識にNやPaを使うのだが,これが経験豊富な記者になると話は違うらしい。例えばNなどは「値を見ても,それがどの程度の量なのかをイメージしにくい」ようである。
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 これは,SIに染まっている筆者にも分かる話で,例えば「ジュール(J)」は全般的に使いやすい単位だと思っているが,熱量に限れば「カロリー(cal)」に(イメージしやすさの点で)かなわないのではないか。kgfとNの関係も同様である。
 「どの程度の量なのかをイメージしやすい」ことは,設計時などにおいて非常に重要なことだろう。極端な話,「この場所にこれだけの力が掛かったら危ない」といったようなイメージが,kgfでは湧くけど,Nでは湧かないかもしれないのである。単位を変換すれば済む話と思うかもしれないが,たかが変換されど変換,意外な障壁となっている可能性がある。
 「設計のノウハウ」は,どのような単位を使っているかということと切り離せないだろう。今後ますます,筆者のようにすべてSI単位で教育を受けた人間が,メーカーの技術者として配属されることになる。そのときに単位をどう扱うかは,意外と重要なテーマになるのではないだろうか。
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まあ、このあたりで困ることはよくいわれることなのだが、感覚と実態が逢わないということである。工業力学の著名なテキストは最近までインチ・ポンドで悉く計算式や演習問題を出していた。名著だからこそそうだった。これはどうしてかと言うと、

(1)国際的商品にはアメリカ・イギリスの製品が多く、このノウハウを知る必要がある。
(2)従ってそのような商品の対抗を行う以上互換性を持った製品と成るであろう。

ということなのだが、現実にアメリカでもどうなっているかというと実質的にはSI系単位に移行していることがおおいようだ。
以前、アメリカ製の機械を導入検討することになり、一緒に外形図を求めたところ、青焼きの図面が同梱されてきた。で、取り付けネジなどはメートル系ネジを用いており「ユニファイネジを使われてもこまるもんなあ」と納得していたが、取り付け寸法がインチ表示であることがわかった。但しなんかその表示がおかしい。微妙に半端な値になっている。まあ、納入品検査をしなければならないので、mmに換算して見ると・・・・要するにMKSでどんぴしゃなのである。後に、設計技術者にそれとなく聞いて見ると、最近は輸出対応を考える製品は設計時には一部の寸法(軸の嵌めあいなど)以外はSI系で設計検討するという。但し、工作時の計測や工程管理、取引証明などはインチ系で全てシステムが構築されているため、図面上はそのようにはできないそうだ。
私は、過渡時期の教育であるため、Nなどは「値を見ても,それがどの程度の量なのかをイメージしにくい」タイプである。よくあるのは、kgfが判りにくいということ。(しかもカタログ等では、kgfとkgを混在して書いてあったりする)圧力でも旧来のkgf/cm2とMPaでは約10倍の違いがあるため判りにくいことに成る。しかもこの表記がPa単位で書かれるもの(鉄道車両は1000Pa単位で記載)となると、これは間違えるという意見があってしかるべきかも知れない。
とはいえ、この色はまだら模様である。尺貫法をいま使う和装店は少なくなってるようだが、土地の取引は3.3m2ごとで判断する。一部の取引単位では匁は国際的な指標になっていて例外的扱いになっていたりする。要するに単位系は文化の成り立ちに密着しているのであるから、難しい。要するにこのように設計技術者の世代交代を待つ間は、数表で比べるか、内部資料としては併記しかないのかもしれない。元々そんなことを考えて単位系は積み上げていないのだから。そう、積み上げ算で成り立つのが計量体系もある。ことを性急に考える必要があるからあたふたしてるのだろうと思う。

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コメント

こんばんは。自動車カタログのエンジン出力やトルクの単位、いつまで併記を続けるのかこっそり興味を持っています。

投稿: niwatadumi | 2008年7月17日 (木曜日) 21時28分

>自動車カタログのエンジン出力やトルクの単位
法制的問題は、すでに回避されているはずですからねえ・・・・
なおたまにSI単位系表記を義務としているものでも対応法規がMKS系のため、事実上併記することになる場合がありますが。もうその猶予期間は過ぎたはずですし。

投稿: デハボ1000 | 2008年7月17日 (木曜日) 23時40分

>自動車カタログのエンジン出力やトルクの単位
クルマを売る側からみれば大きなセールスポイントのひとつですからねぇ。やっぱりまだまだ当分は「●●馬力です」「■■キロ出てます」でないとユーザーに訴求できないでしょう。
メーカー側のホンネとしては栄養価のカロリーのような例外にして欲しかった、というところではないでしょうか?どのみち本来の測定上の性能とカタログ性能はあんまり関係なかったりするわけですし(笑)。

投稿: TX650 | 2008年7月18日 (金曜日) 12時18分

>クルマを売る側からみれば大きなセールスポイントのひとつですからねぇ。
本当は、経産省が統制をかけるのが従来の手法ですし、工業会に指導がかかり修正される事例があります。くじら尺を製造した業者の逮捕事例もある。つまり製造業者に風習を変える指導責務があるということになります。とはいえ、国際的な例外(匁・カラットもそう)もあり、強制的な指導がしにくいが。
もっとも「本来の測定上の性能とカタログ性能」の差異があるのも事実ですからね・・・
(PS)
1999年に、1HP=735.5Wとした。附則にて、内燃機関・外燃機関の工率の計量に限定して「当分の間、工率の法定計量単位とみなす」として使用を認めた。本来SI組立単位であるワットを使うべきだが、馬力が広く使われており、を廃止すると混乱を招くために移行措置である。運用上エンジン出力表示にはキロワット(kW)・馬力(仏馬力)が併記される。
トルクも同じ理由で併記となってるようだ。
栄養学や生物学に関する事項の計量のみ、カロリーの使用が計量法では許容されてるが、これとて海外ではカロリーは使わない傾向にある。(除く米国(苦笑))

投稿: デハボ1000 | 2008年7月19日 (土曜日) 00時20分

まあくじら尺製造業者と自動車製造業者の政治力の、あまりにも絶望的な差、ということなのでしょうね(苦笑)。
カロリーも医療業界の意向(患者への栄養指導上の必要性の主張)があったと聞いていますし。

投稿: TX650 | 2008年7月19日 (土曜日) 13時56分

>くじら尺製造業者と自動車製造業者の政治力
というより、和服製造業者と自動車製造業者の政治力の差でしょうな。ただ、そのことで対外的に問題となる事もある(産業機械は移行期間を+2年間設けた)、ため強い業界は事実上無制限の「当分の間」というのがはいったのではないかと。

投稿: デハボ1000 | 2008年7月19日 (土曜日) 22時36分

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