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コンサルタントに向かない人(3/3)

(承前)
経営系のコンサルさんとはあまり仕事の上で関わらないが、共通するところは結構ある。

さて、ではその独創性というものを現役のコンサル(醸造業・販売業経営)かつOEM特化型の酒造業の社長(6代目当主)がこう見ているという事例。なんか皮相的にみるということになりますが、珍しい視点です。
吉村酒造(株)社長の講演会http://sake.taihaku.biz/conversation/yoshimura.php2003年4月
--------------引用(抄)
酒蔵の寄生虫産業の話
企業が倒産する直前直後というのは、ある一定のエネルギーを社外に放出します。そこに群がる産業というのは実際に存在しますね。極端な例が「事件屋」とか「整理屋」と称する人々です。
ところが、(日本酒業界のように縮小市場で)「ダメな業界」にも群がってくる方々がいらっしゃいます。一番多いのが「コンサルタント」です。まずダイレクトメールで「このままだとダメだ!日本酒業界!」とかセンセーショナルな見出しをつけて送ってきます。中を開けると「酒蔵再生のための5つの法則」とか「10個の成功事例」とか「これをすれば、年商倍増」とか、書いてあります。で、「詳しくはセミナーへ」と書いてある。
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冷やかし半分にセミナーに行きましたが、コンサルタント業の王道たる手法で、出席した酒蔵の社長たちに催眠術をかけます(笑) 私は類似業の会社も経営していますので、いちいち細部までは申しませんが、それは見事な手法です(笑) 単純に申し上げますと、
センセーショナルなネタで未来予測をして「驚き」を与え
その根拠となるデータを羅列し、引き付ける。
次に改善や再生のための法則を数個挙げて、戦略として述べる
このあたりで、出席した社長さんたちの目がキラキラ輝いてくる(笑)
最期に成功事例を紹介して、法則と照らし合わせ、仕上げは、シミュレーション。
これは企業セミナーの王道パターンです(笑) 興奮冷めやまぬうちに、「個別相談会」です(笑)
実際には、もっと随所に様々なテクニックがあるのですが、これは私の経営するマネジメント会社も使う手法で、企業秘密なので申し上げることは出来ませんが(笑) これにひっかかる酒蔵さんが多いのです(笑) 
あと、日本酒専門の漫画家とか、日本酒専門のイベント会社とか、日本酒専門のネーミング業とか、日本酒専門の評論家さんとか、日本酒の業界紙とか、様々な方がいらっしゃいますが、いいんですよ、いろんな人がいらっしゃって。日本は自由主義国家ですから(笑) ただ、自分の企業行動に自信を持っていれば取捨選択をすることが出来ますよね。
-----------------終了
まあ、経営系のコンサルさんに対して、「一歩ま違えば詐欺」ということは苦言として聞くと思う。但し、注意しなければならないのは、「自分の企業行動に自信を持っていれば取捨選択をすることが出来ますよね。」という部分である。実は自分の企業行動に自信を持っていいのかを整理して欲しいというニーズが、コンサルに頼む要諦なんですよね。取捨選択をすることが出来ない項目を頼むわけです。基本的知識を学習しようとしてわかれば経営者としてはコンサルは不用ともいえる。その意味では、見事に自己矛盾をこの社長さんは指摘しているという見方も成り立つと思います。このようなスタイルの中でコンサルの一般的仕様が成り立っているというのも事実です。品質担保がどこでなりたっているかという議論になるのですが。
但し例外はあって、銀行が収益性に難がある企業に融資する際に、経営コンサルをつけることを条件とすることあります。この場合は銀行の利益回収がメインですが、実はこの事例はあちこちにあります。
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以前このようなのを書いていたのだが・・・http://dehabo1000.cocolog-nifty.com/holder/2008/05/post.htmlこの本に関してこういう批評を書いてあるのを見つけた。このBLOGの筆者は鉄道に関する著書もある方のようですね。
http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20080220/1203512844
■[鉄道本書評]【11】「満員電車がなくなる日―鉄道イノベーションが日本を救う」を一応は読んでみた。
(前略)
 ホームページの別なところを見ると、小学校3~4年の頃に
* 排ガスを撒き散らし交通事故で多数の人を殺すクルマが、世の中で使われ過ぎている
* 鉄道をもっと合理的に運行すれば、はるかに便利にできる
ということを考えていたと言うからかなり早熟な方なんだろう。で、その気持ちは今でも変わらないと。ふむふむ、純粋だなあ。いろいろ理屈っぽく書いているようにも見えるけど、やっぱり、ただのマニア?
 コンサルティングという仕事のジャンルがある。特定ジャンルに関する専門知識を活かしながら、企業や組織の問題点の分析、対策を担当するグループが行う業務のことである。企業や自治体なんかでは、独自で戦略を打ち立てるだけの人材や技量に欠けている組織が多く、バブルが終わった後も、コンサルタント業の人たちが活躍する場はたくさん残っている。著者と関係のある大前研一とそのグループなんかもその一つである。
 今まで仕事や趣味、プライベートで、「コンサルタント会社社長」という方たちに何度か会ったことがある。企業経営関係の分野と都市計画の分野。この手の人たちは、

* なんか自信たっぷりなんだけど、どこか胡散臭さを漂わせている人
* 専門分野に対して純粋に思い入れているけど、役に立たなさそうな人

の2種類に分かれるんだな……というのが正直な感想。ドライさとウエットさがない交ぜになった微妙な感じがした。
 で、一番大切なのは、初心者に対する「はったり」。根拠があるのかないのかなんてどうでもいい。学者みたいな論理だった批判も、僕みたいな外野からの揶揄も不要。ただ、施策に迷っている人間に対し、「お前はこの道に進めばいい」と決めつけてくれるだけでイイ。ある種、占い師みたいな存在だよな……と思ったりもしたのだけど、それはまた別の話。
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正直言うと、社会にとって使える人というのは、以前は完全無垢な人であった。会社の意図する人物に年月をかけて育てていくのが日本では主流を占めていたわけ。ところが各社ともそんな不確定な先行投資をすると回収が不可能だし、突如やめることになると水の泡。人材を投資効率として考えると、志向性が思いっきりペイしないもののみなされるようになってきたから、最近は専門分野に対して純粋につくられた人を始めから求めていたりする。また、それを早い時点で見極めることにしないと、人材の投資が散漫になる。
近年人材がいないとか言う企業が多いが、最初から完成品を求めるようになってしまったからこそでる文句ともいえる。また学校・大学にもそのラインにそった人材を育成することまで強制する。技術系では、研究費と引き換えに「好みの(最適なではない)人材」を要求する側面もあると聞く。
この人のいうことが面白いのは、*自信たっぷりだけど、胡散臭さを漂わせ * 専門分野に思い入れるが、役に立たない という2つに分けているのですね。これが内部的にいくらかの乖離があるのです。
自信たっぷりかつ胡散臭さを感じない場合はアジテータになってしまう。それはすでに胡散臭いものになるわけで自己矛盾がある。
専門分野に思い入れをすると全体像が見えなくなるもの。全体像が見えるには専門分野を持たない包括的視野をもった人材になるが、包括的視野を育てるときには専門分野を突き詰めた経験は役に立つものだが、実践知識ということにならない。

これに入らない人間に私はあって見たい。
但し専門分野に思い入れて仕事をした人が、あるときそれを徐々に変えて政治家(自信たっぷりなんだけど、胡散臭さを漂わせている典型例)とかマネージメンターになるという姿勢の変節はあると思う。私は「「満員電車がなくなる日」の筆者」は「いい人であるから」専門分野に思い入れるが、それゆえ「役に立たない」タイプと感じた。しかも、その人が自信たっぷりだけど、胡散臭さを漂わせる小手先のテクニックを取り込むことに、絶対心中穏やかならざるのが見えてくるのに私は耐え切れなかったともいえる。
あえていうと、経営系以外の単純技術指導のところでは、両立の手法がないわけではない。例えば専門分野を教える専門的知見ということに特化する。技術の専門化兼技術指導の専門家という形もあろう。そのような方向付けをすることが必要と思うが、この仕事は地味で、労力多くて見入り低く、とかく他所に目が奪われるというのも事実のようである。問題は経営系には特に経営者の専管事項が有り、経験などを書籍で得られるわけでもなく、そのために「お前はこの道に進めばいい」と決めつけてくれる安心料を求めてることを、独断でやり易いところがある。勿論そのためにコンサルを選ぶのだから、ハッタリはそのときも「引き札」という位置付けであろう。
いまや不確実なものが多すぎる。技術も経営も政治も理論一本ではなく現実に対応するには「引き札」・・つまり「ハッタリ」の側面がある。誠実に仕事をしているだけで、変化の多い時代に対応することが出来なくなってる以上ある意味やむを得ないと思う。ありていにいうと、「占い師」もあるいみコンサルなんである。よくないことには私もごくたまに占いを頼むことはあるが、どーしても「コンサルファーム」と言う目で相手を見てしまう。
なお、このことは意外な問題を投げかけてくれる。「病院ジプシー」なんてことを言う人がいる。医師に対して自分の意図する治療を求めることである。医師が自分達に医療技術を供給する人材か、生きるうえのコンサルティングをする人材か(更には研究中心の人か)ということで、異なるのである。そうです。医師にも純技術的視点の人と、いかに理解してもらおうという人と、問題点となっている疾病の考え方を外すような持ち込み方がある。(お金儲けの是非は次元が別)ここまで考えると、同じコンサルといっても求める方向性を明確に出さないとまずいと思うし、自分が供給できる中身は何かを冷徹に値付けする必要がある。多分に弁護士・弁理士にもその問題があるのですがね。
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別に経営系の人ばかりではないのです。
アイドルタレントとして活躍していた倉田まり子さんは当時の詐欺事件である「投資ジャーナル事件」に巻き込まれあらぬことを報道されてしまい、記者会見をしても収支がつかなくなり、引退を余儀なくされた。(最近の某アナウンサーの不倫報道にもどこか近いものを感じる。こうなると主観が左右し真実かどうか、真実だとしてもそれが人倫にもとる行為なのかという議論はもう関係ないのであろう。政治とて本質は変わらない。)また、「投資ジャーナル社」自体も、投資コンサルという側面・見方もでき、投資の確実性を強く求める顧客にコンサルしてしまったが為問題になったという見方もあるらしい。この当時、投資顧問業を規制する法律は存在しなかった。大規模な投資家被害を契機に、1986年に略称「投資顧問業法」が制定され、投資助言業務を行う業者は登録制、投資一任業務を行う業者は認可制になった。ただ、その許認可後の中身と言うと・・・・だが。

さて、倉田まり子さんは本名に戻った後、秘書の仕事や専門学校での教師経験を経て、いまやカリスマ級キャリア・カウンセラーとして、大学生への就職指導、企業・自治体向け研修ビジネスを手がけている。芯が強い人なのだろう。自分に掛かった火の粉をキャリア・カウンセラーとして昇華するというのもたいしたものではある。
但し、コンサルはどこかに、自分を飾る側面がある。どこかにあだ花らしき側面があるかも。そもそも物を教えるということに対しても、公的箔付け、指標、評判(特に合格実績など数値化しやすいものがあればそれ)を求め、予想から外れると金銭的保証を求めるところがある。いや、基本的にそのような箔付け・飾り立てが実質以上に評価されるのがこの世界だろうと思う。しかも、倉田さんの仕事、「投資ジャーナル社」とおなじ広い意味ではコンサル業務。非情なものを感じる。

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