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失敗をどうリカバリするか(2/3)

(承前)

http://techon.nikkeibp.co.jp/Monozukuri/top12/
2007年4月号から2008年4月まで『日経ものづくり』に掲載した巻頭インタビュー「私が考えるものづくり」などを再編集して新たなエピソードを多く盛り込んで単行本化した『経営者12人の原点 日本、ものづくりの神髄』からの抜粋です。

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失敗は宝の山,しかしルール違反は大問題 それは最近の経営者を見ると分かりますキヤノン電子社長 酒巻 久 氏(1940年栃木県生。1967年にキヤノン入社後,研究開発部門に配属。VTRの基礎研究や複写機/ファクス/ワープロ/パソコンなどの開発に従事し,多くの基本特許を出願。1989年に取締役システム事業部長。1996年3月には常務取締役生産本部長になって,セル生産を導入し定着させる役割を担う。1999年3月から現職。)2008/04/21 13:45
 我々が最も力を入れているのは「失敗・成功事例集」の作成と、それに基づく勉強会です。この事例集には、どんな失敗でも必ず書き込む。書いてくれさえすれば、マイナス評価はしません。逆に、良い事例を書いてくれた場合は評価するというのがルールです。製造現場が一番やってはいけないことは隠し事です。マイナス評価をしないことで、隠す必要がなくなります。
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 失敗・成功事例集の中で特に重要なことは、なぜミスや失敗が起きたかという原因を解明することと、なぜそれを直属の上司が事前に見抜けなかったのかを明らかにすることです。この二つをしっかりやれば、ミスや失敗の再発を防止できます。逆に失敗事例の報告で、この二つが不十分だと書き直してもらいます。私自身が書き直しを指示します。
 そして、この事例集を基に1週間に1回程度、部署ごとに勉強会を開きます。一つの勉強会には10~20人が参加します。開発部門の勉強会は工場の事例が中心というように、他部門の失敗がなぜ起きたか、またなぜ防げなかったかを話し合います。
 失敗事例の勉強会というと、なんだか他人のアラ探しみたいな印象があるでしょうが、我々の場合は至極リラックスした雰囲気のものです。仕事ではないので飲み物やケーキなどの飲食は自由。経費は会社が負担します。あとは好きなようにやってくださいということですね。業務としての会議だと、自由な議論がなかなかできません。
――自分の失敗を自発的に申告するのはなかなか難しいのでは。
 失敗・成功事例集が軌道に乗るまでは、社員と話す機会があると必ず「失敗の事例があったら書きなさい」と語り掛けました。品質不良が出ると、「これは良い失敗事例になるから書いて。そのときには原因をしっかり究明してくださいね」と言いました。もちろん現場に出掛けていきました。雰囲気をどうやってつくるかが重要です。失敗を事例集に書いてさえくれれば、どんなミスでも許すという免罪符です。書かずに隠した場合には、逆に厳罰です。失敗というのは、必ずその前に挑戦があるわけだから不可抗力なのです。それを「勉強不足だ、準備不足だ」なんて責めてもしょうがない。それは「構いません」という風土を会社の中につくることです。
失敗から新製品が生まれたことも
 私は、「目的は原因追究である」ということ、「失敗を褒めることはあっても、責めることはない」ということを、何回も繰り返し話しました。特に「マイナス評価をしない」ということは、課長や部長が言ってもダメですね。これを納得してもらうのは経営者の責任だと思います。もともとキヤノンには、失敗をマイナスに見ない風土があります。歴代のキヤノンの社長で失敗をして社長になれなかった人はいないですし、山路敬三元社長は「私はこんな失敗をしました。そしてこう乗り越えました。それで社長になりました」と、失敗を自慢するくらいの人でした。
 失敗というのは、見方を変えると次の進歩のために必要な宝の山です。失敗を分析しないということは、宝の山を捨ててしまうことに等しい。進歩が止まってしまいますから。実際に、失敗の原因解明が新製品の開発につながったケースもあります。しかし,失敗とルール違反というのは別次元です。ここを勘違いしている人が意外に多い。失敗というのは挑戦した結果です。だから失敗は許していい。さらに言うと、褒めてもいいわけです。それを解決して乗り越えたら表彰もので、昇進に値します。しかし、ルール違反というのは厳罰です。なぜかというと、ルールはこれまでの経験などから、それを守らないと大きな問題が起こるということを明確にしたものだからです。工場でルールを守らないと、大けがをしたり、ものすごい事故を起こしたりしてしまいます。ルールがある以上、守らなければいけません。
------------中断
これを読んで、多少私も思い当たるところがあります。有る人の話にこんなことがありました。
『会社を定年などで辞めるときに、「大過なく、会社員生活をすごさせていただきました」と言うが、とんでもない。「こんなミスをしましたが、その結果こんな成果を得ました」という言葉を言えるような仕事の姿勢をして欲しい』と。(元々は本田宗一郎の言葉のようです)但し、「マイナス評価をしない」ということは、課長や部長が言ってもダメですね。これを納得してもらうのは経営者の責任」といいながら、そう運用上うまくいかないことも実際はよーくあると思います。
「ルールはこれまでの経験などから、それを守らないと大きな問題が起こるということを明確にしたもの。」ということも管理職にとってはルール破綻と失敗は見方によって思いっきり変わる側面があるようです。これは「ルールが既に実態に合わなくなっている」ことを示すのも、失敗からという側面もあるようです。そもそも「自分の失敗を自発的に申告するのは」査定が悪くなるなんて事を考えるより、全体的成果であるからあまりこだわらなかったのですが、あらぬ疑念を疑う人と、腹をくくってるなと言う人がいました。
とはいえ、私もこれを見ていてはっとしたことがあります・・・・
------------再開
 ところが、日本の常識は逆かもしれません。先日、経営者が集まった講演会で「失敗とルール」の話をしました。すると「やっと分かりました。今まで逆のことをやっていました」と言う方がいました。「失敗をしかって、ルール違反は『まあ、いいじゃないか』」だったというわけです。逆ですよ、逆。 
別の角度から見ると、守ることのできないルールは変え守ることのできないルールは変えなければいけない、ということになります。目的のないルールというのは絶対ダメ。実態に合わなくなったらすぐやめることです。
 考え抜いて作ったルールは、これを守っていれば会社に大きな損害はない、と言えるくらい重要なものです。よく、「大きいルールだったら守りますよ」という人がいるけれども、小さなルールが守れない人に大きなルールは守れないでしょう。ですから、小さなルールを新入社員の時から徹底的に教え込んでおかないと、経営者になってからルール違反をして、不祥事を起こしたりするわけですよ。最近よく見る光景ではないでしょうか。日本の製造業は、もう一度きちんと教育から始めてやり直さないと、かなり危ない。品質は、機械がつくるのではなく人間がつくるものです。大本は人間性で決まるのです。
-------------終了
じつは、「守ることのできないルールは変えなければいけない、ということになります。目的のないルールというのは絶対ダメ。実態に合わなくなったらすぐやめること」と言うことを、明確にし、ルールを変えるための実証をすること、それを明確に第三者に提示することって反例しかないんですよね。このところが非常に曖昧なところかもしれません。
「考え抜いて作ったルールは、これを守っていれば会社に大きな損害はない、と言えるくらい重要なもの」ですが、それでも考え抜いても必ず抜ける物ですし、慣例法規が変わってそのような要件が反故に成ることもよく有るのですが、そのレスポンスを実務者から挙げていくのは非常に難しいです。そこの帰結に教育が来るのは多少危険を伴う気もしますけど・・・
とはいえ、私も失敗とルール違反を混在しているところは過去にも多くあります。これは私の認識能力が甘かったのだと、ひとしきり反省させられました。
(続く)

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