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冷凍食品の周辺技術(2/2)

(承前)
食品工業というのは農学・食品加工・輸送物流というところをすべて最適化していかなければ難しい。その上に商品戦略・広報戦略も絡むからかなり想定外の技術要因がある。従って技術者個人の意見が反映し易いしノウハウを取り込むことを積極的に行うことにより企業の独自性がでる。ただこのように複雑な要因が絡んでいるため、このような技術ノウハウを製品のエンドユーザーへの価値向上につながりにくい。むしろ技術の落ち込みが顧客への価値低下につながることは他の業態以上に明確である。
このことから、食品加工分野の技術は横横断的視野を持つべきであるものの、どうしても専門分野に狭いところになりがちで有る。そのことから、技術というところより営業・管理分野に特化するところも多いようである。例えば食品包装だけでも以下の分野の専門家がいる。

(1)農学分野・内容物の保管に伴う物性把握(食味の変化など)
(2)包装部材に関する構造研究・材料開発と、インライン設備の計画・研究・評価
(2)包装の作業に関する機構開発。
(3)保管技術の開発
(4)調味材料・漬物などの保存技術を考えるための醗酵技術

但し一番問題なのはこれらを全体にバランスよく配置する技量の問題である。これらの技術はお互いの妥協点を見出さないとまず事業化にむかないし、どこのバランスをとるかと言うところがある。
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かなり前の話、職場がエビフライ工場の設備を受注した関係でお手伝いをすることになった。

冷凍テンプラを使うニーズ
(1)テンプラ油の管理が面倒で問題がある。トースターで焼くだけで食を供することが出来るようにしたい。
(2)給食などで揚げ物を供するのに使う分だけ大量に供給したい。
(3)味は程ほどで、但し食味を含めばらつきが極めて少ない安定した供給を望む。
顧客のビジネスモデル
(1)冷凍てんぷら(海老フライ・トンカツなど)の素地を解凍しながら揚げる
(2)揚げた冷凍テンプラを油きりした上再度冷凍し、客先(給食工場・食堂など)に出荷する。
(3)付随する出し類等を追加してパッケージする。(トンカツならカツどん用のダシを含ませ、ネギを煮込んでて卵とじを作って冷凍)そのための出し用の浄化水をバッチ式で大量使用するためし連続精製する。
顧客のニーズ
(1)テンプラ油は使用後再生処理(業者に依頼)するが、その容器洗浄などで出てくる水中の食用油分は河川を汚すため、生分解用の暴気システムを使用する(地元との協議の結果)
(2)テンプラを大量に作ることからミストが飛ぶ。従って人間が入っては行えず、自動機による無人作業になる。
(3)普通の自動機でテンプラを作るコンベア式では型が付くものもあるため、用途に応じ産業用ロボットで手揚げと同様なシステムを用いる。(海老フライを尾を吊るした形でフライにするなど)ロボットは熱したテンプラ油の元でつかうため、防爆構造とする。
(4)洗浄に水を使うが、水を直接かけてもかまわない防滴(耐噴流)構造とする。
(5)・・・・・・・・・・
少なくとも、この段階で「水処理」「生分解」「完全自動化」「爆発防止」「防滴(耐噴流)構造」と一般的とは言い切れない技術が付随的についてくるんです。これはほんの一例ですが、一人の技術ではなかなか全体のシステムをくみ出すのはむずかしいものです。従って専門
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また、違う面から冷凍サイクルをSEEDSから見出したのが、近畿冷熱→(分社化)→キンレイという会社。大阪瓦斯の子会社で1974年創設、1975年に冷凍食品の製造を開始。大阪瓦斯は液化天然ガス(LNG)の保管とその導出の際に生じる断熱膨張過程でガスが冷えることに悩んでいた。LNGは気体である天然ガスを-162℃以下に冷却して液体にしたもので保管は圧力下-162℃の維持が必要。更に天然ガスの液化には高圧のガス圧縮を必要とするが、保管温度が低い上、出口では断熱膨張をするのでそれを暖めなければ(大気温ぐらいにする・・レヒータという)配管など霜まみれになってしまう。というので、この冷凍能力を有効活用することを意図した経営方針で、冷凍食品を開発した。例えばキンレイの鍋焼き冷凍うどんのシリーズがそう。LNG受入れ基地の近辺には気体に戻す際の気化熱を冷熱源とする施設を設置し、エネルギーの利用効率を高めている。阪神港泉北コンビナートでは、今もキンレイの冷凍うどん製造工場や業務用冷凍庫など、大阪府立臨海スポーツセンターのスケートリンクなどが存在する。
結果的に、冷凍能力の有効活用は達成できたが、食品工場の業態が拡張し、食堂営業・食品加工はキンレイに分社(平成3年4月)この結果、徐々にガス事業との統合の意味合いが薄くなり、食品業としての業界に特化しファンドの経営にゆだねた。(参考)なお近畿冷熱社はガス事業に特化して、大阪瓦斯の子会社の株式会社リキッドガスに合併(平成3年7月)し冷凍粉砕事業はこちらで行っている。
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複合的視点というのはほんとうに必要であるが、これのみの技術活用だけで、事業化するのは多少ムリがある。しかもその人材を育てるというのは、非常にニッチな世界というのも判る。既存のスタイルにこだわらない姿勢をどう確立するかが肝要のようである。貴方にはできますか。

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