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捨てて、集中して

何気なくJAXAのHPを見ていたら・・・・人工衛星の研究者のインタビューが載っていた。
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Q. 宇宙開発における大学の役割はどのようなものだと思われますか
私たちは、大学・高専学生による手作り衛星やロケットなどの実践的な宇宙工学の技術開発や人材育成を目的に、「UNISEC(ユニセック=NPO法人大学宇宙工学コンソーシアム)」という組織を作り、私はその副理事長を前年度まで務めていました。このUNISECがやろうとしていることが、宇宙開発における大学の役割だと思います。
技術開発にはいろいろなフェーズがありますが、例えば、新しい技術の種というのは、たくさんの人が試行錯誤する中で生まれてきます。いろいろな人がいろいろなアイデアを出してやっていく中で、これは見込みがあるということに対して予算をつけて技術開発をしていく、そういう最初の芽出しのところにはたくさんの人が必要です。それはおそらくJAXAの方だけではできないと思いますから、大学にもそういうことをするチャンスを与えてほしい。チャンスをくださいというのは、研究開発費をくださいということでもあります。大きい額でなくてもよいからお金を出していただいて、大学が新しい技術の種を作っていく。それをJAXAが見ていて、「あの種いいね」と拾い上げていただき、実用化していくという形がとれたらと思います。大学にはたくさんの学生や先生がいて、たくさんのアイデアがあります。そのアイデアをうまく活かしていただきたいと思います。(中略)
例えば、大型衛星の場合は開発から打ち上げまでに10年くらいかかり、1人の人が関われる衛星は一生のうちに2機か3機です。一方私の研究室では、だいたい4年生で研究室に入ってきて、修士や博士課程が終わるまで6年間いて、その間に2機の打ち上げを経験した学生もいます。人材開発という観点からいうと、サイクルを短く、早く回すというのが非常に重要で、大学の間に2~3回衛星の打ち上げを経験した学生が実践的な宇宙開発の場に行くと、より貢献できると思います。
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Q. 今後、日本の宇宙開発を活性化するためにどうすべきだと思われますか
第一に思うのは、宇宙を本当に使いたいという人の層が弱いことです。そこを強くしないと駄目だと思います。例えば、宇宙科学の世界では、「とにかく宇宙でデータをとりたい」と熱意をもって研究している方たちがいて、そういう世界はうまくいくと思います。何故なら、限られた予算を大事に使いますし、絶対にやろうという意識が高いですからね。ところが、他の分野は、「本当に宇宙を使いたい」という熱意で動いているかというと、そうは見えません。NASAがやっているからやる、という雰囲気なんです。
まずは、「本当に宇宙をやりたい」という人がどれ位いるのか、「どういう分野で宇宙をやりたいのか」を明確にすることが必要だと思います。そのために、ユーザーコミュニティーを作るべきだと思います。例えば、制御技術や通信技術などそれぞれ学会があり、技術のコミュニティーはたくさんあります。宇宙科学の分野はコミュニティーが強いですが、他の分野はユーザーのコミュニティーがあまりありません。使う人のコミュニティーがないとどういうことが起こるかというと、例えば、最初にミッションを企画してプロジェクトを立ち上げた人が、異動で担当からはずれた場合に、その衛星を何のために利用するかが分からなくなることがあります。ですから、宇宙を利用して何をしたいのかという熱意を強くもっている人たちの主導で、ミッションやプロジェクトが興っていくような仕組みを作ることが必要だと思います。そうしない限り、お金の無駄遣いになってしまいますし、衛星を作ったけれども誰も使う人がいないという状況に陥ってしまいます。ですから、ユーザーありきのミッションというのを、しっかりやっていただきたいと思います。
また、宇宙開発におけるしっかりとしたビジョンを持ってほしいと思います。ビジョンとは何かというと、捨てることだと思います。何かを採用するのではなく、何かを捨てるというのがビジョンなんです。何かを実現するために予算を集中投入するためには、何かを捨てなければなりません。あれもこれも大事と言って何も選択しなければ、良いものがより良くはならないし、高いレベルまで達しないと思います。特に日本は宇宙予算が少ないですから、小さいNASAを作っても仕方ありません。NASAがやっている全てのことを少しずつやっても、二番手三番手で終わってしまいます。そうではなく、「これを捨てて、これに集中してやる」ということで世界に勝負していただきたいと思います。(後略)
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航空・宇宙という部門は機械工学のテリトリーだろうというと、そうではあるが、そうでもないというところもあって、概念論が少し異なる側面があるのだそうだ。というのは、航空の場合はまだ機械要素的要因が支配するテリトリーがあるが、宇宙になると既に機械要素の概念自体が、自身の運動に対する強度要件自体の差が出てくるようだ。
だからその意味で私よりは、この技術を語るべき人は世の中に一杯います。従ってそこはさっさとスルーしまして・・・あくまでこのMOT的コンセプトを、機構設計やさんの目で見ることにしましょう。

技術開発にはいろいろなフェーズがありますが、例えば、新しい技術の種というのは、たくさんの人が試行錯誤する中で生まれてきます。いろいろな人がいろいろなアイデアを出してやっていく中で、これは見込みがあるということに対して予算をつけて技術開発をしていく、そういう最初の芽出しのところにはたくさんの人が必要です。
うーむ、機械屋さんの現実を見ると、この試行錯誤のところが不足してる気がします。勿論、20年前ならこのような長期的技術経営の見かたがあったのですが、「いろいろな人がいろいろなアイデアを出してやっていく」ほど人を集めること自体の予算獲得自体が、企業のほうからも出ないし、研究施設からも出ない。結果的に少ない人材で進める結果、隘路に対する迂回(代替する製品コンセプトへの転換)や乗換え(代替する技術の置き換え)、相互乗り入れ(他の分野が持ってる技術ノウハウの相互活用)まで目が行き届かない。これは、予算獲得自体の問題という政策的議論もさることながら、それに対する費用回収能力が、技術専門官ぐらいしか想起できないし、その回収不能な可能性をリスクとして背負えないようです。
では、航空宇宙と言う面で日本が独自の絵面を書くことは出来てるのでしょうか。今のところ技術者・事業体レベルでは、出来てるともいえるんですが、予算獲得とか技術育成と言う意味で言うと、「NASAの小型版」という先行事業モデルがあるからこそ予算が付くということもあるような皮肉な意見がある気がしますね。 日本人的志向である、イノベーションが苦手、モディファイは得意という特性に依存します。人工衛星自体は日本は世界に先行できなかったが、要素技術は従来技術をブラッシュアップしているから、世界の工場になっている現実。目標が確固とあるからこそ投資(人的・能力的・金銭的・そして「旗振り行動」)が出来るという弱みが見えます。反対に、目標を作る立場になったからこそ先が作れないのが、機械分野の研究の足踏みなのかもしれないです。むしろ他の分野の要素を取り込むということで、新規技術が出来るということになってますが、それは、機械分野という枠を外すことによって成り立つ世界であって、その視点を持つことをためらってはならないことを示唆してるが、旧来実績の延長の視点では構築に限界がある気がします。
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人材開発という観点からいうと、サイクルを短く、早く回すというのが非常に重要で、大学の間に2~3回衛星の打ち上げを経験した学生が実践的な宇宙開発の場に行くと、より貢献できると思います。
いいよね、いいよね。というところ。これが許されないことになっている業界もあることに気が付いたのですよね。経営維持ということ、そして継続的社員育成には必須概念と考えてます。但し、当人が広い視野を持つ(・・というのは言い過ぎで持つような努力をする・・・)ように仕向ける必要はありますね。
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例えば、宇宙科学の世界では、「とにかく宇宙でデータをとりたい」と熱意をもって研究している方たちがいて、そういう世界はうまくいくと思います。何故なら、限られた予算を大事に使いますし、絶対にやろうという意識が高いですからね。ところが、他の分野は、「本当に宇宙を使いたい」という熱意で動いているかというと、そうは見えません。NASAがやっているからやる、という雰囲気なんです。

ああ、やっぱりその論旨にきましたか。限られた予算を大事に使う、絶対にやろうという意識は、いずれにせよ別に航空宇宙に限った問題とは思っていません。但し、ターゲットが不明確な指示だから、大事に使う予算を、集中投資するとこける・・だから色々試し集中投資が出来ないという事実が多すぎるのではないでしょうか。(というのは、今般三菱電機が携帯電話から撤退した理由は、他社に無い技術的特徴を出す技術を見出そうとしても、全てやろうとすることがことごとく他社に抑えられ、双曲線状態で開発投資が膨らみ、投資効率がもう見出せなくなったということを聞くから。三菱Grの例として、開発のとば口は他社に比べ遅いものの、そのあとの集中的投資が尋常でないという事も日ごろ聴く上に、携帯電話については自動車電話時代からという開発時期の早さがあっただけに、まさか力尽きるとは思え無かったのです。)
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それを問題として認識したところで、まず確実な解決策としては、
まずは、「本当に宇宙をやりたい」という人がどれ位いるのか、「どういう分野で宇宙をやりたいのか」を明確にすることが必要だと思います。

というのは外れてないです。そこで、この議論においてはなんとユーザーを取り込むという手法に行くのです。
使う人のコミュニティーがないとどういうことが起こるかというと、例えば、最初にミッションを企画してプロジェクトを立ち上げた人が、異動で担当からはずれた場合に、その衛星を何のために利用するかが分からなくなることがあります。ですから、宇宙を利用して何をしたいのかという熱意を強くもっている人たちの主導で、ミッションやプロジェクトが興っていくような仕組みを作ることが必要だと思います。そうしない限り、お金の無駄遣いになってしまいますし、衛星を作ったけれども誰も使う人がいないという状況に陥ってしまいます。
ええよくわかってるひとを持って来るというのは、自動車に似て、一つの剋目する意見と思います。見えないようにして、一種のマーケティングの考え方が、美味く、弁当の底のノリのように潜んでいる。恒久的な手法とはいいませんが、一つマニアを集めるという考え方は注目するべきかもしれません。(ただ冷蔵庫ファンや瞬間湯沸かし器ファンがいるかというと・・コモディティ化した製品群では難しいでしょうが、人工衛星がコモディティ化するにはまだ相当の時間がかかりそう。)とまれ、当面コモディティ化する製品ではないことを前提にすると、この言葉はガツンと効いて来ます。
宇宙開発におけるしっかりとしたビジョンを持ってほしいと思います。ビジョンとは何かというと、捨てることだと思います。何かを採用するのではなく、何かを捨てるというのがビジョンなんです。何かを実現するために予算を集中投入するためには、何かを捨てなければなりません。あれもこれも大事と言って何も選択しなければ、良いものがより良くはならないし、高いレベルまで達しないと思います。

そうかあ、当面コモディティ化しない製品群であるからこそ、捨て去るという「最適化」が出来ます。商品化という高度の付加価値付与がまだ具現化しない以上、捨て去ることは抵抗感が無いものであります。
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このように読んでしまうと、人工衛星という最先端機器に隠された特性が、じつは昭和初期の私たちの「家電」や「汎用機械」と同じ位置にあるという視点が成り立つのではないかと思っちまうのです。

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コメント

こんにちは。10年くらい前は、「航空宇宙」という言葉にあこがれのようなイメージがあり、大学の学科でも航空宇宙学科が大人気でした。最近は、これが「ロボット」になりつつありますが、上の文章の「宇宙」をすべて「ロボット」に置き換えて読むと、今後のロボット開発が進むべき方向が見えてくるような気もします。いずれも漠然としたところが多い、総合技術なので。

投稿: KADOTA | 2008年4月 3日 (木曜日) 07時54分

>上の文章の「宇宙」をすべて「ロボット」に置き換えて読むと、今後のロボット開発が進むべき方向が見えてくるような気もします。
そのまえですと、原子力なのではないかと思います。『人材開発という観点からいうと、サイクルを短く、早く回すというのが非常に重要』なのですが、それが上手く回らないというのがどこでも現実に起こりうる世界ですよね。

投稿: デハボ1000 | 2008年4月 3日 (木曜日) 08時15分

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