« 洛陽の紙価を高める(2/2) | トップページ | 人の傲慢さも感じたりする(1/5) »

旋盤加工の古典的技法

旋盤加工は加工手法の基礎の基礎だという。ボール盤加工もその気になればすることが出来る(勿論形状制限は大いにあるんですが)。問題は一般の日本の生産現場でそんな古典的な手法が成り立つかと言うところ。そこで、最近絵とき「旋盤加工」基礎のきそ を買って来て、改めて勉強中である。もうちょっと専門的な書籍を読めばいいのであるが、用途としてはこの場合は加工技術の技法集のほうがいいのである。
------------------
知人が、10年ほど前青年海外協力隊に応募し、会社の休職をへて、あるアフリカの国の工業学校(旧制中学クラス)で3年ほど数学を教えていた。(勤務先はそれまでこんな事例を想定していなかったこともありさすがに悩んだらしい。事情も事情である上、給与支給は当該時期は政府から補填と言う形で、企業にいくらか出ることもある。勤務継続と言う形で社内査定は扱うなど、内規改訂などをした。現職派遣制度(企業あるいは自治体に在籍したまま協力隊参加ができる。一般企業に勤めている場合、事前(受験前)に会社の了解を得る必要があり、これを怠ると合格したにもかかわらず派遣辞退になったり、退社をしなければ派遣を認めないなどの問題)の規定を設け、更に国際的な企業としての支援を明確にしたことらしい)
ブログランキング・にほんブログ村へ

彼はもともと数学科の高校教諭免許を持っていたが、職場では図面を書いていたり実験していた経歴もあるわけで、表向きはともかく現場サイドでは工業のことも、プロパーの教官たちから指導のアドバイスを求められている。しかし、完動状態で使える機械が旋盤とボール盤しかない。スロッターもないからキー溝もほれないわけである。これでは試作もくそもないが、それでも教えなければならないのが教育現場の現実でもある。
もちろん、国策会社などにそれなりの設備があるという形で設備が偏在してる国もあるのだが、ここはそういう団体も無いらしく、ちょっとした加工まで近隣の国に加工依頼を出すらしい。そうなると旋盤の使い方の中でも、古典的手法まで遡って「現場にあったやりかた」を考えなければならないというのが頭をよぎるということであった。そういう頭の使い方も必要である。ところがこのような加工法はいまや「伝統芸能」のように希少価値になっている。精度維持などで使用価値が薄いからでもあるが、忘却の彼方に行っている。本当は、これらの国でも小型加工機をPCと一緒に導入されるだけで(応用技法だけにとどまるようだが、それでも)結構違うのである。ところが、根本的インフラが不足してまして、
(1)基本的計測の基準や機材、校正などのシステムがない。国によっては国内に3次元測定器もないし、モノを作る最小限のインフラ(消耗部品・工具など)とて入手性が乏しい
(2)電力や燃料などのインフラも厳しいし安定供給が難しい。
(3)周りの機械などの興味はあるが、分解するだけの余剰機材がなく習得の機会が廻りに無い。
(4)国内の雇用が伴わない。
となると、さてこの人たちにどのように最低限触るスキルを持ってもらうのかということになる。
当然ながら彼らは、この国では貴重な選ばれた人材であるのだから、それなりの教育素材は必要であるのだが、人材と機材どっちが先・・となると政府間援助となると、どうも人材ということになり易いらしいのである。電燈状況が不安定で、そっちからと言うことでは予算どころにならないから、まず手ごろなメニューとしては人材をというスタイルになるんですかね。
-----------------
この人物は、派遣期間を1年延ばし(規定にこれはある)戻ってきたのであるが、元いた職場にもどってすぐ海外営業部に転勤になった。普通の会社において派遣を行う際には日本国内から知識、技能を持った人員などが抜け、派遣する者が在籍していた企業・組織において欠員が生じるため、多くの企業側が協力隊参加に積極的な姿勢を持てないでいる。かくて退職してという人がどうしても多くなるため、日本に戻って再就職をすることが、この景気では困難だということが多いらしい。そのなかで当時の勤務先が、社内規定を完全改訂して進めたのは、どうやらそのような経験がある人材はいそうでいなかったことによる深慮遠謀と囲い込み行為らしいのである。確かに現地工場のある地域や技術提携先の工場がある所は、今までも人材交流でナントカしてきたが、ものによっては輸出先(や再輸出先)で整合できず困る事も多かった。相手先会社の技術基準とか、電源状態(公称電圧と実態の電圧が異なる)などのインフラ状態検討(場合によっては、その国の状況に合わせた設計仕様の変更までする)に明確なところが見出せなかったのである。
時には国別規定の解釈で、私のところに海外から電話と言うことも多かったと記憶している。相手先の国によって代わってくる状況は逃れようがないのですよね。
要するに、一つのものを品質を確保して生産していくには気が付かないような「意識下の」インフラの存在が多いことと、それを前提でどの国も技術や生活を前提としてくみ立てていくから、国ごとの齟齬がますます広がるというのは、意識下にないといいけないかも。

|

« 洛陽の紙価を高める(2/2) | トップページ | 人の傲慢さも感じたりする(1/5) »

コメント

こんにち。この旋盤の本は絵解きシリーズのなかでも売れ筋のようです。写真入りの実技指導という点では類書の中でも一番わかりやすいと思います。確かに工業高校では旋盤は基礎のきそということでどこでも教えていますが、町工場で汎用旋盤をメインでつかっているところはありません。少なくとも、NC旋盤まで教える流れの中で、汎用旋盤を位置づけて、工業高校とは言え、量産という考え方を生徒に教えておくのも大事なことかと思っています。そうしないと、本当に将来、伝統工芸になってしまうことでしょう。

投稿: KADOTA | 2008年3月25日 (火曜日) 07時45分

>町工場で汎用旋盤をメインでつかっているところはありません。
教授内容を絞らなければならないという事情もあるのは事実だと思います。けれども旋盤を工作機械の中でどのように位置付けて行くかをストーリーの中で考えていく必要はあるかとも思います。それを考えることが切削工作機械の立場を分からせるかと思います。
今、技能五輪の課題図面を見ていますが、これを作ること自体はともかく、どのように現実の作業に生かしていくかを考える必要性がある気がします。

投稿: デハボ1000 | 2008年3月25日 (火曜日) 08時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/40521358

この記事へのトラックバック一覧です: 旋盤加工の古典的技法:

« 洛陽の紙価を高める(2/2) | トップページ | 人の傲慢さも感じたりする(1/5) »