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賢いケチ

-----引用
賢いケチ (日刊工業新聞 2008/1/22)
(前略)
スズキ式経営
「あと30センチ照明を低くしたらどうだ」と工場でも会長の鈴木修の指摘が飛ぶ。そうすれば暗くなることなく、40ワットの蛍光灯が1本減って年間1400円節約できるという。現地・現物・現実3現主義に基づく徹底した合理主義こそがスズキ式経営の真骨頂だ。
スズキの賢いケチを伝えるエピソードは枚挙にいとまがない。相良工場(静岡県牧之原市)がまだ一部しか稼働していなかったころ、草刈りの人件費を浮かすためにヤギを飼っていた話は有名。(中略)
即断即決「トップダウンはコストダウン。ボトムアップはコストアップ」が信条。トップが即断即決がするから、意思決定は中小企業並みに速い。朝令暮改は日常茶飯事だ。(中略)
鈴木が78年に社長に就任し今年でちょうど30年。就任当初3200億円だった売上高は約10倍に膨らんだが、今も「鈴木商店」であることがスズキの最大の強さ。しかしカリスマ経営者が次につなげる難しさをもっとも知るのも鈴木自身だ。ワンマン脱却「我流を捨てよ」。こう繰り返すのは自身のワンマン経営からの脱却に期待する次世代に向けたメッセージでもある。(後略)
-------終了
現地・現物・現実3現主義・・・「現・現物・現実」の3現主義というのが多いですが、まあ同意としまして、さすがに「おおきな中小企業」というだけのことはありますね。このように現場に出向き、油の臭いがすきだという経営者は、会社が大きくなれば少なくなっていくものです。
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今まで鈴木さんが文系の方とは存じませんでした。エピソードからすると余りそういうイメージが無いだけに・・・但し、現場にもぐりこんでそれを吸収していたということはかなりバイタリティーのある人だとも言えるんでしょう。

そういう意味で鈴木修さんの見方は、さすがスズキ中興の祖と言えると思っているんですが、このようにトップダウン的手法が行われる場合、果して優秀な人材が育って行くのかという問題は常に付きまとうわけ。このような経営者のタイプの場合、後継者の選定に非常に気を使っているのも事実である(身近にそういう事例があった)。特に、即断即決「トップダウンはコストダウン。ボトムアップはコストアップ」が信条。と言い切られてしまうと、これは非常に困ると思う。即断即決をしても、ボトムアップシステムだからこそ周知達成に時間がかかるということはいえるのではないか。全て上の人が決めてしまう→上の人が絶対→上の人がいうから間違いない→仕様は天から降ってくる・・・という見方をされるとこれはつらいんではないのかと思いますね。仕様条件は全て上の人が決めてくれる・・・という意識付けになったら、ある意味イノネーティブな内容は社長の肝が全て握っているという視点になる可能性があるからです。

ただ、意外となんですが、スズキの社風というのを色々な立場から聞いていると、官僚主義的でなく、部品メーカーと同じ視点で見てくれる分、非常に聡明だという話を聞くんですよね。で大概は他の某メーカと比較して語られる(爆笑)という話です。(おい)だけに、価格面でも、納期面でもごまかしが効かない代わりに、各自が親身になって技術的対応をしてくれるというのです。また、その分技術的な専門家が育ち易いのか、ある技量の方が独立したりするのに対しては非常に会社のサポートが厚いし、場数あたってるからか技術力と交渉力がある熟練技術者が、会社のサポート(たとえば、外注さんの技術サポート業務で汗を流してることで、元居た会社の信頼がアップするとか)に回っているということがあります。(反対に仕事は全般的にきついとかいう話もありますが・・・言う人のモチベーションが担保されていない以上推測になってしまいます。)
この相反する条件をどうするのか。鈴木修さん自身は多分、意図して社交的にという姿勢を身につけていることで達成していると思いますが、これは後継者の特性に依存しますから、事業継承に対しては保証されませんよね。
ところが・・・・彼自体、この問題を模索中です。上述のワンマン脱却「我流を捨てよ」。という言葉がそれに当るようです。
------------引用
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/glocal/glocal_041208.htm
我流には限界 基本に返る
 ――鈴木さんは社長に22年間、会長に4年間の計26年間、スズキのトップにあり、二輪車、四輪車の世界的なメーカーに育て上げましたが、最近、「基本に返ろう」と言っています。なぜですか。
 「ここまで、私個人の我流で会社を引っ張ってきたからです。小さなメーカーが生き残るために、とにかくがむしゃらにやらざるをえなかった。だから、ついつい我流になっていました。私が社長になった時点の売上高は1700億円。それが一兆円になり、二兆円を超えましたが、振り返ってみると、オーソドックスではなかった。三兆円を目指すのに、我流では限界があります。だから、基本に返るのです」
 ――平凡な企業になる?
 「個性ある経営者によって、戦後、大きく伸びた企業が、行き詰っているケースが目立っています。小売りのヤオハンやダイエーもその一例です。いつまでも我流で引っ張ってきたせいです。スズキの個性は必要ですが、後継者にまで、私と同じやり方を強いてはいけません」
 ――創業者以来、鈴木会長で四代目のオーナー経営です。オーナー企業は何に気を付けるべきですか。
 「オーナーにかかわらず、企業経営者にとって重要なことは、公私混同をしないことであり、独裁に陥らないことです
 ――しかし、鈴木会長の場合は、いい意味の独裁だったのでは。
 「独裁だから、我流になったともいえます。また、長くやっていると、悪い独裁に陥りやすい。私の場合、救われたのは、スズキが浜松という中都市にあったことです。地元の関心が強く、何をやってもすぐ分かってしまう。私が養子であり、岐阜の山奥の出身だったので、後ろ指をさされたくもありませんでした」
---------
苦労人なんですよ。やっぱり。自分の立ち位置が見え無くなる人が私も含め多いんですよね。この言葉には割目しました。

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コメント

> 地元の関心が強く、何をやってもすぐ分かってしまう。
この人、浜松では一般市民から「修会長」とファーストネームで呼ばれることが多いんです。まあ鈴木姓がやたらに多い土地柄ではあるんですが、それだけ市民に親近感を持たれているということでもあると思います。

> 現地・現物・現実の3現主義
スズキが現地生産を行なっている国(確かインド)の国家元首が国賓として来日した時に、工場を作業着姿で案内する姿を見て「ああ、現場主義の人なんだ」と感心した記憶があります。

投稿: TX650 | 2008年3月 6日 (木曜日) 20時07分

> この人、浜松では一般市民から「修会長」とファーストネームで呼ばれることが多いんです。まあ鈴木姓がやたらに多い土地柄ではあるんですが、
私も、魅力的な人と思いますね。日刊工業新聞は鈴木氏の話を7回連載してました。
> 現地・現物・現実の3現主義
スズキが現地生産を行なっている国(確かインド)の国家元首が国賓として来日した時に、工場を作業着姿で案内する姿を見て
私も見ました。ただ、私は「この人なら当然なことだろな」と思いました。なおインド首相は、自国のカースト制度の遺構を想起して驚いた上、その後インドの現地法人の食堂でも役員から社員まで一緒にしたので更に驚き、見本として国内に示したとか。(上記連載記事による)


投稿: デハボ1000 | 2008年3月 6日 (木曜日) 20時35分

スズキさんは渋いので品質保証の交渉が大変だという話を聞きます。納入メーカーとしては、儲からないお客さんなんですよね。

投稿: mac | 2008年3月 6日 (木曜日) 22時34分

>スズキさんは渋いので品質保証の交渉が大変だという話を聞きます。納入メーカーとしては、儲からないお客さんなんですよね。
いやあ、痛いところを直球で。しかもここ、とことん現物主義でくるんで、言い訳が付かないんです。(但し、結構彼らなりの代案を示して臨んで来る所もあって、微少な本質以外の案件で値引きを迫る→『小役人的な某社』よりは技術的示唆を与えてくれる・・という経験が・・・)

投稿: デハボ1000 | 2008年3月 7日 (金曜日) 00時13分

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