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バイオエタノール混合ガソリン

-----引用
宮古島の「バイオ燃料島構想」が頓挫、石油業界協力せず[読売新聞社:2008年01月05日 14時46分]
政府が沖縄・宮古島で計画していた「バイオエタノール・アイランド構想」が事実上、断念に追い込まれたことが明らかになった。
政府は、宮古島の自動車用ガソリンを全量、バイオエタノール3%分をガソリンに直接混合する「E3」に切り替えようとしたが、別方式のバイオ燃料を採用した石油業界の協力が得られなかった。政府は今年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で地球温暖化対策をアピールする予定だっただけに、構想の断念は痛手となりそうだ。
この構想は、経済産業省や環境省など6府省が進めている。2008年中に宮古島にある全19か所のガソリンスタンドで、ガソリンに代わってE3を販売する計画だった。宮古島では乗用車約35,000台が年間約25,000KLのガソリンを使っている。
-----参考
平成17年10月4日環境省報道発表資料:沖縄県宮古島におけるバイオエタノール混合ガソリン(E3)実車走行試験の開始及びサトウキビ由来バイオエタノール生産設備の起工について
 環境省は、沖縄県宮古島において、平成17年10月7日から、バイオエタノール混合ガソリン(E3)の実車走行試験を開始するとともに、サトウキビ糖蜜からバイオエタノールを生産する設備の建設に着手します(事業実施者:株式会社りゅうせき)。(後述)
-----終了
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バイオエタノール混合ガソリン(E3)はエタノール3%含有ガソリンです。最終的にはエタノール10%までもって行くつもりでこのシナリオを描いてるつもりでした。

環境省の資料では同時に下記のような計画が施されているわけです。
1.北海道十勝地区((財)十勝圏振興機構等)【農林水産省、経済産業省、環境省】・規格外小麦、とうもろこし等からの燃料用エタノール製造とE3実証。
2.山形県新庄市(新庄市)【農林水産省】・ソルガム(こうりゃん)からの燃料用エタノール製造とE3実証。
3.大阪府堺市(大成建設、丸紅、大阪府等)【環境省】・建築廃材からの燃料用エタノール製造とE3実証。
4.岡山県真庭市(三井造船)【経済産業省】・製材所端材からの燃料用エタノール製造実証。
5.沖縄県宮古島(りゅうせき)【環境省】・サトウキビ(糖蜜)からの燃料用エタノール製造とE3実証。
6.沖縄県伊江島(アサヒビール)【農林水産省、経済産業省、環境省、内閣府】・サトウキビ(糖蜜)からの燃料用エタノール製造とE3実証。(品種改良されたサトウキビを使ったアサヒビールのエタノール実験プラントがある。)
成程なあと思ったのは、このシナリオには石油業界がほとんど入っていません。りゅうせきという沖縄では大きな勢力を持つ新日石と提携関係にあるフリート(石油供給)会社が入ってるだけです。他はその関係になるのは丸紅Gr傘下に供給会社があるというえばそうですが・・・。で、よく考えると、H18年まで沖縄県知事を勤めた稲嶺恵一氏はりゅうせきの創業者の子供で、しかもりゅうせきの2位株主と言う立場なんですよね。(稲嶺氏はH18に勇退)政治的考慮があるように見えますが、これはやむをえない。また伊江島は沖縄県本島北部沖に位置する島ですが対岸にはオリオンビール(アサヒビールが資本を出している)があるんですよね
では、一体どのような代替混合アルコールエネルギーがあるんでしょうか。
(1)バイオエタノール混合ガソリン(E3):3%のバイオアルコールをガソリンに混合
長所:既存の精製設備・供給設備に改良を加えなくて良い
短所:バイオエタノールが水と混じりやすいため品質維持技術が困難 
(2)バイオエタノール混合ガソリン(E10):10%のバイオアルコールをガソリンに混合
長所:燃焼効率がよくなる
短所:既存の精製設備・供給設備に多少防食・防錆処理(更新)が必要。バイオエタノールが水と混じりやすいため品質維持・保管技術が困難、(税法上の問題)
(3)バイオエタノール混合ガソリン(E85):15%(バイオ)アルコールをガソリンに混合(・・・なぜかE85という)
長所:一番エコに効果あり。
短所:既存の精製設備・供給設備にゴムが使えない。品質維持技術が困難。アセトアレデヒド発生防止の触媒が必要、(税法上の問題)
(4)ブラジルでのバイオエタノール燃料:ガソリンに20~25%配合
長所:石油の減少には効果がある。E85よりは耐食性は低くていい。実績がある。
短所:水分溶解があり品質維持技術が困難。完全なアセトアレデヒド発生防止手法がとれず、触媒に頼り、都市部では環境負荷が反対に悪化
(5)ETBE方式:現在ハイオクガソリンの添加剤としてつかっているETBF添加剤(バイオエタノールと石油ガスを混合したものが使える)使用
長所:水分が入らないし品質維持が容易、既存の精製ラインの技術設備をすぐ転用可能
短所:ETBF自体が人体に有害。ETBFを10%以上混入することが石油代替としては技術的に出来ない。

ほう。環境の問題を考えるといっても、技術的に安定したというものではないと、石油を造って供給する側としては、実力行使に出るしかないということです。また環境維持をすることで直面する収益が取れないということは背信行為になります。若林環境相は「(直接混合方式の)ブラジルや米国、カナダでも日本車が走っている。(直接混合に)技術的な問題があるとは思えない」と、石油業界に反論するのは実際事実ですね。(専用のエンジンや燃料系の補機を使い、日本の自動車メーカーは現地供給している。)もちろん、エタノール混合ガソリンはNOxを増加、COは低減ということは日本でも検討してます。ガソリンとの混合方式はアメリカ、ブラジル、中国、インドが直接混合を採用している。ETBEを併用するEUも、混合比率を高めるため、直接混合を増やす議論が始まっているとも聞きます。
国策で進めるということが出来ない、日本の政治力は抑えられないほど弱くなっています。最近の政府系の技術導入シナリオが結果的にどれも失敗している(ように見えるということはいえるかも)のは、目標と現実があまりにも入り混じり全体像が見えないということもいえるのです。でアメリカとかがどうかというと、いわゆる燃料電池やハイブリッドのシステムに日本の技術では太刀打ちできないことから、自動車会社全体が、とにかくバイオエネルギーで技術障壁が従来技術で対処できる方式・・・ということになるのでしょう。(GMは露骨にこれを出しています)
2007年3月3日の読売新聞曰く、『石油元売り各社で作る石油連盟は「直接混合方式の燃料は『環境省』ブランドで販売すればいい」と突き放す。』と言う状態でお互いに溝が埋まらないのがこの2年の動向のようです。
2007年4月16日の読売新聞は「目標達成への道筋が十分ではない日本のバイオ燃料戦略は、練り直しを迫られる可能性が高い」といっています。道筋を付けることさえ誰も出来ない、日本の技術開発の大所高所から見た研究システムを問題としてるわけですが、日本の技術開発がすでに「収支の維持・倒産しても国策からのフォローは期待できない。」「全体最適化以前に、一部の選良が方針を立ててそれに従うトップダウン式でなく、ボトムアップ式機構に依存している。」というところに要因が見えるかもしれません。但しこれはすでに、カイゼンで進んできた日本が築き上げた部分最適化設計手法どころか、積年の企業体質自体を否定することになり、従来のArticalな欧州的設計技法に持ち込まれるわけでして避けたいという思いはどこだっってある。
設計計画というものに余り重視しなかった日本の技術創出手法の限界でもあり、逆に言うと日本だからこそ他の省エネ技術が出来そこで、追い込まれたという見方も出来るかもしれません。だから、内輪で、農林水産省幹部は「石油業界は元売りを頂点とする中央集権的な石油の流通システムを維持したいのが本音だ。環境省も業界との調整作業を怠ってきた」と指摘する。(2007年4月16日 読売新聞)なんていうのは事象を近視眼的にみた見解に過ぎないと私は思っています。
答えをどうやって作るか、それを日本の自力で造らない限り、我々は国内に勝組、負け組を作ることしかしないでしょう。

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