« 雛形をどう使うか(4) | トップページ | ネーミングライツ »

縛りを仕事の中に生かそう

物事には何でも縛りというものがあります。・・・と書くと、梱包作業を想起するなら、至極まじめな方です。麻雀の好きな人は1ハン縛りとか、ある趣味の方なら亀甲縛りとか(ぉぃ)、考えるでしょうね。けどそれとてずれてませんゼ。有る意味似てる、防爆認証の話です。
----------------------
電気機械器具の防爆構造:防爆電気機器の種類
防爆電気機器の種類は、防爆構造と対象になる可燃物によって分類される。
●. 防爆構造による分類
防爆構造としては、下記に示す種類がある。なお、表に示した記号の前に防爆構造を示す記号「Ex」を付加して表記する。欧州EN規格の場合は「EEx」を、米国NEC505の場合は「AEx」を付加。
<防爆構造の分類>
●耐圧防爆(flameproof enclosure)
構造規格による分類記号:d  IEC79による分類記号:d  
米国(NEC 500):explosion proof encrosure
●内圧防爆(pressurized apparatus)
構造規格による分類記号: f  IEC79による分類記号: p
米国(NEC 500): pressurization
●安全増防爆(increased safety)
構造規格による分類記号 : e  IEC79による分類記号: e
米国(NEC 500): -- (規定なし)
●油入防爆(oil immersion)
構造規格による分類記号 : o  IEC79による分類記号: o
米国(NEC 500): -- (規定なし)
●本質安全防爆(intirinsic safety)
構造規格による分類記号:i   IEC79による分類記号:ia またはib
米国(NEC 500): intrinsic safety
●紛体充てん防爆構造(power filling)
構造規格による分類記号:-(規定なし) IEC79による分類記号:q
米国(NEC 500):- (規定なし)
●樹脂充てん防爆構造(encapsulation)
構造規格による分類記号 :-(規定なし) IEC79による分類記号:m
米国(NEC 500) :- (規定なし)
●タイプn 防爆構造(type n protection)
構造規格による分類記号:-(規定なし) IEC79による分類記号: n
米国(NEC 500):-(規定なし)
次に防爆構造の原理を大まかに分類すると、
(1) 電気的な火花や高温が発生する箇所から爆発性雰囲気を隔離することにより、爆発を防ぐ構造:内圧防爆、油入防爆、樹脂充てん防爆
(2) 内部で爆発が発生しても、容器がそのエネルギーに耐え、かつそのとき生じる火炎のエネルギーを失わせることによって、容器外部の爆発性雰囲気に引火させない構造:耐圧防爆、紛体充てん防爆
(3) 正常運転時に火花やアークあるいは高温部が発生せず、さらに承認された過負荷などの諸条件においても、火花やアークあるいは高温部が発生しにくいように安全性を高めた構造:安全増防爆、タイプn防爆
(4) 本質的に安全な電気回路(本質安全回路)を使用することにより、爆発物に点火させない構造:本質安全防爆(本質安全回路:正常時および特定の故障時において、発生する電気的な火花やアークのエネルギーが対象となる爆発物の着火エネルギー以下であり、表面 温度も発火温度以下になるような回路。IEC79および準拠規格(技術的基準、EN規格および米国NEC505)では、故障箇所を2箇所想定するia・1箇所想定するibの2種類があり、本邦構造規格と米国NEC500では2箇所の故障を想定。本質安全防爆機器は、本安機器(IS)と本安関連機器(AA)とに分かれ、前者は危険場所において使用可能、後者は非危険場所に設置され本安機器に接続。)
このほかに規定されるのは、
●対象爆発物による分類:各国(地域)または規格により異なり、本邦の構造規格では、ガス(蒸気)および粉じんの両方を対象。IEC79準拠規格ではガスを対象。(米国NEC500では、ガス、粉じんおよび繊維を対象。)爆発等級が1から3の数字で表され、数字が小さいほど着火エネルギーを要す・・危険度が低くなる。また自然発火する機器の表面温度=発火温度によって、温度等級と呼ぶ。
例(1):「d2G4」は、耐圧防爆構造(記号:d)で、爆発等級2、発火度G4のガスまたは蒸気を対象。
例(2):「Ex d IIB T5」(IEC79・準拠規格)は、耐圧防爆構造(記号:d)で、グループIIB、温度等級T5のガスか蒸気を対象。
●危険場所の分類:危険の発生度合によって危険場所を分類
• ZONE 0(0種場所): 爆発性雰囲気が連続して又は長時間存在する区域
• ZONE 1(1種場所): 爆発性雰囲気がプラント等の正常運転時に生成するおそれのある区域
• ZONE 2(2種場所): 爆発性雰囲気がプラント等の正常運転時に生成するおそれがなく、また、仮に非正常時に生成するとしても、短時間しか存在しない区域
本邦の構造規格は、危険発生の確率による危険場所の分類規定はなく、ガス蒸気防爆指針(1979)によって技術的基準と同様に、0種場所では本質安全防爆以外が使用できない。
ブログランキング・にほんブログ村へ
-----------------------
専門家でも頭が痛くなるのです。

IECの基準自体は国際的にコンセンサスが取れてまして、元はドイツの考え方が各国の基準にさらされていますから、基本的視点は一緒です。大概の国で同じ文面による認証行為が行われており、ドイツの基準を旧ソ連が積極的に導入した事もあって、旧共産圏でも使われています。(国際法上では北朝鮮も批准してます。これは鉱山が多い同国の事情にもよるらしい)。但し米国 カナダは、UL規格という保険会社の民間規格で、万が一の事故時の補償をする細目に違いがあり、こういう場合「オタクの会社はどっち?」という確認が必要ですね。
注意しなければならないのは、文面は一緒でも各国ごとに細かい法規の解釈が違うため、ヨーロッパでも各国毎に認証機関にお墨付きを貰わないと使えない状態になってます。(但し、中でもランクの差はあり、ドイツのTUV・アメリカのUL(認証機関としてIEC規格の認証もする)は他国に持っていっても基礎的データの証拠になるなど、権利としては高いものになっています。EUではCENELEC(European Committee for Electrotechnical Standardization/ヨーロッパ電気標準化委員会)も関与していますが、内容としてはIEC規格を包括しています。東南アジアでは、「UL認証・TUV認証書面をもって自国の認証機構通過に代える(自国に認証機構がないこともあるんでしょう)鷹揚な国もあります。

つい「レギュレーション」は、設計者にも、開発計画を立てたり予算化するにもやっかい・・・という所になりそうですが、ここで私は述べたいのは、この規定をただお上が指示した規定であって、それにしたがって設計するだけ・・・というひねくれた根性から決別し、次世代の設計は、これが「過去のトラブルからの回避事案」というデータベースだという視点で見たらという提案です。
私は、その考え方がない「お上至上主義」の考え方は会社の技術力を低くするということを、以前から良く言っていましたが、なかなか通る話で無くひどく無力感を感じていました。ところが危惧したとおり、このところ日本企業の防爆製品が最近海外に輸出できない(というか製造事業・品質保証事業自体リスクが高く、避ける傾向もあるが)状況があることがわかって来ました。困ったことにプラント設計に関しては日本は、海外に対して非常に有利な技術があります。(造船分野が強いことが、結果的にプラントの技術を底上げした側面)しかしその付随機器である日本の計測制御の要素機器が使いにくい状況になってるという問題点が露呈しています。
過日、専門計測機器の技術者に伺ったら、いまやIEC79準拠は古く、更に内容を盛り込んだ(実用データでゆるくするところはゆるく、きつくするところはきつくする)IEC60079が批准されていますが(JIS-C-60079が相当)日本は細則に関しては、認証技術が対応できないという状態で暗礁に乗り上げてるそうです。(それ以前の旧型規格品もモデルチェンジせず、認証上の経過措置という位置付けで残ってるから、更にたちが悪い)
これは2つ大きな理由がありまして、
(1)日本メーカー全体が対応する投資が出来ないほど、認証取得製品の収益悪化で投資縮小傾向が見られる。
(2)認証機関が国営(厚生労働省の研究所)ベースから、完全に社団法人化になったことから、認証業務自体も商業ベースが優先してしまい、最新の基準に対し内部留保からの分配が取れない。

ということになるでしょう。
なんかずれてないか・・・という疑問を持つこと。そこはいろんな視点で各位が考えなければならないような気がしますが、だれしも余裕がないのかも。やれやれ。いい意味の「」はほしいですが。

|

« 雛形をどう使うか(4) | トップページ | ネーミングライツ »

コメント

こんにちは
20年以上前前ですが、製油所や石油備蓄基地で使う仮設工事機器とシステムを自前で開発する(総額約1億円でしたから中小企業にとってはのるかそるかでした)ということでそのチームにいたことがあります。そのため電気器具の防爆構造と防爆工具についてはそれなりの知識はあるつもりでしたが、この記事を読んで「もうついてゆけないな」という感想です。
可燃性ガスが蔓延するなどほとんど考えられない環境に設置する場合でも、「万が一の影響の大きさ」から防爆構造が義務付けられることがありますから、「お上の規定を守ればよいのだろう」という意識にどうしても傾いていました。

>「過去のトラブルからの回避事案」というデータベースだという視点で見たらという提案

なるほどと思います。
今の仕事に就いてから、航空機やエンジンの非破壊検査要求が過去のどのような事故事例に結びついているのか調べていますが、これは具体的に探し当てられる場合が多いですね。

投稿: SUBAL | 2008年1月19日 (土曜日) 09時01分

>可燃性ガスが蔓延するなどほとんど考えられない環境に設置する場合でも、「万が一の影響の大きさ」から防爆構造が義務付けられることがありますから
この場合でも、担当官の考え方でガスの滞留域が決まることがあります。この規定は内規に近く、以前国際的な問題に発展した事もあります。要するに「文章として載ってない規定の運用」という裏読みみたいなところがあるんですよね。
ついこのあたりを見ないで済まそうという考え方が経営者に多いものですから、認証技術者が卑屈になる。会社の中で浮いてることが結構あるんです。

投稿: デハボ1000 | 2008年1月19日 (土曜日) 09時30分

こんばんは。
日本の工業が国際的に置いてけぼりを食っている、と言ったら語弊はありますが、そんな側面をえぐるような鋭い視点の文章でした。

防爆構造製品を作る側ではなく使う(ことを要求される)側としては、客先仕様を満たして作業の安全が確保でき、しかも低価格(有り得ない…)ならば国産品だろうが輸入品だろうが構いません。でも作る側としては、そんな無節操なユーザー向けの製品であるわけだし、PL法の縛りもあるから大変ですね。
実は最近、会社で防爆コードリールを1ダース購入するはめになりまして。高いです。防爆投光器もリース代高い割に暗くて作業性悪いし。
もちろん、人命に比べたらバカ安ですが…。

投稿: niwatadumi | 2008年1月20日 (日曜日) 00時05分

客観的に言うと本当にここまで信頼性が必要?と思うことはあるんです。けど世界の中にはそれで事故になる事もあるんです。
その原因を解析した結果が、基準に反映されてる事が比較的期待できるということがあります。あと爆発事故というのは予測しにくいところがある上に、一瞬の内に壊滅し、後は廃墟を残すだけという要因解析さえ困難という問題がありますから、どうしても過剰になるでしょう。

投稿: デハボ1000 | 2008年1月20日 (日曜日) 00時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/17509727

この記事へのトラックバック一覧です: 縛りを仕事の中に生かそう:

« 雛形をどう使うか(4) | トップページ | ネーミングライツ »