技術者の目的意識(1)
若い人に、技術士になってもらうことは、私の業務の上ではまあタスクに価するのであるが、それとは外れても私も、指導されている貴方も、一人の人間なんです。そういう生み方でキャリア形成をしていかないとなかなか生きるのがつらくなってきた。そこで技術者個人個人が以上に、何のためにというところをスキルアップ・っキャリア形成に動機つけないと、目的意識をしっかりもって、PDCAをちゃんとまわして自分の力を発揮する技術者にはならないのかなあと考える。
お医者さんや医療関係者全般にとっても、奉仕の精神というところで考えるのは初期的な段階で議論するには、(ないしは30年前の世界では、)それだけで一つの見識なのだが、このように現場即応の時代の臨床医療にはそれなりの考え方のマイナーチェンジが必要なのであろう。医療倫理ということは、その見地から養成されているようだ。医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師などの技術者、そして医療研究者とカスタマイズされるところはされているが各々の立場に即した対応が求められているものである。これを医療倫理という定義でくくってきた。
工学技術者というものもまた、倫理概念を各々に持つことが求められている。それは建築物にせよ、機械にせよ、化学にせよ、環境技術にせよ、食品のせよ、命に関与するという意味では直接にせよ間接にせよ変わらないのである。勿論、そこに細かい差異は存在するし、医療技術者の中には「工学にそのような議論を期待しないし、関連付けられること自体迷惑」とおこられる事も身近に存在した。
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ところがですね、この倫理的考えに対するあるいみ師匠となる要素は、意外とこの医療倫理にあるのですよね。そのことを、私はかかりつけの医者(・・某研究・医療機関の見識者ということが後に分かる・・)と話をして気が付いたのが4年ぐらい前である。そこでそういう見方で先達の各位の文献を当ってきたのである。勿論相違点は相違点としてである。それはなにかというと、
医療:属人技術的志向が比較的高く、各々チームを組む場合も分担化・権限の独立化を念頭においたマネージメント。
工学/農学技術(獣医学は医学に近く、理学の倫理概念に近くなるものもある):日本においては属人技術としてより企業のなかにいることが普通先立って求められる(少なくともいくらかのあいだ企業・行政・研究教育部門などにいることが前提になる)。
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さて、大橋 秀雄氏(工学院大学理事長。元工学院大学学長。東京大学名誉教授。Dr.-Ing(西独)。工学博士(日本)。)専門は流体工学、流体機械(ターボ機械、タービン等)、環境システム工学、工学教育、技術者教育。(恐れ多いがこの分類だと私もわりと近い領域に。(おい))(http://esel.mech.kogakuin.ac.jp/~ohashi/)がこのあたりを書かれた発表資料を、このまえ手に入れることが出来たのだが、どうやその意識下にかなり医療倫理との類似性を意図して提案されている。その反面、周囲環境のまったく異なることも提言されています。(参考:こちら)
---------------引用
(1)医者:人間の健康を通じて、生命を守る。Professionals for Human Health
技術者:人工物の信頼性と安全性を通じて現代社会を支え、人々の生命と生活を守る。Professionals for Ardflcial Products and Systems
(2)医学教育に期待すること
●社会は医学部の教育に、医学者を育てることでなく信頼できる医者を育てることを期待しています。
●医者になってからも、医学と医療の最新の進歩をフォローしつつ、常に最書の医療を行うことを期待します。
●医療は、医学研究者がもたらす新しい知見を加えて日々に進歩しますから、研究者が医療に役立つ成果を出すことを、大きな期待をもって待つています。
工学教育に期待すること
●社会は工学部の教育に、工学者を育てることでなく信頼できる技術者を育てることを期待しています。
●技術者になつてからも、工学と技術の最新の進歩をフォローしつつ、常に最善の技術を提供することを期待します。
●技術は、工学研究者がもたらす新しい知見を加えて日々に進歩しますから、研究者が技術に役立つ成果を出すことを、大きな期待をもって待つています。
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このように非常にバックボーンが似ているのですが、ここをあえて述べてる人はほとんど無いのです。但し、工学は周囲の環境が異なるのですね。
(続く)
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