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社長公募はつらいよ

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「いすみ鉄道」が社長公募  12月6日8時1分配信 産経新聞
経営難の第3セクター「いすみ鉄道」(大多喜町)は5日、民間の経営感覚を取り入れるため、社長を公募すると発表した。就任は2008年4月1日付で、報酬は年収700万円程度を予定している。応募は必要事項を記入した申込書を提出。選考は書類と面接の2回行われる。
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三セク鉄道再生へ社長公募…茨城交通湊線、年俸700万円 経営知識と実績条件 
FujiSankei Business i. 2007/11/30  
2008年4月から第三セクターで運営する茨城県ひたちなか市の鉄道「茨城交通湊線」(勝田-阿字ケ浦)について、同市の対策協議会は29日、新会社の社長を全国から公募、会社名も市民から募集することを決めた。社長の年俸は700万円程度で、本間源基市長は「払える額はこれが限度で虫がいいかもしれないが、鉄道を再生すること自体に夢を感じてほしい」と訴えている。
社長について鉄道事業に携わった経験の有無は問わないが、会社経営の専門的な知識を有し、企業再生の実績があることなどが条件。公募者には履歴書と800字以内の自己アピールのほか、湊線の再生、活性化のアイデアを盛り込んだ1200字以内の小論文の提出を求める。(後略)
-------------終了
官有民営の手法が交通の世界ではトレンドになるという話はいまや現実問題です。交通公団方式がアメリカでは多いようです。最近は社会資本投下という意図で鉄道を見出す形が多いようですが、そのためには住民投票などのシステムで、その是非を問う事例が多いようです。
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EUでは鉄道とはこだわらない(鉄道代行と言う形)での公共交通システムの維持を見出してるようです。国によって多少の違いがあり、国策として自動車をあまり使わないで生活できるシステムの維持を考えるスイスなどは私鉄にも資本を投下していく方向に向けてるようです。このあたりはhttp://urbantransit.seesaa.net/が非常にまとまってるものと思います。ご一読あれ。
日本はここを担うものを第三セクターという形にしてるのですが、国際的な解釈とは少し違うようです。文献でも日本はまた違った方向であると解してるようですね。この日本版第三セクターが日本で公式文書に初めて用いられたのは、1973年に田中内閣の元で閣議決定された「経済社会基本計画」である。(WIKIより)だとすれば田中角栄氏恐るべし!
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勿論第三セクターは交通だけの問題ではありません。鉄道を離れ、一般的な『第三セクター』の定義を見てみると、国および地方公共団体が経営する公企業(第一セクター)私企業(第二セクター)とは異なる第三の方式による法人の意味とのことです。日本では、国または地方公共団体が民間企業と共同出資によって設立した法人を指すことが多く、多くは設立容易・運営方式自由な株式会社の形態を採る。但し、諸外国での第三の方式とは、NPO、市民団体その他の民間の非営利団体、たとえば英語圏では、NPOや慈善団体など、公共サービスを提供する民間団体のことを指す。
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じつは、非常に気になってるのは、第三セクターは株式会社の形態ですから、経営陣は無限責任があるんですね。その担保として報酬:年収700万円程度はどこを基準としてるのかなあということです。大体この報酬は製造業では中堅の会社の課長職ぐらいです。(銀行などもっと多いかも)確かに儲かっていない会社の経営者と言うところでこの報酬を保証すると言うことは、きついと言えばきついですが、責任のない社長を求めてるのですかね。
NPO団体というなら無報酬ということもあるでしょう。、英国で活動してる人の取りまとめ職は無報酬でということが多いようです・・・ということは、そのほかに収入源があったりする人、ないしは過去に利潤を得ていた人が社会参加という意味でやってると思うのですね。その場合具体的責任の所在が云々ということが出ても問題の無い分野がこの分野に参加できると思うのです。日本では損失に関しては経営者の無限責任を定めており、仮に多額の損失を出した場合、経営陣が個人財産を処分してでもその責任を負わなければならないのですが、欧米と違うのは経営陣個人にに対価を払う資産がないというのもよくあることで、欧州の人には理解できないことなのだそうです。
民間の知恵活用ということからこのプランをみんな考えつつあるのかなと思うのですが、会社経営の専門的な知識を有し、企業再生の実績がある人材がこの報酬で雇えるのかも疑問です。本当にそれで実績を出している実務人財は、すでに出来たスキームでの企業再生が非常に憔悴する事ということが理解できてるわけで、多分この話に乗ることは少ないと思います。(地域的偏在があるでしょう)そうなると従来の企業を勇退された方に対し職を提供するというスーパーバイザー的人物ぐらいしか残らないと思うのです。それでは実行力が無いと考えるならば、今までの企業再生の実績とかいうところは選定条件に入れること自体が、障壁になると思います。
戦後の日本では、平坦な所得配分がなされ、その結果社会水準が下硬くなったのは事実です。但し特定の個人の資本蓄積が欧州にくらべ、相対的評価では少なくなり、起業活動に回らないという意見も聞きます。以前の篤志家という立場に立脚した人材は所得の平準化という結果少ないですし、宗教的起源にある喜捨という概念自体欧州とはかなり異なるようです。私はNPOを打ち立ててという概念自体も、本当に公的責任を全うするなら、突き詰めると日本という国には適応しにくいのではないかと思います。このような個人資本形成が脆弱な日本には、有限責任事業組合(LLP)というスキームでなら一つやりようがあるかも知れません。(参考:http://www.meti.go.jp/policy/economic_oganization/llp_seido.html
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ところで、本間源基市長:「払える額はこれが限度で虫がいいかもしれないが、鉄道を再生すること自体に夢を感じてほしい」・・・苦渋の声と考えますが、霞を食って生きて生けないのが人間。そういうと公的スキームとはなじまないインセンティブを持たさないと、人財確保は成り立たないでしょう。他に手法が無いといえば、分からなくもないですが、皮肉を込めるとだれも『損なくじ』を引きたくないという保身が採用基準に現れていると思えるのです。
そうそう。「男はつらいよ」でよくでてくる「タコ社長」。あれみてると社長業ってのは結構つらい所もあるんでしょうね。私?いや(以下自粛)。

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コメント

公立学校での民間校長公募というのも最近よくありますが、企業の経営管理手法を取り入れるというのが全面にでているのはあまりうまく行っていないようですね。

投稿: KADOTA | 2007年12月14日 (金曜日) 21時38分

>企業の経営管理手法を取り入れるというのが全面にでている
「木を見て森を見ず」というところが、雇用する側にもあるんではないでしょうか。金はださねど、口は出すと言うのが、そういうのに陥り易いのかもしれません。

投稿: デハボ1000 | 2007年12月14日 (金曜日) 23時33分

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