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環境にどうやって「優しく」接するか

以前は話題にもならなかったことが、話題となるんです。げに環境問題は恐るべし。
(1)カイロ
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三洋電機株式会社は、ビジョン「Think GAIA」のもと、使い捨てない電池「eneloop(エネループ)」のコンセプトが広がる商品群「eneloop universe(エネループ ユニバース)」の展開をスタートします。その第一弾商品として、太陽光で発電しeneloop充電池に充電ができるソーラー充電器「eneloop solar charger (ソーラーチャージャー)」を11月から、繰り返し使える充電式カイロ「eneloop kairo(カイロ)」を12月より順次発売していきます(後略)
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懐炉はご存知ですか。
昔はJIS工業ガソリン1号(ベンジン)を使った白金触媒式カイロが有名でした。登山でお世話になったりしたものです。この手には、ハクキンカイロ社(ハクキンカイロ)、ジッポーブランド(マルカイ社の供給)の「ハンディウォーマー」です。かつては松下電器産業製もありまして、これは電池で着火するのが特徴でした(「ナショナル黄金カイロ」・「ナショナルカイロ」)。松下電器はLPGを使ったものも発売したことがあるそうです。
白金触媒式のカイロは、燃料補給の手間と未反応の燃料の臭気、そしてなにぶんにもベンジンは自動車用ガソリンよりも揮発性が高く、人体にもあまりよくないこともありますから、使い捨てカイロにシェアを奪われてしまったとおもっていました。ところが、近年ではごみ減量などの観点で・・ということは環境問題の面で見直されてるようです。レンズ結露防止という理由で、カメラの保管用に使うという話も聞いたことがあります。
但し、危険物という意味で、一度でも使ったカイロは飛行機には持ち込めません。その上に、テロ対策でベンジンのボトルもにもつも含め持ち込めませんのでそこはご注意を。

も一つ有名なのが、使い捨てカイロですな。
鉄粉の酸化作用を利用したカイロで、中には、鉄粉(発熱体)、反応触媒作用のある水・食塩とそれを保持する高分子吸水剤、活性炭、バーミキュライトが混ぜられているそうです。構造が簡単でしかも各種原料が安価であること、火を用いず通常環境での最高温度が約80℃以下であるなど安全性が高いこと、及び使用上の簡易さなどあります。JIS規格(JIS S 4100)に項目や測定方法などについての定めがあるんです。
ところで、この製品ですが、これとて環境に配慮したものとして開発されたという話があります。基本特許は明治時代にあったそうですが、1978年にロッテの子会社菓子用の乾燥剤を研究する過程で発熱効果を発見したことから実用化したそうです。しかもパテントでの抑止が出来なかったことからいろんな会社が参入していきました。(この経緯からJIS設定も早かったです)ところでこの鉄粉、工場で切削加工時に出る切子(いわゆるダライ粉:ダライ盤(ドイツ語で旋盤)のキリ粉)を回収して使うんです。品質のよくないダライ粉でも大丈夫。当時からリサイクルということで環境に優しいというのが売り物だったのです。

ここで注意しなければならないのは充電式カイロ・白金触媒式カイロ・使い捨てカイロ、全部環境にやさしいというところを売り物にしていたということです。時代にあった環境認識があるんで時代の変化で基準が変わることになります。逆な話をすると、環境対策というものは国民性やその定義でまったく技術が変わってしまうのです。

も一つ、白金も、鉄も資源の問題で価格が暴騰しています。白金は燃料電池には無くてはならない素材となってしまいましたし、鉄は再生技術が進んだ事もあって需要が急上昇してるのはご存知の通りです。あっちが立てばこちらが立たず・・・という場面がある事実は無視できません。
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ドイツは環境立国という形で浮揚を図っています。たとえば太陽光発電装置は日本の会社(シャープ・京セラ・三洋電機・三菱重工業など)+ロイヤル・ダッチ・シェル+無錫尚徳太陽能電力が大手として有力ですが、この2年ほど、ドイツの国策で導入実績はドイツが日本を追い越してすごく延びてるそうです。(日本国内では、導入補助をしたくても予算の上から配分が出来ないそうです。)電灯線との連携システム(系統連携)に関してはかなり練られているようですね。しかしその考え方としては日本と考え方が異なる側面もあるようです。他方、ムダ扱いしてるように見える日本の環境問題ですが、新聞紙の再生回収・ビールビンを回収するシステム構築のように、意外と日本が世界に対して模範となる項目もあるんですね。
となると環境という意味ではなにをやっても一長一短があるんです。そこがコンセンサスが取りにくい根拠にもなっています。
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(2)蚊帳
蚊帳(かや)は、蚊などの害虫から人などを守るための箱状の網。中国から伝来。生活環境の変化により昭和の後期には、ほとんど使われなくなりました。引いて言えば網戸がその後継でしょうか。蚊帳自体は電気も薬品も使わない防蚊手段であるため、エコロジーの観点や薬品アレルギー対策として見直されてます。最近、マラリアの被害に悩まされるアフリカ諸国や東南アジアなどで、低コストな蚊対策として注目を浴び始め、日本では、2003年よりODAやUNICEFを通じた支援を実施、3年間で200万個以上の蚊帳を世界各国に配布しているというのがあるんですって。
じつは奈良は全国の8割のシェアを占める蚊帳の産地でしたが、昭和の末期には蚊帳の製造業者は極限まで減っていました。知人に実家が蚊帳の工場(染色)というのがいましたが、遊びに行くと結構建物はがらーんとしていました。ところがその後同業者が廃業したことから、受注が増えてとりあえずニッチ市場で食えるようになったとか言う話をしてました。当人は家業を継がなかった記憶がありますが、家業は主にふきんの商社として(弟さんが)やってるようです。(蚊帳の生地は麻を使っているから、最近はふきんとして好んで使われてるようです)。ところがニッチな市場としてこのところ蚊帳のニーズが出てきてるそうです。なんという皮肉。
中には、この蚊帳の材料(合成繊維の場合)に殺虫剤を練りこんだとかいろんな工夫がされているようです(これはアレルギーでこまってる人にはつらかろう)が、殺虫剤が使えないとか供給しにくい地域には一つの手法だと思います。
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環境問題は着眼点を替えるとこのような見方が出来るんです。それだけ、コンセンサスを取りにくい世界とはいえるんですが、今後の技術開発・環境経営という側面からは、余地はある世界とはいえます。
それは別としても、世界の工業は環境という言葉に敏感です。環境・安全。これが今後の工業の牽引をするのは事実ですが、概念自体が非常に感性依存のため、切り株のきり方で切片形状がいかにでもなるが如き曖昧な世界になりがちであることは、非常に難しい問題をはらんでいる気もします。但しこれ無視での工業の進展は世界から最後通牒を突きつけられる可能性があるんですな。曰く「蚊帳の外」になるわけです。
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コメント

こんばんは。
>ところでこの鉄粉、工場で切削加工時に出る切子(いわゆるダライ粉:ダライ盤(ドイツ語で旋盤)のキリ粉)を回収して使うんです。
ダライ粉の語源がドイツ語であるとは知りませんでした。
ある鋳物メーカーが、鉄源高騰の対策のため、ダライ粉を鉄源に使おうとしていました。私は素人なので、同じ鉄なんだから別に難しい話ではないのではないの?と思ったのですが、キュポラに投入する鉄源はある程度塊が大きくサイズが揃ってなければならないなど、そう簡単な話ではないそうですね。

>環境・安全。これが今後の工業の牽引をするのは事実ですが、概念自体が非常に感性依存のため、
そういえば経済産業省は「感性価値」なる概念を今後の産業政策の中で推進しようとしていますが、どうなることやら・・・
http://www.meti.go.jp/press/20070522001/20070522001.html

投稿: kunihiko_ouchi | 2007年11月23日 (金曜日) 20時48分

>キュポラに投入する鉄源はある程度塊が大きくサイズが揃ってなければならないなど
確かに溶解速度などを調整しなければならないなどするには、何らかの中間加工が必要でしょうね。(粉塵爆発の可能性もありうるし、ダライ粉は時として切削油が混じることも考えなければならんですな)
>「感性価値」なる概念
ほう。これは有る意味で「国内の製品開拓能力を底上げする」という意味ならありうるでしょうね。このように系統立てて『みなが』『おなじ土俵で』考えるならまだいいのですが、全部にあまねく・・ではないところは考えておかないとまずいでしょうね。

投稿: デハボ1000 | 2007年11月23日 (金曜日) 22時58分

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