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福井鉄道福武線

このところ「テツ」ネタを連続してますが、たまにはいいでしょう。
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福井市 福井鉄道福武線存廃議論が起きる   2007/10
先月、福井鉄道社長が記者会見し、「福武線の経営事情が1963年以来一度も黒字になることなく05年度決算も損失計上をしている。勿論列車のワンマン化・無人駅化等合理化にも努めてきたが限界もある。県や沿線の福井・鯖江・越前3市に対し更なる助成の拡大を得て存続を図りたい。ついては官民で協議する抜本的経営再建組織を作りたい」と要請した。
これを受け県知事を始め知事と3市による協議会発足が発表された。
別情報であるが、国土交通省中部運輸局の報告書によると、「福武線が廃止された場合と同線がLRT化された場合とを比較すると、今後30年間で230億円の社会的便益を失う」という。即ち、福武線の利用者は年間160万人あり、その機能をJR北陸線やバスでは代替できないで、国道8号線の渋滞惹起により時間損失が拡大することが大きい。
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うーん。確かに苦しいかもしれないですな。(福井鉄道に関係した技術者がいま相当忙しいという事を聞いています。)但し、廃止先にありきという活動をする気はないらしくて、事実、福鉄福武線存続についての協議会が11月2日に行われ、福鉄側から三つの経営再建案が示されたそうです。そこで示された再建案は
・新会社を設立、鉄道事業を福鉄から切り離し新会社に売却。
・名鉄が福鉄の債務を一部肩代わりし、名鉄保有の福鉄株式を第三者へ譲渡
・名鉄が増資を行い、福鉄が経営改善を実施。その後、名鉄保有の株式を第三者に譲渡

の三つが示されたとか。
いずれも名鉄は福鉄から撤退という形になります。(但し、バス部門を分離したというスキームなら、バス部門だけ子会社にする可能性はあります)というか福井地区の撤退に近いでしょう。名鉄はグループ全体での経営改善に大鉈をふるっているところで、赤字のグループ企業は大胆に切り捨てるしかとは思います。とはいえバス・鉄道部門で優等生という会社もあまりなさそうですが。(政治的経緯で子会社にした交通会社・・北陸鉄道・宮城交通がその例・・はともかく、小さなところはかなり無理してきって、地元資本に移管してる事実があります)
これは一つ考慮しておかなければならないことがあって、現在こそ京福電気鉄道は京阪電鉄筆頭株主(42.89%)です(ちなみに、株券相続に物納があったので2位株主は財務省という面白いことになってます。普通は市場に流すところですが、当時、福井撤退の時期に重なり、劣化株券になりかかってたので財務省としても売れなかったのかもしれません。)が、以前は名古屋鉄道も7%程株を持っていたのです。このため、京福電鉄の事故の当時の緊急輸送の際、名鉄からも中古バスの供給を受けたのは多分その意味で引き会いがあったのだろうと思います。この事情は戦前の電燈事業がらみの株が由来だろうと思います。
というわけで、京福電鉄福井営業部の移行に関わる経緯を名鉄は(福井鉄道経由でも)かなり細かく見ていたと思います。元々京福電鉄と福井鉄道は株主構成の問題から、バス路線などもエリアを分けるなり、それが出来ない場合も共同運行をしたりしてますし、比較的仲がいい側面もあります。そして交通事業として破綻した経理状態だからといって、手を離すことが出来ない地盤だという事も。だからといって交通関係の収支均衡も難しいということはあるのだろうと思います。上記のように再建案も「撤収」という方向性でないのは、とにかく経営責任は果して鉄道部門のみはサイナラという意味かなあと思います。
但し、名鉄さんとしては「そもそも関連会社というだけで、なぜ名鉄の名が挙がるのか疑問」という声も出ているそうですが、それは一寸免許事業という意味からは言い訳にならないでしょうね。今まで経営的支配をしてるところが有った訳ですから、応分の負担だけはしようとしてほしいと思います。・・・ということは、当社も鉄道部門はえちぜん鉄道と同じ扱い(事実上公営)にして欲しいというのが正直な意見ではないでしょうか。
これは米国のパシフイック電鉄の話で議論するつもりですが、鉄道が廃止された時に代行バスを運行したとしてそのバスに顧客がスムーズに移行するのは、条件がいい場合で70% 普通は50%以下だそうです。(50%の事例は 上述の京福電鉄・日立電鉄。70%は野上電鉄ですがこの場合はもうすでに極限まで乗客が減少しており残存者利益の有無という状態だと考えられます。しかもそのバスとて、地域経済の地盤沈下もあって乗客減少は引き続き生じているため、決していい状態ではありません。)のこりは、自動車・原付に移行するということにもなるようですが、詳細を調べると、他の代行経路に移行した事例(日立電鉄は常陸太田付近では、東京へ行く経路がJRや高速バスに置き換わった事例がある)がいくらか有る場合もありますが、交通量自体が純粋に20%以上減少してしまってるという話です。つまり、これが需要全体の縮小を促してることもあるようです。これは、アメリカでは具体的に低所得者の増大という問題まであったそうで、インターアーバンの廃止で鉄道をなくして、バスとて通勤が時間的に出来なくなった地域住民が低所得化し、かくて都市のスラム化を促すという事も最近事例研究するにつれ大きく言われだしました。アメリカの独自事例でないことがわかったというわけ。その意味で残存している米国のインターアーバンは公社の経営になってることが多いのと似ているのかも。(例:インディアナ州北部通勤輸送公団(NICTD)サウスショアー線(South Shore Line (Northern Indiana Commuter Transportation District ))
ところで、経営という意味だと、負担をいかに社会的にお金のあるほうに出してもらうようにするというのは、有る意味当然。どのような手法でも、それが質が悪いという内容を内包していても、一種の差別化が出来ない死に筋の「サービス」というビジネスモデルではそこに走るしか・・と見なされているかもしれません。けど死に筋だからといって全部市場がなくなることはない。これが難しいところです。コモディティ化という家電などの成熟製品の考え方とおなじでしょうね。だからいくら中部運輸局が「福武線が廃止された場合と同線がLRT化された場合とを比較すると、今後30年間で230億円の社会的便益を失う」ということを言っても、ゼニを中部運輸局が出すわけで無し、それを分かっていても社会的便宜が会社経営にそのまま回ってくるわけで無し、ゼニなくてなんぼという、開き直った見方はあると思います。こうなると社会的企業の責任なんてのは、歌う金沢明子の前のろうそくの灯火(わかるかな?)の如く、気を抜けばはかなく消えるものではないですかねえ。
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コメント

和歌山電鐡のような「公設民営」が、やはり今後の地域交通の大きな潮流になると思います。岐阜の時にも名乗りを上げたような外資の運営会社も今後勢力を広げていくのではないでしょうか。先日の土木学会計画学発表会でも、その辺をテーマにした発表がいくつかありました。

> 京福電気鉄道は京阪電鉄の筆頭株主(42.89%)
京福電気鉄道は京阪電鉄「が」筆頭株主(42.89%)、ですね。

投稿: TX650 | 2007年12月 2日 (日曜日) 12時54分

>> 京福電気鉄道は京阪電鉄の筆頭株主(42.89%)
>京福電気鉄道は京阪電鉄「が」筆頭株主(42.89%)、ですね。
これは失礼しました。
さて、
>和歌山電鐡のような「公設民営」が、やはり今後の地域交通の大きな潮流
になるというのは一つでしょうね。但し民の意志が強くなければ公は動けません。そこがキーです。スキーム構築の例がもっと創出されなければ、なかなか後に続かない。
一つ考えなければならないのは、EC諸国の形態とアメリカに代表される形態は微妙に違うのではないか。そのあたりを調べてみたいと思っています。

投稿: デハボ1000 | 2007年12月 3日 (月曜日) 20時27分

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