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21世紀を担う技術者

機械学会誌2007/7 (No.1064)には最近のいろんな場面での学生の技術者継続教育についての真摯な報告が載っている。確かに、いったい理科大好きな子供達はどこへ行ったのだろうと考えること小一時間。(苦笑)
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物を作ることは、すべからず、砂遊びやブロック遊び(レゴなんかもそうでしょう)を含む。その砂の山からミミズを見つけてみたり、犬の糞を掘り出して大騒ぎになったり、レゴを口に入れてしまったり、マンションの窓からおもちゃを落として下の自動車を傷つけたり(実際に、「あのー、うちの車の上にK奈中バス(ダイカスト製)が落ちてましたがというのがあった(恥))というのがあって、そこを見ることによって段々とスキルが上がっていくことが期待されているのだが・・・・
物を砂で作れば、崩れていく事から、壊れる場面を会得することが出来る。物を落とせば音がするし、自動車の屋根をへこませた(・・・・廃車直前の12年物でよかった・・・・)ことから重力と力をイメージすることが出来る。ステレオのスピーカーを触れば、音は振動の伝播であることが分かると思う。それがわかってから物理や数式がわかっても遅くはないとは私は思ってる。けどねえ、小学校・中学校ではこれが、今必ずしも多くの学校でこれがうまくいっているとはいえないなあという感覚を強くしている。自分の子供時代と、自分の息子・娘の話を聞いてみるとまずいなあと言う感じがするのだ。
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(1)息子の中学校では科学部があり、なぜかそれに入っていたのだが、指導の先生が熱意がなく、(勿論子供もたちだけで実験機材をだすわけにいかない)まともに活動が出来ない。予算に余裕がなくて、実験機材も買えないと言う話も有る。
(2)私は、その能力はともかく、実験は好きだったと思っている。それが客観的な問題かはともかく(爆笑)、実験資材は触らせてくれた。(中学で)夕方勝手に実験室に行って、実験助手さんにたのんで実験をして楽しんでいたものである。酢の物は嫌いなのに、氷酢酸の匂いは好きだった
(3)今息子の通ってる私立学校に、なんかクラブが有るのかと聞いてみると、野球部と介護福祉サークル以外は特になにも実態がないよ・・ということである。でPSPにはまる様子。勿論ゲーム脳とかいう分析をする気はないのだが、バーチャルリアリティーを余り浸りこみすぎると、リアルな世界が体感しにくいのかなあと思ってる。
(4)自分は自転車の分解組立にこっていたことがあった。(その技量は聞かなかったことに・・・・)高校のころ、同級生に自転車部品工場経営者の息子がおり(今でこそ業務縮小しているがその筋では有名・・・。いまは従業員21人てのには時代の流れを感じるなあ)ちょっとした部品を貰ったり工具をかしてもらったり、挙句の果ては手伝いに借り出したりしたことがあった。で、昼休み時自転車(ママチャリ)の分解をはじめ気がつくと、5・6校時をすっとばしてやっていて、教師におこられもせず、ただあきれられた記憶がある。
(5)別に妻のご機嫌を取ろうというのではないのだが、なぜか、当方の妻は屋内電気配線を自分でいじるし、電気関係はモーターをばらすし(組立はしない・・おい)工具を買って来て電話配線を延長するし・・・ということを勝手にするのだ。よく考えると、義父が僧職の傍ら、電気・電工技術者であったことから、家庭内の配線関係を全て自分でやっていたこともあろう。ちなみにCB250に乗ってツーリングしていたことも有る。(したがって、以前私が自動二輪にのってるのをみて、一言「社会の迷惑」(泣))
(6)大阪府内の公立高校で教鞭をとっていた知人は、5年間も課外授業(化学・生物)の費用が全くでないことに悩み、これではやってられないというわけで、私立高校に転職してきた。決して多くないが、出るだけましだそうである。最近聞いたことによると、当時は実験機材不足のため実験を行わず、講義ではVTRを流すばかりだったそうな
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勿論、私の経験だけで言うことではないが、巧拙はともかく物を触っていない技術者は、確かに一般的な設計、配置設計、開発設計、加えて計算工学に関しても、習得が遅いと思える。当然メンテナンス、検査に関わる専門技術者もそう。すべからず管理監督者が懸念するのは、CADオペレーターさんの技術習得(基本的なところ)に関してもその弊が見られること。ところが派遣社員として雇用する場合、執務内容に「CAD操作」と規定して採用すると、現物をさわって習得してもらうことをすると、契約違反として、時に派遣元会社から契約変更を求めてこられる場合がある。(私の記憶に拠れば、安全靴を支給したところ、時間賃率が1.5倍UPした提示をされたこともある)管理監督者としては、図面をみて、それがどのように反映されるかで目で見て技能向上をしてもらいたいし、本人が結構達成感を感じるのも見ている。だけど、それは契約の枠に縛られると難しい。また、当時の勤務先は、中途採用を主に派遣社員のなかから、2年をめどとして本採用転換を進める事も多く、非常に悩ましいものであった。(2年というのは法的典拠も有る
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ここまで書いてきた趣旨をよんであれと思われるとおもうが、勿論先端開発・先行開発者の養成としてついついこのような優秀な工学技術者を視野にしてるようにみえるかもしれぬ。けど本当は、中堅の設計者が本当はこれらの意識鼓舞をしなければならないということをひしひしと感じている。グループリーダークラスなら、以前なら進むべき方向を間違えたとなるなら、営業のほうに視野を広げるという見方も出来るし、基本技術から特許管理に志向するという別のベクトルを選んでもいいのである。(そういう方向性が適する技術者というのも、企業としても技術としてもまた重要で有る。)ただ、実務に関わる人は、グループリーダーに対して的確な事実判断を面前でしなければならないし、それが完築されたからこそグループリーダーの志向も定まるのだから、その適切なプロジェクトとしての判断力の根幹が、中堅技術者の認識力というのなら、そこの人員育成がやっぱりキーなのである。
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キャリア形成という意味で、色々言われているが、その根底は物を触ること、物に触れること、物を見つめる事、そしてそれを継続することだと思う。いやあ、別に人に触れること(・・・嫌がるところはダメ(苦笑)・・・)、人を見つめること、そしてそれを継続することはいっしょだろうなあバーチャルも必要、だけどその経験は必ずリアルがあるから成り立つんですよ。どう?
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機械学会誌2007/7 (No.1064)P34 日産自動車㈱八谷氏の記載にこんなのがあった。
(1)現場・現物・現実を自分の目で見て、課題を自分の中で明確にすること。
(2)海外の技術者に同じ質の仕事を期待するには、理屈でなく身体で覚えてもらうこと
(3)他の企業と協調して進める際には、相手の強みや得意な部分を尊重し、自分の強みを補間させあいより良いものを追求すること
読み返してみると、「なんだ当たり前のことしかいっていない」と感じた(以下省略)

当たり前であたりまえなのである。医療関係でも同じなのだが、其の認識を熟成するというところにも、抜けがあるならば、なんとかしなければならない。医療分野でもスキルの問題は深刻ですよ。結構。
さて、工学系の人に誤解が有るのは「工学離れが進んでいるのに、医師離れは進んでいない、なぜそこまで私たちは・・・・」という見方。これは私は、たんなる旧来の意識に引きずったものではないのかなと思っている。工学は人命をあづかる物を作ることもある。医学は当然人命を直接扱う。本質は関与内容の濃淡があるのだが、臨床を主とする医師はハイリスク・ハイリターン・かつ夜勤も常態化した重荷重作業であることが、一般市民・志願者にあまり伝わっていない(し医師側も殊更これを使命感という概念で進んできたからか、高らかに言うことがなかった)ということなのであろう。本質が分かってないのにそこで齟齬が出ても、何の解決になってないと思うのですがねえ。

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コメント

自分のブログでよく(中堅)検査技術者の「想像力不足」と言ってきました。しかし,これをこうしたらこうなる,という想像力は実はあるのだけれど,面倒くさいのか当事者意識が薄いのか,「別にいいじゃん」で済ます人が多いのかもしれないと,この頃思うのです。
僕も中学時代は科学部(といっても雑草観察)に所属していたことがありまして,放課後の理科室で金属ナトリウムをシャーレに浮かべた水の上で走らせたりしてました。見つかったら叱られる,と分かっていながら。子供だったんですね。

投稿: niwatadumi | 2007年8月24日 (金曜日) 12時32分

>面倒くさいのか当事者意識が薄いのか,「別にいいじゃん」で済ます人が多いのかもしれないと・・・

はあ。其の意味合いもあるかも知れませんね。分かるといえば分かる。
ただですね、「別にいいじゃん」という判断でいいのいかなあ・・という見方から、ここでOKを出すとどんなことが起こるかなあ・・という類推が出来るというのもまあ必要です。それは隠蔽を容認すると言う意味でなくて、報告内容の順位付けをしておくという認識はあるでしょう。単に5Sがどーたらという精神論に持っていくのが危険だと持っております。
金属ナトリウムは私もしました。(但し助手の前で)

投稿: デハボ1000 | 2007年8月24日 (金曜日) 14時17分

今日の記事、激しく同意です。
この歳になって子供のころの遊びで思い出すのは危ないやつばかり。6畳の部屋の真ん中にある石炭ストーブの上に、セルロイドの下敷きを削ってアルミの鉛筆キャップに詰め込んで端をつぶして置き、突然に部屋中を弾丸のように飛んでくるのを固唾を呑んで見守った緊張感なんては忘れられませんね。
木登りをして枝から落っこちたことのない人に、曲げモーメントや断面2次モーメントはわからんだろう、とは極論かもしれませんが、チラッと思っていたりします。
それにしても、高校の物理で実験をしなくなっている感触がします。実態調査をしたら恐ろしい結果が出るのではないかと思います。

投稿: SUBAL | 2007年8月24日 (金曜日) 23時25分

機械学会では計算工学の検定業務を最近推進されてますが、どうもいざやってみると拘束条件なぞの見方に中庸のとれてない視点の人材もいるようです。ITの業務でありながら、実は頭の中で模擬しながら条件設定をしていって、更にそれが「図上演習」であることを認識してリトライいく人財が、段々とすくなく「なってきてる」んですよねorz。
>木登りをして枝から落っこちたことのない人に・・・
社内研修所の技術系専任教員として材料力学を教えたことがありますが、枝から柿をもぎ取った事がないので、曲げモーメントの破面形状が・・といってもわからんのがいました。けどそこで気がつけば其の人材は化けるんです。化かすのも教員の仕事ですよね。
で高校ですが、実態はかなりばらついている気がします。スーパーサイエンススクールに登録したり、大学教授の継続的支援を受けたりしている積極的な学校が有る一方で、悪い意味で旧軍の図上演習如く、孫子の兵法を堅持しとるのも有るようで、差別化といえばいいが、板書の記帳とビデオのみと言うところがあるんですよう。
また、そのため大学の一般教養時点で脱落するのもいて、補習授業などの手配に難渋してる事例もききますから(ため息)

投稿: デハボ1000 | 2007年8月25日 (土曜日) 02時23分

>けどそこで気がつけば其の人材は化けるんです。化かすのも教員の仕事ですよね。

このセリフに感銘を受けてしまいました。

投稿: niwatadumi | 2007年8月25日 (土曜日) 07時47分

>けどそこで気がつけば其の人材は化けるんです。化かすのも教員の仕事ですよね。

その通りですね。学生が化けたな、と思う瞬間があって、そのときは教員として充実感を覚えます。しかしそう頻繁にあるわけではないところを自戒反省しなければなりません。

>実態はかなりばらついている気がします。
このあたり、地方にいると選択肢が狭くて困ります。おおむね地方の「進学校」が後者のようです。中3の息子を抱える親としては悩ましいところです。

投稿: SUBAL | 2007年8月25日 (土曜日) 08時35分

こんにちは。昨日、デハボ1000さんと技術士会でお会いしたことがある高専の若い先生とお会いしました。私が出入りしている研究室で昨年、博士を取得されたそうです。昨晩はいろいろな企業で活躍されているエンジニアの方々とお話ができて有意義でした。

投稿: KADOTA | 2007年8月26日 (日曜日) 09時53分

>けどそこで気がつけば其の人材は化けるんです
なかなかないんです。幸いにも私は何回かあったので有意義な経験をしたと思っています。勿論其のバックには数多くの試行錯誤をしました。其の後ろにはそう出来なかった人材のほうが、実は多いわけですから、継続学習の必要性があるのでしょうな。

>私が出入りしている研究室で昨年、博士を取得されたそうです
ああそういうことでしたか。大変失礼をいたしました。

投稿: デハボ1000 | 2007年8月26日 (日曜日) 21時53分

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