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日本の演芸

土曜日午前、横浜の中心街に出かけ、仕事がらみの会議に参加した後すぐ戻ろうかとも思ったのであるが、最寄り駅の、みなとみらい線日本大通り駅(参考:こちら)まで来たところで、そのまま地下に降りてもなあとと思い、反対に上に上がって放送ライブラリーに入ってしまった。日本でも類似の施設がないものなのだが、ここの展示を一瞥したあと、昔のテレビ番組を見た。
で、なにを見たのかというとNHKの「日本の話芸」を見たのである。(参考:こちら)元々番組自体が古典芸能の保存を意識している処があり、意図してテープなどの保存が行われている(NHK放送博物館でもよく「番組を見る会」とかいう名前でやっているし、近頃はDVDをNHKの外郭団体自ら発売してますね)のだからいいのだが、今回見たのは、古今亭志ん朝(3代目・・故人:参考)と笑福亭松之助(2代目・・たとえばこれとかこれとか)である。
特に笑福亭松之助師匠はとかく、「明石家さんま」の師匠というところが喧伝されるのですが、彼が落語の世界をかなり広く考えていたということが明石家さんまを生んだところもある気がする。松之助師匠は実際軽演劇(新喜劇)を中心にしていた時期も有るし、関西方面の舞台中継では若手に混じって椅子取りゲームなどやっていたから、そう見えるのであろうが、舞台台本・落語台本の執筆などむしろ多芸の人であり、器用貧乏の類かもしれない。第一、笑福亭松之助の初代は、上方落語の戦後中興の祖として語られる6代目笑福亭松鶴の(5代目存命中の)名前であったことを考えると、実力はたいしたものであると見られている。最近はさすがに御年でもある(桂米丸と同年代。米丸師匠がもう引退状態に有ることを考えると、しゃきしゃきとしてるから感じないですが)から余り高座を勤めるわけではない。またすごくおしゃれである。(わたしでも感じる)まあ名跡の面では色々あったからか、弟子が全部「明石家」を名乗ってるのは、多少そのあたりの意識が有るのかもしれない。傍証として、初代桂文珍師匠は自書で「彼は、非常に頭のいい方ですから、笑福亭という名を弟子につけなかたんでしょうね」と語ってるところがある。(この本は、上下に分かれていたのを改訂の際1冊にまとめて再版している。元々関西大学文学部講師を勤めた際の講義録)
で今回、見たのは、「野崎詣り」、野崎観音参拝の道中記みたいなものですが、古典落語として掛け合いが面白いもの。HPを叩くと結構大阪市の観光スポットに道中がなってるが、じつはこの噺の枕にて、野崎観音は「(不動産案内風に)えー、場所はJR片町線 野崎駅から徒歩5分(笑)」(今でも間違いではないが、この表現は、まだJR東西線が開業していなかった時代であるから)と有るように、大阪府大東市である。見た感触で有るが、「実にクリアーな噺」である。いままで他の噺家さんとはかなり異なった、溌剌さを感じる。(ただし、この映像自体が1994年ごろのものらしくてそれで若く見えるのかもしれない)彼の噺の枕には、江戸時代の大和川の付け替え(天井川や、のちの鴻池新田など経て淀川に流れ込む形態を、直接大阪湾に流すように掘割を作らさせ、旧河川敷が田畑になった。というわけで元々大東市付近を通過していた。)に絡む薀蓄が入っている。(そのためか、大東市はかつては豪雨になると床下浸水の報道で必ずニュースクルーが出かけるので、変に有名であった。いまは聞きませんね。)
元々、大坂(とあえて書く)と伏見(京都の外港ともいえるであろう)の間には貨客船というか通い船(三十石船という)があった位で、こういう噺は上方には多いので有るが、この噺のように結構荒っぽい雰囲気があったという時代考証も出来るわけで、たとえば「くらわんか」という中継地、枚方(ひらかた)の商売形態は「三十石船」とつながるのだ。この通い船の商売は東海道線の開通と共に衰退するが、その反動が旧街道を通じる京阪電鉄本線の敷設のトリガーともなる。
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ただね、ここ、まだ完成して間もないからということも有るのか、古い放送生データの絶対的不足があるからか、他の民間放送のデータはまだ充足しているわけではないのがつらいところ。(かつては廃却したり、VTR時代になっても、テープを消して再利用していたりしてみたい。その後見直されてきたのがこのセンターの趣旨。)研究者の来訪も私のようなフリーの立場ではそれなりに資格がいるみたいで、そういうところのデータ研究がまだできるかというと、CM関係以外はまだ不十分であると感じた。
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さてその後、日本テレビが提供したデータ「ゲバゲバ60分」を見た。これは後年、「巨泉・前武のゲバゲバ90分」などの以前の放送フィルムを組み替えて、番組休止用(雨天でスポーツ中継が中止・・・)などのために作成されたもののようである。従って中に、「ゲバゲバ一座のちょんまげ90分」のネタが混ざっているという余り奨められたデータベースではない。(1972年のものと書誌上ではなっている)とはいえ他の放送資料もないようだ。(事実CMを抜いた仕様になってるのに72分の仕様になっている)
ただし小松方正(故人)、宍戸錠、常田富士男(故人)、藤村俊二、萩本欽一、坂上二郎、大辻伺郎(故人)、朝丘雪路、松岡きっこ、小川知子、岡崎友紀、うつみ宮土理、キャロライン洋子、大橋巨泉、前田武彦というメンバーの顔なぞはなつかしい。(中にはこのVERでは入っていない出演者もいる)個人的には、かなり前小松方正氏のマネージャーさんと知人の結婚式で隣同士になったことも有るし、キャロライン洋子さん(参考になるのが少ないが、たとえばこちら)のこまっしゃくれた演技はイヤー面白い。(長じてドックフードのCMなどもやっていたらしい。なおIT技術者になっていることは時々出ていたが、本名:Caroline Nan Koffで検索してみると、米ヒューレットパッカード社出願のJAVAに関するプログラムの特許請求、特開2001-125794(米国特許取得済 USP 7024365)というのがあった。日本の特許庁はこの内容を「公序良俗違反 : 処分日(平13.1.31) この意味はじつは、変なことではなく【発明を実施するための最良の形態】の中で商標登録されている機械部品名などを使って・・・という意味らしい」としている。まだ査定していない。)子役としては、杉田かおる女史も斬新であったが。
大体、私自体これを見ていた年代としてはかなり若い世代なのだが、オープニング・テーマ曲を含む番組で使われていたBGM(元音源)は、1998年にVapレコードによりCD化(じつはデジタルベースでPCで見ると、データ形式で記録されているので注意のこと)され発売された(題名:ゲバゲバ90分!!ミュージックファイル)時、速攻で買ってます。そもそも某発泡酒のCMで使われてますしね。
閑話休題、本当は落語を聞くなら、寄席に行って噺を聞くのがベスト。しかしホール落語になかなかいけない事情も有るし、最近の寄席のプログラムに食指が動かないのもあって、つらいところである。
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それにしても今日の文章は、リンク集になってしまったなあ。(苦笑)
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コメント

こんばんは。
>キャロライン洋子さん
どこかで聞いた覚えがある名前だなあ、、、と思っていたら、思い出しました。NHKラジオ「基礎英語」で英語の歌を歌っていたお姉さんですね。あれは私が中学生のときですね。懐かしいなあ。
今でも楽天で彼女の英語の歌のCDが販売されているそうです。
http://plaza.rakuten.co.jp/yuyunotubuyaki/diary/200704130000/

投稿: kunihiko_ouchi | 2007年6月26日 (火曜日) 00時35分

「巨泉・前武のゲバゲバ90分」欠かさず見てましたよ。学校では見てはいけませんとか9時には寝ましょうとか言ってたように記憶してますが(笑)。今から思えば上質な娯楽番組でしたね。

投稿: TX650 | 2007年6月26日 (火曜日) 01時30分

>http://plaza.rakuten.co.jp/yuyunotubuyaki/diary/200704130000/
へー、あるんですね。この番組放映時は6歳ぐらいだから「お姉さん」ではないです。NHK、しかも「基礎英語」にでていたことは知らなかったです。ところでこのCDの共演者:黒沢 浩さんというのは彼女のお兄さんだそうです。
>学校では見てはいけませんとか9時には寝ましょうとか
当時は、そういう風潮があったようですが、我が家では、親が見ている以上なにも言われませんでした。ただし、19:30~20:55までだったと思うので、この番組は9時に寝ようが関係ないんですよね。

投稿: デハボ1000 | 2007年6月26日 (火曜日) 19時37分

ほぅ、関西では19:30からでしたか。
関東(日テレ)では20:00からでしたよ。従って最後まで見ると21:30になってしまい、小学校低学年にはちょっと…というわけです。

投稿: TX650 | 2007年6月26日 (火曜日) 23時21分

関西だけ放送時間がかわることは結構有るのでそうなのかもしれません。(昔はかなり違ってました。最近はおとなしくなった)
その後いつも父親と一緒にNHKニュースを見ていたので、多分関西と関東で時間帯が変わってたのかもしれませんね。

投稿: デハボ1000 | 2007年6月27日 (水曜日) 01時04分

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