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談合は悪、だけどなぜ残る

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高速道工事でも受注調整か=大林組支店元顧問ら
名古屋市地下鉄談合 [時事通信社:2007年01月24日 23時10分]

 名古屋市発注の地下鉄工事をめぐる談合事件で、公正取引委員会と名古屋地検特捜部の合同捜索を受けた大手ゼネコン各社が、昨年に実施された同市内の高速道路建設工事の入札でも受注調整をしていた疑いのあることが24日、関係者の話で分かった。
 公取委もこうした情報を既に把握しており、特捜部と連携しながら実態解明を進めるもようだ。
 関係者によると、談合の疑いが浮上しているのは、名古屋高速道路公社が発注した8件の工事。別の談合事件で起訴されている大林組名古屋支店元顧問柴田政宏被告(70)が地下鉄と同様に仕切り役となり、2005年12月ごろ、落札する企業や価格を決めたとされる。 
-------終了
名古屋市営地下鉄桜通線 野並~徳重 延伸工事で、昨年2月と6月に入札を行った際に、入札前に落札予定の共同企業体を決めるなど談合を繰り返していたそうです。そして、今年1~3月に入札予定の4工区についても受注調整が行われていたようです。
裏で動いていたのは大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏被告で、予定価格が最高額の工区は、大林組が幹事の共同企業体が、落札するように事前調整されていた疑いがもたれています。そして、名古屋高速道路東海線の工事でも大林組が談合を仕切っていたようです。
(参照):http://fukucat.pussycat.jp/danna/2007/01/post_281.html#comments
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ということですが、顧問という職は、どうもこういうトップシークレットの結節事業のために、また人的コネクションを保つための職であるのだと思っていいのでしょうね。会社で人材や調達情報を集める必要がある場合、また業界団体をまとめるとかが業務になりそうですな。
会社経営の一つの効率化の中に、受注作業の平均化が上げられます。工業の中でも、受注を取るまでの計画業務・積算業務はお金になると確定したわけではないのだが、これをしないと業務が取れないという、一般的な会社と違うかなり八卦的な要素が多いというわけで、ここを死に金にしないためには、平均的・効率的に確注を取る必要性が大きいのです。
さて、不正入札は計10件延べ384億円余に達するそうで、これだけゼネコンはいわゆる「甘い汁」を吸っていたのでしょう。(甘辛い汁なのかも・・・・)それに増して、悪質なのが大手各社による「談合決別」の申し合わせ以降にも、このような談合を繰り返しているということ。どうも一筋縄ではいかないようですねえ。
さらには、業界団体が連名で「独占禁止法の遵守」と題した文書を会員各社に発信し、「疑わしい行動は行わない」と記されていました。たとえば大林組だと、大林組企業行動規範の中にこんな一文があるのです。
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企業行動規範 (概略引用)
 当社は、企業と社会との共生、個人の尊重、株主に対する責任、国際化の進展などを踏まえ、すでに平成2年4月1日付で次のとおり「企業理念」を制定し、事業の目的及び社会的役割を明確にした。

■企業倫理の徹底
法令遵守及び良識ある行動の実践
企業倫理の徹底、すなわち、企業としての法令遵守はもちろんのこと、役職員一人一人が倫理観の涵養に努め、企業活動において、高い倫理観を持って良識ある行動を実践する。
公正な入札の実現
建設工事、特に公共事業に関しては、刑法、独占禁止法に違反する行為はもとより、入札の公正公平を阻害する行為を行わない。
政治、行政との健全で正常な関係の確立
政治、行政との関わりについては、政治資金規正法、公職選挙法等関係法令の趣旨を踏まえ、健全で正常な関係の確立に努める。
反社会的行為の根絶
暴力団対策法等の趣旨に則り、暴力団等からの不当な要求に応じたり、暴力団等を利用する反社会的行為を行わない。
企業会計の透明化と適正な情報開示
企業会計の透明化、健全化を図るとともに、株主をはじめ社会に対して、企業情報の適正な開示を行う。
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ここまで、言ってもなかなか直らないですねえ。
こういう業界はある意味よく似た構造をを持っています。たとえば家庭用水道メーターなら
・愛知時計機械・金門製作所・東洋計器・ニッコク・・・・(順位不問)
家庭用ガスメータなら
・金門製作所・リコーエレメックス・竹中製作所・関西ガスメーター・・(順位不問)

で、この業界なんですが・・・・・
名門の金門製作所は再生法にのっかり、工業計測器大手の山武の支援で推進している状態
愛知時計機械はなんとニッコクが筆頭株主(東証一部の会社をですよ)
ニッコクはみのもんた氏の個人事務所が父の会社で自分も役員だった日国工業を吸収合併した。そして社長のみのもんた氏は、自ら身を粉にして、ギネスに載るようなTV出演量で稼いでいる。(これも会社経営上の理由が否定できないと思う)ニッコク自体も工場を大阪に増設しているが、これはある意味他分野からの参入である。計測関係の会社は、かなり「来ている」会社が比較的多いのです。

要するに、官公庁納入品に関しては基本的財力がなければ需要に応えられる信用が得られないし、かといって互換性などからあまり特異な製品を市場に送り出せない。(たとえば、韓国製の水道メータもあるのだが互換性などの問題で普及しない)特異な製品を出そうとするなら、所轄官庁の根回しが必須。(利害関係があまりにも入り込んでいる)しかもいろんな基準・法規にがんじがらめになっている。
もちろん所轄官庁にも専門家はいるのだが文献知識が主で、現場の困りごと、悩み(特に注文獲得率を重視する場合、予算を立てて運行することさえ苦しくなる)が、そこまで問題になるとは思わないし、聞くこと自体をすることが、はばかられることもあろう。
結果
(1)過当競争で技術を伸ばす潤沢な資金を確保することが出来なくなる一方、需要は多くある。
(2)樹状に沢山の関係会社があり固定費縮小位しか、ピークの仕事獲得能力維持方策が見えなくなっている。
(3)業務平準化という概念が、そもそもイレギュラー業務対応が多い発注側の認識にない。

嗚呼。
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そう言えば、JR京都駅(西日本側)の立替は確かJVに海外の会社が入っていましたね。けど彼らは、日本では商売しようにも、その硬直した体制では利がとれず、反対に技術として必要なときに海外から日本の建設会社に発注を掛ければそれで済むことなのだという、割り切りをしてしまった。そういう意味では「建設技術」は評価されているのだが、そこにいたるまでの過程に利益を見出す余地が、いまや違法すれすれ行為しかないということに気がついているのかもしれません。これが耐震偽装事件にもいえるかもしれません。
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ところで:http://fukucat.pussycat.jp/danna/2007/01/post_281.html#commentsの管理者さんは、
-----引用-----
実は、私は上限金額で価格を決定する入札制度に問題があると思っています。
発注者側に、金額と仕様の妥当性を検証できるだけのリソースがあれば別ですが、今の公共事業の発注側にそれをどこまで検証できる力があるでしょうか。
妥当性を検証できないから、一番分かりやすい金額で決めてしまうのでしょう。
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この妥当性という問題は、逆に1円落札という事例(SE系統)の裏返しなのだと思うのです。隠蔽性が高いものだから、後の保守工数で任意発注を掛けるしかないように追い込んでしまう。これに関しては、シンドラーエレベータ事故以降の港区役所の対応などとからめて話できそうです。この事例はマシン+システムの2面性がごっちゃになっているわけで、その気になれば文章が書けます。(笑)

さて、話を戻して、
●発注者側に、金額と仕様の妥当性を検証できるだけのリソースがあれば別ですが、今の公共事業の発注側にそれをどこまで検証できる力があるでしょうか。

まずないでしょう。あと業者として技術秘匿を行うのは当然であって、それを発注側が評価することが出来ないし、させたくないし、その能力を生かせる余地も無いのではと考えます。
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あと、企業は政府が育てるという側面をもっていたという考え方もあります。

官製談合については、「そもそも、企業が開発投資を行うために、このような仕様を要求しているんだから、それを、コストとして業者に還元することが、企業に対する間接的な支援になる。」という意図をS40ぐらいまでは意識的に、官庁の技監級が持っていたという話です。それも当時としては官庁の使命感として。裏返して言えば、そのような育成方針に対して、別ルートで這い上がろうとする会社は下手に辛酸をなめるわけで、ホンダの普通自動車への参入、ヤマト運輸の郵政省とのつばぜり合いということが、証左になりますでしょうね。

ここまで来るとセオリーの違いであり、今の政治感覚とはずれざるを得ないです。国鉄にも、橋梁の発注等では、条件に「必ず新規性のある技術を盛り込むこと」を条件にし、結果的に鉄道総研がからむこともあったようですから。

過日逢った、高齢の国鉄OBの方はこんなことをいっていました。
「僕の若いころは、橋梁などもバンバン設計させてもらい、業者とも一緒になって仕事をした。今みたいに積算業務・管理業務だけの技術者じゃなかった。けど、たとえば6連の橋梁なら必ず1つだけは、完全に私自身の設計だけを使い、業者の意見はアドバイスだけという、技術蓄積の飛翔台みたいなのをさせてもらった。それがあるからこそ実務の重さと怖さをわかって、管理できるというものなんだが・・・」
それが最後に出来たのは、東北新幹線の水沢付近の連続橋梁だとの話である。阿武隈鉄道・三陸鉄道あたりにもかなり特殊な橋梁があった気がするが・・・と振ってみたら、「業者が赤字覚悟でやらしてくれという任意発注の橋梁の場合はありうるけど、それはもう国鉄が口を挟める状況じゃ無かった時期だな・・・」とか。

かくも技術者倫理は、多面性を持つことを各々知って、かつひるまず職員各位が受け止めなければならないことである。

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【演習】
(1)昔の官公庁の民に対する立場と、今の立場がどう変わってくるか。フロー図を描いて分析してみよう。

(2)「清濁併せ呑む」(せいだくあわせのむ) という言葉を知っているか?
「辞書」 善も悪も分け隔てをせず、まるごと受け入れるということ。大海が清流も濁流も迎え入れることから、「清濁併せ呑むの気概」などと使って、度量が広いことに言う。
● 私が銀行で最も嫌だと思っていた「清濁併せ呑む」という概念が、事件の元であるからです。「清濁併せ呑む」ことは、私の周りでは日常茶飯事でした。たとえば、何かの企画を行う場合、たとえその出来が6割であってもむりやり実行してしまいます。理由は、役員に言われたから。他行がやっているから。9割の出来になるまで待っていたら、タイミングを逸してしまうから。結局、とりあえず自分の代は大過なく過ごそうとするあまりに、その場しのぎの施策が氾濫してしまうのでした。(注1)
●ある日、web上の論争について記事を書いて、帰宅して考えた。結局これは「ゆるい考えかた」だよな、と。なあなあ主義の考え方ですよ。「雌雄を決する」の対極にある思想。
 でも、少なくとも日本ではこっちが良い。「こっちが正しい」ではなく「こっちの方が受け入れられる」。
 良い言葉で言えば、清濁併せ呑むってやつ。呑めない奴は野暮
 思えば、多民族国家のアメリカでディベートが流行り、日本では未だに清濁併せ呑む文化が隆盛を極めてるってのは可笑しいね。(注1)
●日本経団連タイムス No.2806 (2006年3月23日)
今回は、ユニ・チャーム会長として経営にあたる高原慶一朗新産業・新事業委員会共同委員長から、自身の起業を支えた考え方や経営者が持つべき理念を聴取するとともに意見交換を行った。(中略)
会合の中で高原氏は、自身のメンターに両親や恩師、先輩などを挙げ、彼らから学んだ「ナンバーワン主義」や「時に清濁併せ呑むリーダーとしての心構え」が今の自分を精神的に支えていると自身を振り返った。また、吉田松陰の「夢無き者に成功無し」の一節を引用して、夢が成功への第一歩であり、さらに、(1)その夢に向かうやる気(2)携わる分野の選択眼とそこで大成する能力(3)成功をつかむタイミング――の3つが重要であるとの考えを学んだと語った。

世代に応じてこの言葉を「度量の広いリーダータイプ」「順法精が乏しいと解釈され世界社会でははじかれるタイプ」と見えるだろう。自分はどう思うか曖昧定義を入れていいから延べよ。
(注:注1・・「清濁併せ呑む」という文言の使い方で、記載した人物を特定されることもあるので、あえて引用元サイト名を省いた。)
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余談になるが、あるとき上司とこんな話をしたことがある。
上司「今残ってる開発内容を実験して結果を出すにはどれぐらい投資が必要だ。」
デ「大体100万ぐらいですね。機材はあるのですがこちらが手を8本持たない限り処理できませんね」
上司「人材については配置転換が無理だということだからなあ」
・・・
上司「おいちょっと来て」
デ「はい。あらえらくご機嫌で」(一緒に出てきた他の管理職はしょんぼり)
上司「800万取ったぞ、人材派遣要請するか」
デ「えー、またよく通りましたね」
上司「毒皿だよ」
デ「は。どういう意味ですか?」
上司「毒食わば皿までよ。さ、いっパイ」
といって上司は2個の自販機カップ式コーヒーに、引き出しから出したブランデーの小瓶から液を各々少したらして私に勧めた。(良く持ってるなあ。と驚いた)
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これも清濁併せ呑むタイプの方だった。

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コメント

いつもありがとうございます。
さて、質問とお願いがあります。
下記にトラックバックを送信していただくことをお願いできますか。
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2007/01/post_8144.html
もしお願いできましたらよろしくお願いします。
最後になりましたが、おたがいに心身を大切にしましょう。
では、失礼いたします。

投稿: とまと | 2007年1月28日 (日曜日) 19時48分

>さて、質問とお願いがあります。下記にトラックバックを送信していただくことをお願いできますか。

この方の記事は良く見ていただかせてまして、この文章を書くときにも、その見方を参考にしております。そういった意味でTBを掛けておきましたが、別件ではご期待に添えないこともありますので、その趣旨を承知くださいませ。

投稿: デハボ1000 | 2007年1月28日 (日曜日) 20時00分

さっそくのご回答ならびにTBありがとうございます。
取り急ぎお礼まで。

投稿: とまと | 2007年1月28日 (日曜日) 21時24分

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