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適当に適当なことを最適に仕上げる

「お前は適当なところがある」と、よく言われる。その通りであるのがほとんどで、疑う余地が無い。で、それなりに修正をするのだが、そのベクトルがずれていたりするんですよね
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私は、研究所勤務の時、工場には「私は25%から75%の人間なんですよね(笑)」なんて冗談を言っていました。決してうそではないのです
基礎研究を企業が行うのは有効だが、なかなか資産・陣容・理論構築がない規模だとまかなえず、現実に自分の勤務先もそうであった。従って、基礎研究(0~50%)は学会とか研究所、大学院などとの付き合いで得ていき、依頼研究で指導をいただくのがベスト

製品化研究はそこからの企業の味付けになるのであって、研究を中心とした試験機開発と、商品化を見据えた試験機開発は、図面の書き方からして異なる。前者は、技術課題となる機械要素を真ん中にすえて図面を起こして、計測するデータの測定機材の寸法を横にらみしながら、全体図面を書いていく。従って加工方法にしても、重量などの最適化は計っていない(但し、分解・再組み立てのやりやすさ・再現性は結構気にする)。
後者は、工場で作ると鋳物型の抜き勾配を気にしたり、全体的にその研究した機械要素をまんなかにしつつも、過剰設計にならないように配置を行い、図面完成の時は工場の設計技術者とともに会議(デザインレビューといいます)をおこなって、意志統一を図る。もちろん設計者の側からしたら「凝り過ぎている」・・・とかの指導が有るのが必然であり、修正を行うし、実験結果の連絡、会社上層部へのデモンストレーションなども欠かせない。(25%~75%)
最後に、試作したものの移管と、技術図書作成となる。この論文の中には、達成できた技術課題と、技術的な練りこみが出来なかった技術課題を明らかに切り分け、それの回避方法を研究所として提案することが必須である。

商品化開発は最後の仕上げであって、鋳物にすればどーなるのか。原価はどう、最適化された形状になっているか、どういう工程で製作していくか、そのための加工装置の状態はどうか、また細かいところで、手に傷を作るから、ここの角は丸くしよう・・・とかいう調味工程と、いざとなった時のFMEA(故障分析方法の一種)なども行うという雑事だけど抜けない作業を粛々と行って製品として、50~100%の業務をこなしていざ発売となる。

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私の担当職分は製品化研究であって、私は工場側担当者と会議をするときは、(元々工場の設計者だったことも合って)こんな冗談を言っていた。
私はご存知の通り、25%から75%の男なんですよ。そして現場の一線にたつ設計者・技術者さんたちは50%から100%の業務ですよね。従って私も提供できる技術は結構ありますが、逆に提供するべき技術が何かわからないという、鈍感なところがありますよね。ご存知でしょ。(笑)ですから、その点、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いします。またこれを機会にまめに疎通をとりましょうよ。いい飲み屋知ってますから。」
まあ、有る意味適当であることをカミングアウトしているのだが、ラップしている処があるということで、認識を新たにすることでは間違いないと思っています。

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そんな適当な男が、「適当論   高田純次著(というか口述筆記・対談がメインなので、実質、和田秀樹氏との共著である。この辺も適当(苦笑))ソフトバンク新書006 ISBN4-7973-3345-6」  を読んでいる。
文中にこんなのが有った(かなり以前の著書からの引用の由)ので、面白いなあと思って下記する。

----------------------引用開始
(P107~)
20代前半、デザインスクールを卒業するころ(・・・そういえば彼は、着こなしが彼なりににマッチしていいですね・・・)高田純次は自分なりの「十戒」を考えていたという。

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(1)理想、目標を持つな。
  若いうちにこんなものを持つと、空虚な挫折しか経験できない。
(2)自惚れも自信のうち。
  自惚れていても、何かひとつでも成し遂げられれば、それは自信に変わる。
(3)とにかくヨイショ。
  「なんだこいつは」と思われても、ほめておだてられれば、大概の人は悪い気がしない。
(4)カネは天下の回りもの。
  カネがなくてもくよくよするな。他人に一時預けていると思え。いずれ自分のところに回ってくる。女もそうだ。
(5)バカになれ。
  バカと呼ばれれば幸せは目の前。お利口さんは貧乏くじを引く。
(6)タダ飯タダ酒おおいに結構。
  カネが無いときは背に腹はかえられない。上手におごってもらうべし。出世払いという方法がある。(でもこちらは出世とは無関係だから詐欺みたいなもの)
(7)言い逃れの達人になれ。
  嘘も方便。正しい屁理屈を学べ。ただし、説得力が大事。
(8)浮気も本気も愛は愛。
  女に「愛してる」と絶対に言ってはいけない。「したい」ために、女をその気にさせるような墓穴を掘ってはならない。その一言で、抜き差しならない関係になることが多い。浮気で立って、本気で立たないこともある。男の生理とはそんなものだから、「立つ立たない」は愛に関係ない。
(9)無計画を押し通せ
  気分が変われば、転職もある。「普通の人」だから、会社にとってそれほどのタマであるわけが無い。だったら一生同じ会社に縛り付けておくことも無い。心はいつだってフリースタイルがいい。
(10)5時から男
  仕事をして、カネをもらうのは当たり前。いかに仕事をしないで金をもらうかがサラリーマンの真骨頂。

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これは、目を開かせる思い。5時から男てのはCMのせりふではなかったんだな
尤も私も別な意味で「5時から男」といわれたことがあるが。(5時までは、会議、実験(安全上夜間にはしないようにしている)の連続で、5時からやっと特許や報告書を書き始めて深夜に及ぶ(苦笑)) ちなみに高田純次氏のサラリーマンだったときの業務は、宝石のデザイン及び鑑定業務(その免許もまだ有るらしい)だとか聞いている。

なんとなく.稲川淳二氏のコンセプト(尤も稲川氏はホラー話で有名になりましたが、工業デザイナー出身でグッドデザインに選定されたものもあります)に似ているような気がします。

上記の「十戒」私に合わないものもありそうですが、これもすばらしいコンセプト(苦笑)だと感心した次第です。特に(8)なんぞは(以下自粛) ただし、彼が会社員を突如やめて劇団員をしていた時は、(妻子もあり)家計のためにアルバイトを掛け持ちしていたとか。責任感はある人なのです、実は。

なお、職務柄名前の後に「先生」を付けられる方もいらっしゃり、ありがたいことなのだが、私は、開業時に教わった先輩技術士の指導を守り「いやー、先生はやめてくださいよ。そこは、色々お客様に教わるところあってのしごとですからねえ。よろしくお願いします。」というようにしている。バカになれるのは才能である

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