« リバースエンジニアリング(1) | トップページ | 改善提案とはいかないんだ »

リバースエンジニアリング(2)

(承前)
-----------引用 http://www.furutani.co.jp/cgi-bin/term.cgi
リバースエンジニアリング(りばーすえんじにありんぐ)-著作権関係-
 他社の製品を分解して解析し、そこから技術情報を抽出すること。マニュアル記載の動作からの解析、テストランによる解析などによるリバースエンジニアリングは問題ない。なぜなら、著作権はプログラムの表現を保護するものであって、プログラムの表現の奥にあるアイデアについては保護しないからである。
 しかし、オブジェクトプログラムを逆アセンブルし、ソースプログラムの形にした上で、情報を抽出する形態のリバースエンジニアリングについては、形式的には、元プログラムの複製や翻訳行為に該当する。ただし、公正利用と考えることもできるので、多くの学説では著作権侵害とならないとしている。
------------終了
保護対象となるのは、たとえば、社内で秘密裏に開発していた試作品を産業スパイが社外に持ち出す等の非合法な手段で入手した場合であって、合法的に入手した市販品についてリバースエンジニアリングする場合は合法なのだが、その辺りの区別をどのようにすればいいのだろうというのは、考えうることである。いわゆる「ばったもの」というものには、制限が掛かってしかるべきである。
たとえば、
-------------引用 http://www.rfactory.co.jp/product/other/reverse_e/index.shtml
粘土や彫刻、実際の製品など、すでに形になっているものからデータを測定し、そこに加工が可能なCADデータを作成することを、リバース・エンジニアリングと呼ぶ。まず手づくりで試作品を作り、それを元にして量産品や量産用の金型などを作るための手法だ。
従来は非常に高価な投資が必要だったリバース・エンジニアリングも、最近では安価な製品を使い手軽に行えるようになった。お客様での効果としては、 『試作費の低減』があげられる。従来は、高額な試作費をかけ外部に発注していた試作品作りも、この提案ならば自社でまかない、大幅なコストダウンを実現できる。
事例:
ヘルメット ・ カーデザイン ・ 五月人形(兜)  ・ グリル、レンダリング写真合成
--------------終了
上記の製品の場合、従来から公知である形状ならば、著作権・意匠権の侵害を苦慮することなく安心して、製品にすることができる。しかし、これが意匠・会社のマークなどの商標などに対する侵害ないしは侵害を促す行為を示すことになれば、当然、倫理的に保護がなされてしかるべきである
このほかにも、生物化学的な構造解析についても近年リバースエンジニアリングの概念が適用されるようになった。
-------------引用 http://sta-atm.jst.go.jp:8080/dic_2011_01.html
分析工学、逆行分析工学、調査解析、解析複製などの意味で、他社の新製品を分析解析して、その技術や構造などを自社製品に応用する開発手法をいう。これに対して、通常の開発手法をフォワードエンジニアリングという。最近では、中性子3次元CTのリバースエンジニアリングへの応用等の技術開発が行われている。
-------------終了
さて著作権による問題は、このように解されている
------------引用 http://www.venture.nict.go.jp/ipr/ken00002.html
プログラムをコンピュータにおいて「使用」することは、本来、著作権の侵害にあたらず、著作権者の許諾も不要です。 しかしながら、プログラムの違法コピーを「違法コピー」だと知っていて入手し、かつ、そのプログラムを業務上使用することは、著作権侵害となりますのでご注意下さい。
著作物の利用に関して、利用許諾契約を締結しており、その中の条項にリバースエンジニアリング禁止条項が含まれていた場合、契約違反となります
------------終了
しかも、このコンピュータープログラミングについては、国によって産業育成の立場から施策もことなる。
------------引用 http://japan.zdnet.com/news/itm/story/0,2000056188,20081782,00.htm
米国では現在リバースエンジニアリングは合法だが、ただしデジタル著作権管理(DRM)技術はその対象外とされている、とGosling氏は述べた。「このため、Microsoftのような連中があらゆるものにDRMを組み込んでいる。たとえば文書フォーマットなど、まったく意味があるとは思えないようなものにまでDRMが使われるようになった。こうした動きの背景には、実はリバースエンジニアリングを非合法化させたいという思惑がある」
「これはDVDの場合に起こったのとまったく同じものだ」と同氏は述べ、DVD分野で利用されている暗号化システムに言及。「あの暗号技術は世界中でもっともできのよくないプロトコールで、本当にバカげた代物だ」
------------終了
このように考え方の差異は深刻であるし、国ごとの方針に従って厳正に対処する必要がある。ただ国ごとに製品についての考え方はまだ異なっているのに、物品はすでに国境を越えて流通していく。
事例1」(文中には名称を固定できないように略号を使っている。)
日本での話。一部秘匿により省略している項目がある。(参考文献 流れわざのシルクロード 小川著 日本工業出版 P136)
薪ストーブを製造・販売していたA社は、かねてから大手装置メーカーB社幹部から、「わが社ではガソリン等の計量給油装置を製造する考えはない。しかし、今後石油暖房や自動車が普及するに従って、計量器も普及するであろうから、A社でぜひとも事業化するべきだ。」というアドバイスを受けていた。そこで少しずつではあるが、A社では本務の事業の合間に開発のための調査に着手していた。
有る日、A社幹部に懇意のC鉄道会社から、「D社納めの外国製のガソリン計量器が明日、駅に到着する。駅では別の路線に乗せ変えてD社に送ることになるが、荷物の滞貨が激しく、このガソリン計量器は、駅にて二日間保管される。A社として見学する気持ちはないか」との連絡をうけた。
翌日この計量器が駅に到着し、早速2日かかって全体の形状、材質をしらべ、かつ、それまでの実験結果を考慮しながら、部品の細かいノウハウと寸法公差を工業的見地から想定した。
荷物はD社に無事納入された。そして、A社は設計ノウハウや製造方法を見出し、後に自社初の燃料油給油計量装置を販売し、西日本に確固たる市場を得るにいたった。
------------
この場合は、自社においてノウハウを確保する手段としてリバースエンジニアリングを実施したわけである。技術の基本が有って、また公差や、材質などの知見を独自に盛り込んでいるから、合法な範囲に属するものと考えられている。
ところが、これが、法規に関することであったり商品の品質が著しく、本来の製品の声価を貶めるような場合ならどうであろうか。
-----------
事例2」参考:http://elaflex.kunden.beastsassociated.de/com/index_com.htm
エラフレックス社はドイツにあり、欧州の全域、及びアジアをを市場として、燃料油計量装置のホース・給油用ノズル・配管用コネクタを製造販売している会社で、欧州の市場のほとんどをこの会社が占めている、優良企業である。(日本では燃料油給油装置は官庁検定の問題もあって、ホース・給油ノズルとガソリン計量器は一緒に作りこまれて、販売している)この会社の製品には梱包にelaflex の文字本体の樹脂カバーに「ZVA」の商号が成型されている。
しかし中国市場から、きわめて類似性の強い製品が販売されていることがわかった。以下はそれに関する注意喚起と品質保証の権利を有さないことの注意文である。
WARNING - ZVA Slimline Copies from China
Some service contractors and O.E.M's received offers of ZVA Slimline look-alike nozzles.
These are marked "ZYQ/AILE,"TDW/Great Wall ZVA" and "Bada".
These nozzles have been adopted to look like the original in minute detail, including our trademark, logo, spare part numbers and packaging.
There are possible dangers due to mix-ups. Spare part dimentions and tolerances are different.
Furthermore we have no information that the nozzle copies have been tested or approved due to recognised standards.
参考:詳細の説明書は以下のHPからダウンロードするとよい。(独・英文)http://elaflex.kunden.beastsassociated.de/dokumente/download/ELAFLEX_Information_3.03.pdf
ガソリンを扱うものであり危険を伴うため、各国とも認証機関を通じて販売しており、エラフレックス社製品はドイツの認証機関であるTUVを受検している。
(続く)
----------課題-----------
(1)他社の製品を、自社で参考にして開発する製品の基幹要素として用いる場合、得られた公知技術のほかに何を付加する必要があるか。討議せよ。

(2)リバースエンジニアリングの場合でも避けられない項目がある、役所の認証などが考えられるが、他にいかなる課題があるか、具体的に考えてみよう。

(3)「事例1」と「事例2」には時代背景のほかに、技術全般に関する大きな違いがある。それを相互の比較表として取りまとめグループで議論せよ。

|

« リバースエンジニアリング(1) | トップページ | 改善提案とはいかないんだ »

コメント

リバースエンジニアリング(1)(2)を通じて、立体モデルからの形状データ起こしの話だけが、同じ「リバースエンジニアリング」という言葉で呼ばれるとはいえ異質の事例なのではないでしょうか?
他者製品から形状データを起こせばそれは他の事例と同様の問題点があるのでしょうが、自社で(もしくは自社で発注して)作ったクレイモデルなどからの形状データ起こしは、ただ単に社内の開発作業上の手法の問題でしかありません。

投稿: TX650 | 2006年10月18日 (水曜日) 00時32分

TX650さま

ご指摘ありがとうございます。(2)の一部に他社品からのトレース事例がありますので、そちらに動かします。(推敲して)

投稿: デハボ1000 | 2006年10月18日 (水曜日) 09時27分

そういえば、以前「SEC」というブランドのAMラジオを買ったことがあります。(知ってて買ったので文句は言いません。)ラジオ自体は全然問題なかったのですが、外装が硬質プラスティックを用いていて一寸の衝撃で粉砕してしまいました。(苦笑)

投稿: デハボ1000 | 2006年10月18日 (水曜日) 22時27分

硬質プラスティックの材質は何ですか?
ポリカか、せめてほどほどの硬さのABSを使っていれば「粉砕」ってことはないでしょうね。
スチロール(ポリスチレン)だったりして(笑)

投稿: TX650 | 2006年10月20日 (金曜日) 01時10分

最初のコメントの続きです。
そもそもモデルから形状データを起こすことをどうして「リバース」と呼ぶのか?という問題もありますね。
これは「設計屋」「図面屋」サイドからの発想のような気もします。私に言わせれば、立体形状を考えるのにデータから先に作ることこそ「リバース」です。(機械設計でもまず類似製品・部品や時には木型・紙型で検討してから図面やデータに進む場合がありますよね。)

投稿: TX650 | 2006年10月21日 (土曜日) 18時03分

>そもそもモデルから形状データを起こすことをどうして「リバース」と呼ぶのか?という問題もありますね。

設計者の見地からみないとこのような意見も有るわけですね。このような疑問は、実は考えてませんでした。文言をどうするかを含め、至近に参考とさせていただきます。

投稿: デハボ1000 | 2006年10月23日 (月曜日) 16時57分

私自身機械設計者も経験しましたが、少なくとも私の場合は、まず図面で検討してから…という発想プロセスをとったことはないです。必ず立体で検討してから図面にしていました。
というわけで、設計者といってもいろいろだと思いますが。

投稿: TX650 | 2006年10月23日 (月曜日) 19時03分

そこ、あまり私の場合は参考になりませんが、研究の場合と商品設計の場合でも違いますね。後者の場合は立体検討を頭でする(3DCAD導入前)のですが、前者は要素技術からモーターとか付随要素をくっつけていく思想をとりますね。これはTPOによってかなり違うのではないかと思うのです。

投稿: デハボ1000 | 2006年10月23日 (月曜日) 21時30分

3DCADを使う場合でも、結局は立体での検討は全く不要にはならないように思います。今後、立体視できて手で触れる3DCADが開発されればまた別ですが(笑)。

投稿: TX650 | 2006年10月23日 (月曜日) 21時58分

いやあ、光造形で部品を検証する場合も有るそうです。(3Dプリンティングとかいうそうです)実ラインで使えるかは時間的に疑問ですが、そういうプレゼンもあったということで。

投稿: デハボ1000 | 2006年10月23日 (月曜日) 22時31分

それはデータが既にあってその先の検証をするツールの話ですよね。
私が再三申し上げているのは最初の検討・創作段階の話ですので、問題が全く異なります。

投稿: TX650 | 2006年10月24日 (火曜日) 05時10分

TX650さま
今までの指摘を考えると、リバースエンジニアリングというのを各部署、各会社が、さまざまに解釈しているということに思えてならないのです。
これは、別の問題が出てきたように思えます。そう考えると、以前に書いた事例と似てくるので、少し纏めて見たいと思います。

投稿: デハボ1000 | 2006年10月24日 (火曜日) 23時39分

写真から3次元形状データを作成するプログラムを作っています。
作成した3次元形状データはDXFやIGESでCADに読み込むことができます。
またインターネットで公開できるVRMLで出力することもできます。
よろしければご覧ください。
http://www3.plala.or.jp/SolidFromPhoto

投稿: SolidFromPhoto | 2008年11月24日 (月曜日) 14時28分

>写真から3次元形状データを作成するプログラム
今昔の感があります。逆にモデリング技能をでじらつ展開できる技術は極めて身近なところになってるんですねえ。

投稿: デハボ1000 | 2008年11月26日 (水曜日) 00時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/12320371

この記事へのトラックバック一覧です: リバースエンジニアリング(2):

« リバースエンジニアリング(1) | トップページ | 改善提案とはいかないんだ »