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コンカレント・エンジニアリング

コンカレント・エンジニアリング/concurrent engineering/CE/並行設計
地理的に離れた設計部門、生産部門、資材部門を画像も送れるマルチメディア・ネットワークで結び、資材部門の資料と生産部門の状況を把握しながら、最も効率的な設計をするシステムの総称で、一種のコラボレーションである。
製品開発の立案・概念設計から構造解析・試作製造・部品の詳細設計・製造までを並行的に同時に進め、すべての作業従事者が工場内の情報を共有化することによって、生産ラインでの無駄やムラを徹底的に排除しようという発想からできたシステム。
新製品の開発を短縮し、顧客ニーズにあった製品をいち早く市場に投入するのが目的で、製造業ルネッサンスともいわれ、このようなシステムは世界各国で同時進行している。
とくにドイツの自動車業界では、1994年からオートファクトリー2000と名付けられた自動車工場モデルが話題を呼んだ。また、CAEと3次元CAD/CAM(コンピュータによるエンジニアリング・設計・製造)を連携させた統合システム(注:BOMシステム)は今後、製品データを共有するコンカレント・エンジニアリングの重要な道具になる。
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と辞書的に書かれてもなんのことやらわらん。もう少しやわらかく解説してみましょうか。・・というわけで松下電工で実践してきた方の意見をベースに解釈してみましょう。
 コンカレントエンジニアリングが目指す姿は、
(1)製品全体のデザインからそれをつくりだす金型(プレス・鋳物・射出樹脂)設計までの全ての商品開発の一気通貫(・・全部を澱みなく進行させること)と同時進行。
(2)たとえばCADシステム・CAEシステムなどをフルに駆使しての、高信頼商品開発の仕組み作り。いままでに培った情報の蓄積と武装によるインテリジェントな「五設一体」です。
 「五設一体」というのは、商品設計、販売設計、生産設計、設備・金型設計、工法開発設計の5つの設計を担当している人が常に連携をとりながら商品開発を進めることを言っています。これらの行動はもともと一般的な日本企業なら、どこでもやっていることです。しかし、これは欧米では非常にユニークなめずらしいやり方です。というのは欧米では仕事はすべて分割され各個人に分担されているから。
 1980年の後半に「日本の自動車の開発があまりにも早い」ということで、欧米の学者が日本に調査にきていろいろ調べた結果、いろいろな見識が得られましたが、その中に、日本では生産技術セクション・商品開発セクションなどがセクションを越えてしょっちゅう話し合いをしてる、これが違うんだという見識を得るに至りました。
そう思って、アメリカの現地法人の人と話してみると、たとえば「品質保証担当」ならそのことをありとあらゆる手法を尽くし、時には研究してやりぬくという勤労的な社会構築地盤です。しかし自分の仕事に忠実なあまり、他のテリトリーに要因があって、そこに訴求しても、評価されないどころか、排斥される。曰くそういう動きはマネージャーが行うべき調整行為だろって。そこが、意識下にあることからなくそうというわけで「サイマルテニアスエンジニアリング」という言葉を作って日本を真似しようとした。コンセプトは「垣根を外す」ということ。
ところが彼らがいくらやってもうまくいかないという壁につきあたってしまう。どうも欧米人の世界での人間関係でこれを実現するのは無理だ!ということで、手法をがらっと変えて「アメリカの得意なコンピューターのデーターベースで連動したらいいだろう」いうことにした。また、日本ではデータベースとして扱うシステムより技術資料・勘・経験・根性で資料としてまとめる横展開の難しさという、データベースの穴があった。協力工場と元受工場間のデータ・設計ノウハウの取り交わしが弱かったというピンホールを見つけていたようだ。
確かにコンピューターの連動は武器になる(資本投下は必要だけど)だけど、それだったら「松下電工の社内プランである五設一体の考え方」と「コンピューターの活用」という両方いいとこ取りをしたらいいんじゃないかというのが、「情報武装」のコンセプトです。
ドイツが根源と考えられていますが、その種は日本にある。日本人に出来ないわけはないだろう。と日本企業が考えても不思議ではないのはこういう経緯からなのです。(引用:http://cadceus.com/case/index13.shtml)
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コンカレント・エンジニアリングの狙いってなに
コンカレントエンジニアリングの目的は
(1)商品開発期間の短縮:商品開発が遅れると33%の利益を失う。それくらい商品開発期間を短縮するのは有効で現在の1/2に短縮するのが目的です。
(2)コストの削減。商品開発の企画段階、基本設計段階、まだ商品の5パーセントしか決まってない時点で、その商品のものづくりコストの8割方が決まってしまるんです。(注:パレートの法則を考えるとなんとなく分かる)商品企画担当者が「ものづくりの情報」を知っていれば無理の無い商品企画ができ、コストは大幅に削減できます。ものづくりの情報を知らないと、高コストの内容で商品開発が進んでいってしまう。だから、できるだけ下流の情報を知った上で商品企画開発をやらなければいけないんです。また下流設計部門の人も上流の設計者と話をすることは必須です。こういうときにシャイでオタクな設計者は思いっきり不利ですね。
ITを使って比較的量産技術が確定されているものについては、イメージ化すると、この商品のためにはこういうものを作らなければいけないという下流の情報が、設計者・上位監督者・現場作業者・そして経営トップに対してまでそれこそ「一気通貫」して明らかになります。そのうえ社員のモラール向上も得られるし大変に有効です。
家電商品におけるコンカレント・エンジニアリング
 松下電工は、10種類くらいのCADを使っており。彦根工場で家電商品を作っています。設計短縮のためにITを使った検証作業は行いますが、それだけではだめだということで、工場に3次元CADを備えた3次元設計室を作り、デザイナーも製品設計者もみーんな集めて一緒になって製品を作っています。
3次元CADでデザインし、それをもとに製品設計者が評価する。それを何回かやってOKになったらたとえば光造形とか簡単なNC加工を使って樹脂で製品を作って機能評価します。(耐久などの評価を代替しないなどというノウハウを持っていれば、この段階でできる評価試験が絞り込め、簡易的に試作は完了です)機能評価がOKになったら、即このデータから金型設計をまた三次元データを横流ししてやる。ここまではITを使えば短縮できますが、問題は金型作り。金型作りはマシニングセンターとNC放電という道具立てが昔と変わらず、ここの工期短縮が難しい。
家電商品の約55%は成形品の最終個数が3万個以下だといわれます。たぶん今パソコンとか携帯電話という商品はみんなそれくらいでしょう。だからそれに見合った省コスト生産が必要なんです。そうは言っても3万個と一口で言っても大量ですよ。成形で打つためにはやはりきちっとした金型がいるわけで、後々の日程からおろそかに出来ないので、50日間位かかります。今後はこの点の改善に乗り出す必要があるかもしれない。
コンカレント・エンジニアリングの3大機能:現状と課題 
 >■ コンカレント・システム
 ■ フロント・ローディング・システム
 ■ ラピッド・プロダクション・システム
  コンカレント・エンジニアリングには3つの機能がある。コンカレント・エンジニアリングの柱の1つである「PDM」には、「データ管理(生産の入庫・出庫)」「部品構成管理(協力工場からの納入部品在庫・生産状況)」「ワークフロー管理(これらが組み合わされて全部の部品になるまでの製品ごとへの追従)」という設計というより生産技術・生産計画・購買という3つの曲面が入って来る。
そこで、あるとき「プロペラファン」をコンカレントエンジニアリングで作成したときにPDM機能を入れてみようとして、WEBを使って、設計データ・CAMデータ(加工用のデータ)・標準データを管理する商品開発データベースを作ってみた。結論としては市販のPDMアプリケーションと大差ないレベルまで、意外と簡単に作れた由。
でもワークフロー(要するに工程管理)の部分だけはちょっと厄介でできなかった。市販のPDMはその辺を相当検討した上でのアプリケーションになっているので、やっぱり選択肢としては売っている物を買ってきてベンダーさんと一緒にワイガヤしてカスタマイズするのが一番早いと思う。ただ自前で作ることも不可能ではない。
金型のCADCAMも考え、様々な自動設計システムの取り組みをしが、うまく使えなかった。そこで、金型専用の金型PDMをCADCEUSベースの金型3次元設計システムと連動させ、効率化を図った。PDMに埋め込まれた過去の資産を「形式知」とし、現在の設計の手順をナビゲートしながらCAD上で「対話的に処理」する設計ナビゲーション機能を実現した。
 もう一つの課題はフロントローディングシステム。いかに下流・・・というか後工程の情報をつかむかが大事である。たとえば早く作れそうだけど・・・という情報を取得し、商品開発の初期段階で生産設計、品質の作りこみ、コスト見積もりができる事前評価システムを構築した。そこで満足しないなら、やり直すことになるのだがITの力でその反復計算も以前と比較すると飛躍的に早いので工程阻害はおこさず、運用は容易である。
「五設一体」というのは、商品設計、販売設計、生産設計、設備・金型設計、工法開発設計の5つの設計のことを言うわけであるが先行研究がはいるラインが見えにくい。設備系設計・工程開発設計・製品設計については別途研究施設を立ち上げて常にかれらをサポートする必要がある。商品設計でもイノベーティブな製品についてはこぼれた油を手に受けるが如きサポート部隊は必要であろう。
コンカレント・エンジニアリングの推進の運用手段
 まず会社トップをリーダとする全社活動として進めなければなりませんし、プロジェクトの中では人材育成も計りながらすすめます。(そうでないとラインを止めることになります)いきなり全ての商品に対応するシステムを作・・・・・ろうとすると、まずするのではなく基幹商品をモデルシステムとし、標準化を伴った分析を行い内容をDB化してきます。成功すれば他製品に適用・又適用と次々に展開していきます。
ハードソフトの選定では、既存システムとのリンク・カストマイズ性・サポート力など、柔軟な構成がとれるシステムが望ましいでしょう。自社ノウハウを内蔵できないシステムは意味がありません。となると自社のシステム構成と買ってくるソフト双方に精通するベンダーを選ぶ。これも意外と、見積もりだけで判断できない技術力の相性の検証ができる「目利き」が必要なんです。
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さあて段々難しくなってきました。更に定義を広げた事例をみて問題点を考えましょう。
コンカレント・エンジニアリング concurrent engineering / CE / 同時進行技術活動
 狭義には、製品開発において概念設計/詳細設計/生産設計/生産準備など、各種設計および生産計画などの工程を同時並行的に行うこと。設計部門内で複数の設計者が共同作業を効率的に進めることを指す場合もある。
狭義のコンカレント・エンジニアリングは、CAD/CAE/PDMなどのシステムを通じてデータの共有・共用を行い、例えば意匠デザインと構造解析、強度計算などを同時並行して作業することで、製品品質の向上と同時に開発期間の劇的な短縮を目指す。
 広義にはこれを拡張して、企画・開発から販売・廃棄にいたる製品ライフサイクルの全フェイズに関連する部門が、製品の企画や開発、設計などの段階に参加・協働することをいう。どっちかというと、モデルチェンジに近い領域である。 
広義のコンカレント・エンジニアリングでは、
●開発・設計のプロセス技術者
●生産技術者
●購買担当者、
●品質保証技術者
●管理営業や技術営業
●マーケティング担当者
●サービス・メンテナンス部門
●主要社外部品メーカー

まで一堂に集まる(引きずりだす)ことで、これら後工程の情報を開発者にフィードバックする(知らしめる)ことを意図し、相互の問題点、守りきり要項とそれによって分かってくる全体的なコストダウンの可能性を提案することが目的となる。
一般的にパレートの法則にもあるが「製品コストの8割は設計の段階で決まる」とされている。だが設計拘束(環境の配慮・生産性向上・客先タクトとの同期)が、従前の設計・開発業務に比べ制約条件が格段に広がってきている。これまでの思考概念で動くと、優先順位などの把握が附かなくなることはあきらかに見えている。
◎部品種類ので従来の意匠、機能、強度などの設計要件
◎製造コストや生産設備上の制約、
◎ユーザーの要求、(優先順位をつけた)
◎保守のしやすさ、
◎廃棄やリサイクルコスト

などを設計者に考慮させることにより、全体のコストが安くなるような部品図を完成させることを狙う。また、後工程の意見が開発初期段階で吸収されているため、製品出荷後の変更なども少なくなることが期待される。この段階で3D設計をビジュアルに提供すればいいということになる。
 一般的にはチームを編成して行われるが、その作業はほとんどネットワーク上で行われることから、バーチャル・エンジニアリングとも呼ばれる。また、サイマルテイニアス・エンジニアリングという言葉もコンカレント・エンジニアリングとほぼ同義に使われる。
とはいえネットだけですべての業務が始末できるとはゆめゆめ思わないでほしい。この方法は、各位が相互に問題点を討議しその優先順位をパラに定めることにより「開発期間の劇的な短縮」という隠れた・重要な課題の解決も意図しているのだ。フロントローディング(前倒し開発)の趣旨はそこにある。
(逆に設計・製造・販売のプロセスを順に行っていく手法をシーケンス・エンジニアリングという。PDSというサイクルがそのまま外部に出て行ってしまう、簡易な設計手法・単品設計手法ということの証左にもなる。)
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これを書くため、CEの本を読んでみた。顧客側でなくベンダー側に立ったとき私は何をするべきかを改めて内省するためである。が,コンカレントエンジニアリング(CE)は、開発期間をドラスティックに短縮する考え方である。この考え方を開発と生産の役割を変えながら常に進化させていく「プロセスのすり合わせ」と製品開発に適応する「プロダクトのすり合わせ」の「マネジメント」を通じ手法にまで具体化が求められる。
CEは、MOT(技術マネジメント)の主要テーマでもある。CE成功の鍵は「全体最適を目指すマネジメント」にほかならない。ただ、お互いに優劣があっては、だめ。会話面談・・・「すり合わせ」・・・がすべての業務推進のコアになるのだから。
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機械部品に定盤という平面基準の工具がある。これの校正は3枚の板をすり合わせ、光明丹の痕跡を見ながら「きさげ」という切削工具を使いながら平面を作る。すり合わせとその検証が精度の、品質の決めてである。何気なくやっているように見える、刷りあわせと平面ラッピング加工。設計者はその工程を一度見つめ、見つめ見つめ倒してほしい。齟齬が赤く見えるはず
それと、いずれにせよコンカレントエンジニアリングを進めるためにはデータの共用化という関所は避けられないんだぞ。優先順位をよく分けまえてしなけりゃなりませんね。

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