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技術者の知恵蓄積化(1)

製品を開発するためには、一人で町の発明家がおこないました・・・というのもありなのだが、そういうわけに行かないということは経験上、皆さん知っていい所とだろうと思う。製造・販売・管理・・・・・という風に管理項目が増えていくとすでに「かいしゃ」という共同体に依存することを物語るのだと思う。
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あるとき、会社で共同研究している年長の方と懇談していると、・・・・・・・・・・・研究してある人が特許をとる。かなり実務経験が豊富な人でも弁理士さんにはお世話になるだろうし、そのコストは必要である。出願維持費用もかかる。
ところが、その特許が有能であればそれだけ、他社はこれを限定的な特許にしたいと考える。(いわゆるつぶしにかかるというやつ)すると特許庁に「過去の文献にこんなのありまっせ」「過去に出した審判事例ににていますね」とかいう匿名の情報提供を行っておく必要がある。これも弁理士が協力して行うのが常である(海外への審査だと、日本人では通じないので、日本の弁理士と意思疎通が図れる現地国家の弁理士事務所(代理人という人)を介するため天文額的費用になる。でも輸出品では相手国がまねするから免れないものもある。
まあ、開発業務に関わる人ならご存知の、日亜化学の元技術者 中村氏においても最後はかなり要求額を引いて示談に応じた。開発にはその人の知恵も必要、冷酷なデータを取る機材や職員も必要だ。このあたりの費用・そして彼の見出した技術を使って製品販売活動を行ってるのだから、会社の収支としてはここまで考えていかなければならないわけを、ある程度認識し、かつ人格的な把握を行っているのであろうとおもう。
今、競争会社の重大な特許を使って、他社が製造販売する使用権を認めさせる場合「製品の販売利益×2~3%」という形で支払う形で、よりを戻すことが多いらしい。もちろんクロスライセンスというのもある。
もちろん徹底的にとなれば、地方裁判所特許庁-知的高等裁判所-最高裁の3審で争うことになるが、お金の面で成り立つのかなあ・・・・ということでここで大概は和解に持ち込む。
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意外と出願中の特許を潰すという行為はコストがかかる。ところが、個人の発明者にそのような資金・能力があるかといいうと、法律・過去事例うんのかんのと、1件2000万円(弁理士4人)かかるそうである。それが個人にできるか?したがって難しいことがわかり、権利放棄をするしかない場合も多いし、うらを返せば、「その特許申請中の案件、200万でかいとりましょうかという」と競合会社がいうことは時々あるのである。

(1)特許を社長の名前で出願した(部下からは譲渡証書は取っている。成果報酬も払っている)この場合、有効で使える特許を権利主張され、相手からは非常に困るのであった。・・・というのは「特許を書いたのはこの会社のこの人」というデータベースをどこも、競争で社内データベースで取ってあるのにつかえないのである。
(2)会社と関係ない研究職員の発明を、担当者と会社の間で名義を代えずに譲り渡す。したがって工業実施権は会社にもある。その場合、研究設備を会社が貸したとか、非常勤研究員を会社から一時的に異動したとかいう関係を無償でおこなってその代償として特許実施の権利を与える。この場合、発明者の基本的な名称などは代わらないから・・・・非常に隠密的な開発・製品化が進むので、相手は困るのである。
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これはまあ社外的な問題であるが、開発部署でこの特許知識を共通化させておくと。その内容に関するインバースを基にした知的所有権もできるかもしれないし。(使わなくても他社抑止に使える)、そこから新たな研究のニーズが出てくることも多い。

つまり、研究経緯 研究目的 研究結果  研究取得物をまとめて開示すること。製造部門に伝承するように読み替えて製造にもっとも適したものにするノウハウ、ニュアンス、トラブルシューティングを作れるところを纏め上げる・・・・・・ということを「研究報告」という形で取りまとめ、上申することで、投下資本検討の資料とし、見る人に回して問題点を積み上げをすることが、跳躍の一歩である。
それが、従来は研究報告論文・研究で用いた試作製品・ジグの移転によって商品に落とし込んでいくのが設計であった。
だ・け・ど・も、人員がファブレスの時代、個人の頭にあり、潜在知識として全員がおなじ基本知識を持っているということは難しくなってしまった。一般的な機械要素の開発に環境・コスト・既存生産設備の運用までまとめなければならない。実験職人より研究職人の優先力が急に上がってきた(バランスが変わってきた)。
また、失敗項目というのは論文形式でまとめると、非力な研究者という形になって昇進などに関わることを自分でしていることになるから、隠蔽がやっぱりある。で、その失敗を横展開しなかったために、別の部署でトラブルを抑止できなかったということも起こる。(起こした!)あげくのはては、人事的な相関関係が構築できず、技術の展開が出来ないことにもなりかねない。

だから、研究結果(過去・現在を問わず)をだれでもすぐ出せるような、検索システムと充分なデータ保存装置、研究最中のくねくねした山道を歩いているときのドキュメント、社外のドキュメントとトレンドを集約するためのプロフィットセンターが必要であり、これからはこれが必須である。しかもデータを製品の履歴として、または同時にやってきた開発製品の開発履歴とと、展開事例を横串に引き抜く手法が必要である。

私は思う。物つくりにはその設計理由が何かある。ないなら「ない エイヤーだった」という理由がある。それを把握して製品を考えないと、製図者にはなれるが、設計者・生産技術を全うできない。また営業の動向を把握しそことつなげる技術の「赤い糸」が見えないという、情けない製品工場が出来上がる。
これは自動車・・・とかいうテリトリーの話ではない。工業全体にいえる言葉である。では、どの程度手を抜いてこの「データベース」が構築できるのか。少し考えていこうではないか。
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上述の(1)の特許で「牛の鼻輪にタグをつける」という特許をとった会社(但し社長の名前)がある。ここなんのつもりで権利をもっているのかというのがだれも分からなかった。社長の趣味ではという話もあった。ところが、このPAT、牛の鼻輪のタグにバーコードをつける農場管理方法の基本特許になってるそうである。
これはぶっ飛んだ。・・・というか不明を恥じるしかなかった・・・・・。

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コメント

こんにちは。先日、「キャノン特許部隊」という本を読みましたが、 関連事項が書かれてありました。企業の方からクロスライセンスなどのお話を伺ったことはありますが、私の仕事の中ではこのたぐいのことは今のところ出てこないので、なかなか実感はわいてきません。。。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334031269/ref=sr_11_1/503-1003640-2884700?ie=UTF8

投稿: KADOTA | 2006年8月25日 (金曜日) 09時12分

http://www.furutani.co.jp/cgi-bin/term.cgi?title=%83N%83%8D%83X%83%89%83C%83Z%83%93%83X
●クロスライセンス-特許関係-
 ”クロスライセンス”とは、一般に、特許権を互いにライセンス(実施権の許諾)することをいう。したがって、双方が特許権を保有していることが前提である。
 なお、一方が基本特許を保有し、他方がその改良特許を保有している場合について、特許法は以下のように規定している。
 他人の基本特許発明を利用して発明(利用発明、改良発明)をした特許権者は、基本発明の特許権者からライセンスを受けなければ、利用発明を実施できない。基本特許の権利者がライセンスに応じない場合には、特許庁長官の裁定を請求することができる。この場合、基本特許の権利者からも同時に利用特許についてのライセンスを求められるようにしている。これをクロスライセンス制度という(特許法第92条)。互いに実施権を許諾し合うことによって、円滑な解決が図れるようにしたものである。
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実例を出してもいいのですが、結構秘匿の場合があるので、古い事例を研究してみます。

投稿: デハボ1000 | 2006年8月31日 (木曜日) 19時39分

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