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ただいま文献整理中

元の日程では、見本市にもう一回行くことにしていたが、これ以上余力もないこともあり、とりあえずいままでのデータの整理を始めている。行きっぱなしでは意味がないからね。
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ところで、機械要素展示会にて。あるブースでのプレゼンに人が集まっている。少し見ていくことにした。演題はCADメーカーが提案する「設計作業効率化」。これは、仕事で少し関わったことがあるから、まったく知らない世界でもない。(けど、得意な分野ではない)
ストーリーは以下の通り(たぶん、分かりやすいからこの材料を選んだのだろう)
(1)設計することが決まった、形状の確定した製品がここにある。(事例:乗用車の運転台側のドアモジュール)
(2)普通の製造工程では、熟練した設計技術者が従来の製品を参考にして設計している。
(3)その設計に関する判断項目は3200項目ある。そしてこの項目は相互に関連している。線図によると非常に複雑で、最後のほうで、どうしても整合性がとれないと最初に戻るようなルーチンも存在する。熟練技術者たちは自分たちしかできないと、自己判断している。
(4)そこで、これらの判断内容を仔細に検討してみると、その40%は熟練性の低いオペレータでも判断できる項目であった。
(5)残りのうち50%は多少経験のある程度のオペレータで試行錯誤で作業できる。
(6)残りの10%が真の熟練設計技術者が活動できる場所である。
(7)これで90%の仕事が、熟練者以外のオペレータですばやく処理することができる。従来の熟練設計者たちは、他の作業を同時並行的におこなったり、さらに違う創造的な作業を提案、実行できる。

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雛形(この場合はドアモジュール)を取り込んで設計することから、テンプレート設計という呼び方になっている。要するにいままでの他の類似品の設計を真似することを目的として、細かい論理構成を解析してそれをプログラムとして登録し、設計の早期化、そうでなければ低コスト化していくことである。
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最近、あちこちでこの考えを見ることが多くなった。政府の後押しもあり、以前からCAD関係のみの展示会でも話に出てくることであるが、数値として出てきたのは初めてであった。また、設計の迅速化というのが従来提唱されたメリットである。今回の提案はアウトソーシングを意識して設計の人的コスト削減を謳っている。ところで、この中に大きな穴が抜けていると、私は考えているのだが、皆さんはどう見るのだろうか。
①ドアモジュールのためにそれ専用のプログラムを作る必要がある。それは「電子的な」詳細設計仕様を作るのはさっきの熟練した設計者であるが、それをプログラムに作りこむ作業はこの計算に含まれているのか。
②材料が変わったり、ちょっとした設計変更の対応はできるであろう。けれども、どこかで、従来の設計と設計思想が異なったものができてくる。そのような流用設計ができなくなるとき、誰が上のような専用プログラムをメンテナンスするのか。作りこみしすぎて埋没してしまわないか。
③熟練者はますます広い知識を、(人材の意欲にもよるが)持ち蓄える。ところが、その次に続く人材をON THE JOB トレーニングで育成する場所ができない。いつまでも熟練設計技術者はその立場が変わりにくいし、オペレータはオペレータのまんまで、しかも仕組みや思考回路の組み立てが分からないままである。これは(その人の姿勢にも拠るが)向上心を持ち得ないことになりはしないか。
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効率化・IT化という意味で避けられないことであろう。知的財産の集積という作業は属人的であるから、それを共有の財産とすることは、今後やむをえないかもしれない。但し、人材というのはすぐさま育成できないし、何よりも私考える人・僕図面を引く人と分離することになり、図面作成後の責任は誰が取れるのかなという懸念がある。
モノを創る人は、すべて使命感を持って仕事をするのが本当の形だし、ただ命令をもらってそれを受けてするというのは、(持って行く手法にもよるが)オペレータのモラール低下が出てこないか。誤解を恐れずに言えば、上下階層の2分化が進んでしまわないかと思う。

どちらにせよ、設計の雛形化は、避けられないとしてもだ、人が創る製品ということと、人を育てるというところを取り込んでマネージメントを考えないととんでもないドツボにはまるということは意識したほうがいい。
車メーカーでも、それを考えてトータルな人材を人事ローテーションで育成する志向(オールラウンドプレーヤー)を持たせるのと、専門的な技術者のラインという複線ラインを引いて計画的なところもあるし、専門的な技術者のみを養成することのみに衷心しているところも有る。
どっちがどっちとは言わないが、自動車じゃない一般の量産機械設計のエリアでどうしたらいいのかというと、前者に当る、複線的な設計検討を持つこともできる人材育成方法が必要という方ががよりよいのかなと考えるのである。

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コメント

これから熟練技術者の道を歩むには、
> (1)設計することが決まった、形状の確定した製品がここにある。
これの前の、企画や計画の段階に関与し目を配っていくことが求められる。さもなくば単純労働のオペレータ、もしくはリストラの対象。そういうことではないでしょうか。
10%の高度な「設計技術」の仕事だけ集めても、これからの時代にそんなに大量にあるとは思えないですし。

投稿: TX650 | 2006年6月27日 (火曜日) 18時31分

>10%の高度な「設計技術」の仕事だけ集めても、これからの時代にそんなに大量にあるとは思えないですし。

正直なところ私もそう考えます。ただ10%というのはあくまで宣伝文句で、実態は無理くさい。自分が関与したときは、マイナーチェンジ:20%、フルチェンジ:50%、平均40%弱と、考えていました。それは技術継承のためドキュメント管理者が必要という事由です。
いずれにせよ、前段階までのめりこんで仕事をゲットしていくという体質に変化しなきゃという提言をしていました。まあ50%の人員を新たに研究解析に費やそうという見解なのでした。

投稿: デハボ1000 | 2006年6月27日 (火曜日) 19時55分

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