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X BY WIRE

真鍋かをりさんのBLOGに、こんなのがあったよし(4月の記載)。
---引用---
他人の話を盗み聞きするのは良くないのですが...自分と違う職種の人の話はやはり興味があるのでそーっと聞き耳を立ててみたのです。
会社帰りの男女って、どんな話をするのかな??ワクワク(*’▽’)すると...
 男 「ねえ、君の会社のエレベーター、どこ製??」
ええええええええええ!!Σ( ̄□ ̄;その情報、知りたい!!!!?知ってどうすんの!!?そしてOLも把握してんの!?それ?
 女 「○○社製」
把握してるーーーー!!ヽ(゜ロ゜;)ノ
 男 「やっぱ違うな~。天下の××商事様は。」
しかもランクとかあるんだ!!??
----------引用終了----
この後男はOLを口説きにかかるようです・・・・orz

最近の、エレベータの日本国内での市場占有率は
三菱>日立>東芝>オーチス>フジテック・・・・となってるそうです。もちろん横浜には地場に強いメーカーもありますし、ここは相鉄線から試験設備が見えます。フジテックも東海道線脇に実験装置の塔が見えますね。
なお、この順位中には油圧エレベータも含みますし、駅に設置しているものにはリフト量、家屋の場合は騒音の問題から油圧エレベータもありますから、全部が全部ワイヤーで吊っているわけではないですが、もしワイヤーが切れてしまったら・・・ということを気にすることって、あなたあります?。
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高2男子、挟まれ死亡=エレベーター、突然上昇-業務上過失致死で捜査・警視庁(時事通信)
(6月)3日午後7時20分ごろ、東京都港区芝のマンション「シティハイツ竹芝」(23階建て)で、都立高校2年市川大輔さん(16)が自宅のある12階でエレベーターを降りようとしたところ、エレベーターが突然、動きだし、体を天井との間に挟まれた。乗っていた女性(57)が緊急ボタンで防災センターに通報。市川さんは約50分後、救急隊に救出され、病院に運ばれたが、頭蓋(ずがい)骨骨折などで死亡が確認された。
 警視庁捜査1課と三田署はエレベーターが故障して異常な動きをした可能性もあるとみて、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。 
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謹んでお悔やみ申し上げます。
また事故の中身はわかりませんが、故障が頻発していたそうで、位置制御の不都合なのかもしれません。まあ早い判断は禁物です。ゆっくり考えて検討してほしいものです。
さて、この関係もあってエレベータには落下防止装置というものが必ずあります。
----------引用----------------
1854年ニューヨーク、クリスタルパレス。大勢の人々の頭上に一人の男性が乗ったエレベーターのかごが設置されていました。男性が乗っているかごはロープだけで吊り下げられていました。まさに命綱であるそのロープ切断された瞬間、人々は叫び声をあげました。 かごはわずかに降下しましたが、次の瞬間にはぴたりと停止していました。彼の革新的な発明である新型かご落下防止装置(セフティ)は見事にその性能を発揮したのです。彼は大勢の見物人に向かって叫びました。「安全です!皆さん、まったく安全です」
(オーチス社のHP/日本語版より)( http://www.otis.com )
-----------引用終了------------
で、これはこんな安全装置、どんなのでしょうか。
-----------引用---------------
私が学生アルバイトをしていた時ですから、30年以上前のことです。資材を運搬するために使っていたエレベーターを吊り下げるフックは、エレベーターの箱に固定されていませんでした。フックはリンク(機構学)の先端に取り付けられ可動式でした。
 もしフックを吊り下げているチェーンが切れたら、リンクは回転し(角度を変え)、フック取り付け側の反対方向のブレーキシューがレールに接触します。ここに摩擦力が発生すると、さらに摩擦力が増大するようにモーメントによる圧力を発生するような機構になっていました。(http://doraneco.com/physics/bbs/log/log99.html)
-----------引用終了-------------
これは、シューがレールに接触する形もありますが、原型はシューとレールにラチェット形状の歯車がきってあったらしいです。ますます安全率が増大します。まあエレベータの側面壁を両手で突っ張って止まり、箱の自重でさらに横に突っ張ろうとする構造です。(セルフロック機構の一種です。すでに特許権は切れており各社使えます。)
今でもオーチス式安全装置という硬い名前です。要するに映画みたいに、ワイヤーを切ったり自由落下させようとしても、メカニカルな構造で本質安全が確保できるように機構が構成されています。さらに、何らかの意図的な工作で安全装置が外されていたとしても、エレベーターの真下にはハムストリングスというバネ、及び油圧ダンパーがあるので乗客の致命傷は避けられるはずなのです。(だからエレベータが自由落下するような映画の場面はないんですね。逆に今回のような事象はありうるのです。)
参考までにこんなのが載っています。
1835年 イギリスで蒸気機関を使用したエレベータが発明される。
1845年 ウィリアム・トンプソンが水圧式エレベータを発明。
1852年 エリーシャ・オーチスがワイヤが切れた時の非常停止装置を発明。
    翌年オーチスはエレベータの製造会社 Otis Brothers & Company設立 (
http://www.otis.com )
1853年 フロスト・ストラトがワイヤの相手側にカウンタバランスを付けることを考案。大重量用エレベータの道が開かれる。
1857年 上記オーチスが初の人間用エレベータを開発。
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ところで、「エレベーターの話で盛り上がっていましたが、今のエレベーターにはそんなハイテク装置が装備されているのですか。」という声がありました。うっかりすると、電気制御中心に考えると、えらいものあるなあとなりますでしょうな。というか電源が切れたり暴走したりするときに、それが電気的に補完できるかを信用しようとしても、(信号の保持用電池まであっても、それが外れていたとする)本質安全という意味合いでは、電気的制御を最終的な制御要素にすることは、リスクがあります。
一寸前まで、自動車のブレーキはペダルで踏まれた力をリンクで伝えて制動していました。(自転車と同じです。)実際にはエンジンの吸気を利用したブレーキブースターというシステム(これも機械的なシステムが絡みます。倍力装置ですね。)がバックアップとして付きますが、人間のペダルに対する作動感覚からはずれることはあまりないとおもいます。自動車運転の楽しさという意味でも、あんまり面白くないでしょう。したがって安全確保の意味を考えると「機構」でシステムを構築するのが確実であると考えていいと思います。(エンジンブレーキというのもありますが、これはまた別ですね)
ただ、前に障害物があるというような信号がセンサーでとられ、人間の能力を補完するようになる。衛星からの信号で自動車を制御する・・・・・・となると、この信号をブレーキタイミングにあわせる制御機構は変わらざるを得ません。そのような細やかな制御を補完するのには一連の電子制御装置が使えるというのは非常に便利なのです。
さらに、燃料電池システムにしても、ハイブリッドシステムにしても、電気的制御の立場はますます持って有利に働く状態であります。したがって電気的制御を用いて、旧来のいろんな制御を電気的な機構で補完していくのは、X BY WIREと呼ばれています。このトレンドはとめることはできないとおもいます。だったらどうすればいいか。
メカニックな制御・操作は確実・安全と考えていますが、京福電車のブレーキ事故のように機械要素(連環棒溶接部)の破損というのもあります。(あの場合は車両の足回りの原設計が大正年代のものを直しながら使っており、補完できない設計になっていた。)バックアップを兼ね、かつそうもいかない細かい制御が市場やリスク回避のため求められているいま、電子式(X BY WIRE)に対し機械式がどう補完するべきか、コラボレーションとテリトリーを考えていくべきなのでしょう。

ここまで、自動車について書いてきましたが、別に自動車だけでの論議ではありません。産業機械もそうであるしすべてのマシンはそうなっていくでしょう。いままでのFMEAなどの分析機能をより強くした技法できることが次世代を作るとおもいます。但し、電気・電子制御のみが最善・・・とか機械によるリンク式が最適という固定概念は除いてほしいなあ。もしかすると、次世代のロボット(第2世代)はこのよう相互補完の緊密化により実現できるという理論が普遍的に構築できれば幸せです。
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なお、上のオーチス式安全装置は機構学の本でもほとんど出てこないのです。私は会社にあった古い本で知っていたのですが、この本が改題して復刊されたということです。
メカニズムの事典-機械の素・改題縮刷版 伊藤編 理工学社刊 ISBN:4844520121
元々は明治時代の本を、改訂したものです。これを同僚の机の上においておくだけで、興味わくわくとなること間違いなし(であるべきことを希望)。興味のある方は是非どうぞ。

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コメント

IR上の問題もあることもあり、かつ現段階ではこれしかかけないとはおもいます。
-----------引用-------
東京都港区「シティハイツ竹芝」エレベーターでの事故について

この度の事故にあたり、被害者の方のご冥福をお祈り申し上げますとともにご遺族の方々には心より哀悼の意を表します。
事故が起こった経緯につきましては現在警視庁が捜査をしている最中でございますので当社からのコメントは差し控えさせていただきます。
本件に関するお問い合わせは、下記宛てご連絡くださいますよう謹んでお願い申し上げます。

<お問い合わせ先>
シンドラーエレベータ株式会社
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投稿: デハボ1000 | 2006年6月 6日 (火曜日) 10時20分

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受信: 2006年6月 6日 (火曜日) 12時33分

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