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耐震偽装の一連報道

同じような、報道があちこちでされている。問題意識とか詐欺だとかいうのは勝手であるが、時の運とか、悪霊とか言う言葉がついてくるほど、本件はある意味つらくてならない。

まず、建築士については、この方のブログ(http://lawtool.kir.jp/mt2/mt-tb.cgi/1174)にはこのような要旨を述べられている。
‐‐‐引用---
 特に、中心人物の一人である姉歯元建築士の逮捕事実ですが、どうも無資格者に名義を貸して建築物の設計又は工事監理をさせた事実のようですので、
建築士法35条
次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一  一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を受けないで、それぞれその業務を行う目的で一級建築士、二級建築士又は木造建築士の名称を用いた者
二  虚偽又は不正の事実に基づいて一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を受けた者
三  第三条から第三条の三までの規定に違反して、建築物の設計又は工事監理をした者
四  第十条第一項の規定による業務停止命令に違反した者
四の二  虚偽又は不正の事実に基づいて第二十三条の三第一項の規定による登録を受けた者
四の三  第二十三条の九第一項又は第二項の規定に違反した者
五  第二十四条第一項の規定に違反した建築士事務所の開設者
六  第二十六条第二項の規定による建築士事務所の閉鎖命令に違反した者
七  第三十三条の規定に違反して、事前に試験問題を漏らした者
の三号違反の幇助
のようです。
 もともとの法定刑が、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金ですから、その幇助、つまり手助けした者の刑は、6か月以下又は15万円以下の罰金になってしまいます。
 彼のやったこと、そしてその結果に比べて、あまりにも軽すぎます。
 しかし、刑事司法の世界には罪刑法定主義という大原則がありますから、処罰すべき法律がない以上どうしようもありません。以前に、いくつかの罪名の可能性を考えてみましたが、現実論としては、いまのところぴったりする罪名が見当たりません。詐欺か何かの幇助にはなるかもしれません。
建築士法は、建築士が強度偽装をするなど考えてもいなかったようです。
強度不足の建物が建築された場合、場合によっては多数の人命が失われる可能性があるにもかかわらず、処罰根拠がないというのは、今となっては救いがたい立法の手抜きのように思われます。
----中断----
いままでこのような資格は、そのような収入を得ることができる技能・技術・人格という前提が「倫理上で」すでに国民の間にあったということです。しかし倫理が形成しにくいところに対して設定されていくというのが「法律論」での考え方、また法工学の見方であるのです。固定された倫理感が形成されにくい多民族国家などでは、たとえばこの手の資格はたとえば再教育を10年ごとにおこなうなどの条件設定を加味している場合がおおいというのが反面教師としてある。したがって立法の手抜きでなく、立法のときの社会倫理と変わってしまったというのを当方は提唱したい。
‐‐‐‐続く-----
 今朝のワイドショーで、某弁護士(失礼ながら名前を失念しました)が、公共危険犯的な重罰規定の立法措置が必要であると述べられていましたが、同感です。
----終了----
最後の見解については、公共的危険という定義をあいまいにすると「公共」のせりふが一人歩きする懸念もありますので、事を性急に荒立てるのはよくなさそう。この公判がおわっても遅くはないはなし。
さて上で私がいった倫理感というもの自体ですが、国民の意思の地盤が液状化現象を起こしているということを認識する必要が、ついにおこってしまったということなのでしょう。昔なら「教育勅語」なりで、事のよしあしが一元的倫理感で判断されていたものが、価値観の多様化というかスクランブル化により効かなくなった。「5つの大切、10の反省」というのが田中内閣のときだされて、失笑をかっていたのを思い出すが、価値観の共有というのがこの20何年前ですら、すでに難しくなってきた反動と解釈されるのではないかとおもう。
もう一つこの建築士の逮捕特有の事情があって、名義貸し、である。建築士以外のものが構造計算書を作成することは差し支えない。但し最後の最後でそれを照査確認するということが(この規模の建築物ならば)1級建築士の使命である。聞くと最初の何回かは照査していたのだが、そのうち「どうも大丈夫みたいだぞ」ということになって、印鑑を作らせてしまったということが問題である。

実は、私も自営を始めて、決して生計が順調とはいっていない。(その意味では妻子に迷惑かけてるとは思っている)それを見かけて、プラント設計で生計を立てていたある人がいわく。
甲「名義貸しという手はないのかね。」
デ「あのねえ。実績がないしそれをやっちゃうこと自体が、倫理概念の欠如ですぜ。」
甲「そうだよ。けどプラントの場合、そもそも建築士自体に金をまわすことがあまりないし、完全なくみ上げ、現物あわせだからね。(いまはプレカットするからそこまで雑ではない)。だから計算の仕様も作れないということで、概略設計で係数かけてというので見逃すところがあったんだわ。だから、結果的に事務所に頼んでも事務所の中で印鑑を融通するようなことしかしなかったんだよな。まあ機械本体の場合はそういうのはないのだろうな。」
デ「外に頼むということはあるかもしれないし、否定はしない。けど最終承認は絶対本人が追認しなければならない。だってぶっ壊れた責任はだれが取る・・・かといったらおれだぜ。民事でも、刑事でも。」

どうも建築の世界では構造計算が独自な世界になっていて、こういう行為は事実上あったらしい。けど、同じ事務所の中でのやり取りなら、照査・確認がまあおこなわれることは自明であるということである。こりゃ本格的にするなら、指紋認証でもとらないとならない。やり切れるか・・・というと倫理的な(但し地盤が液状化しかかった倫理感ですぞ)ところに依存することになる。そこに梁を通すのが法律なのだが、建築技術は進化する。そこに追いつく法律改正ってあるのかな。
一例とすると、CNG自動車用充填所の設置にともない、高圧ガス取締法→高圧ガス保安法改訂についてもかなり難産している経緯を思い出すにつれ、非常に論議と対外的整合性(他国部品の排除を意図しないとした論理的説得)、国際基準との整合性検証など、山のような議事録が積み重ねられるという景色が目に浮かぶ。
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こんなご意見もありましたねhttp://fukucat.pussycat.jp/danna/mt-tb.cgi/51
---引用-----
●耐震データ偽装問題、姉歯元建築士ら8人逮捕!
耐震強度データ偽装問題で、姉歯元1級建築士や木村建設元社長の木村氏ら8名が、今朝、警視庁と神奈川・千葉両県警の合同捜査本部によって逮捕されました。
逮捕の直接容疑は次の通りです。
 ・木村盛好氏他3名:建設業法違反容疑(決算の虚偽報告)
 ・姉歯秀次氏他1名:建築士法違反容疑(名義貸し)
 ・イーホームズ社長の藤田東吾容疑者氏他1名:電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑
今回は、耐震強度偽装という建築基準法違反容疑での強制捜査において、財務諸表や勘定元帳、施工業者や設計者などへの事情聴取を進めてきた過程で、それぞれの確実に検挙可能な法令違反が分かったということで、
いわゆる「別件逮捕」にあたります。
‐‐‐‐‐‐‐‐中断------
別件逮捕ということ自体にかなり問題があります。たたいたらちょうどよく埃が出てきたので、立件したということになるだけなんです。これは東洋だから通るルールでしょうな。(苦笑)
--------続く-------
本命は耐震強度偽装することで顧客を騙した詐欺容疑での立件になると思います。ただ、私は詐欺容疑の立件だけでは不十分ではないかと考えています。今回は、マンションやホテル建築というプロジェクトにおける違法行為であり、各社もしくは各容疑者が個別に実行した行為ではなく、組織的な行為です。そうなると、組織犯罪処罰法違反での立件が可能ではないかと思います。同法における組織を「ジョイントベンチャー(JV)」と解釈できれば、当然、組織犯罪処罰法で規定する組織的な詐欺に適用できると思われます。
‐‐‐‐‐‐‐‐終了------
ジョイントベンチャーという解釈はどこが川上でどこが川下かというのがあるから、そこが確立できなければ難しいとは思いますけど、傾聴には値する解釈と思います。ちなみに某ゼネコンの人に聞いた話ですが、看板に「A建設・B組・C土木・D工務店」と書いてあった場合、その設計などの指揮系統の「芯を取る」のはA建設であるということで、これをうっかり「B組・A建設・C土木・D工務店」なんて口にすれば顰蹙ものなんだそうです。各ゼネコンの下にさらに樹状にいろんな工事施工会社とか設備会社、いろんな会社がつらなるというわけで、結構ナーバスなのですよ。これをみると、人的依存度が非常に高く、かつ専門化しているため、人事的な点を素人目に見てもつらいようですね。建設というものも土木でもそうなのかもしれませんが、個人的な業務・一人親方的要素が強いということは、この事業に特有なもので、それが、設計の脱法行為(偽造とあえて言いません)を見抜けない、しらない、ということにつながるのでしょうが、人的能力を超えたところがあります。全体を見るのはだれか必要なのだがそれが誰でなんなのか、と質問するに、施工管理技師なのか、建築士なのか、役所なのか、検査会社なのか、はたまた技術士なのかというシステム的な示唆があることがわかります。
---------続く-------
また、私はもう一つの「違法行為」を見逃してはならないと思います。これは行政の「違法行為」です。適切な監督責任を果たせなかったのは、処罰対象にはなりませんが、行政の怠慢であり、法の努力規定・責務規定を無視した「違法行為」とも受け取れます。
最終チェックのチェックポイントである行政がめくら判を押していたということ、これは行政の怠慢以外の何者でもありません。刑事責任の追及は困難かもしれませんが、責任追及していただきたいと考えています。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐終了-------
さあて、ここについてはその検査などのシステム的問題があるのです。外国での事例が報告されていないことを考えていると諸外国での事例がないのでしょう。いくつか買い込み調べても、結果的にはかのテェルノブイリ原発事故ぐらいしかないのです。前例主義の強い官僚の作文ではなく、牽引車が必要だ・・・というのも強引だし。どこを中庸で治めるか。

最後にいたるのは、各人が各人の職責を果たす使命感 なのであると私は考える。しかしその職責という倫理感が一体にならないし、なりえないことが現実にある。このことが実はことさらに問題を難しくしていると思う。しかも職責というのと「自分の仕事はこれだけだぞ」という囲い込みは違う。これが国際的な概念も共通化されていない。まだまだ乗り越えるべき、そしてそれを紐を解くがごとく緩やかになることができない「万里の長城」が横たわっている瞑想が、私を今、束縛している。

それと、資本原理というものが特異な技能を迷走させたところが見える。これは今書こうとしても書けないなあ。私自身よく考えて書き落としたい。

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コメント

だから教育基本法を改正して教育勅語を復活させ愛国心を、そして憲法を改正し徴兵制で青少年の精神を…という理屈の展開だけには反対意志を表明しておきたいと思います。
戦前戦中でも凶悪犯罪も背信行為も多数存在しましたから。

投稿: TX650 | 2006年4月29日 (土曜日) 02時26分

>どこを中庸で治めるか。
という論旨になってしまうところに今、私の苦悩があります。

答えを作る作業が、各人に求められる時代になってきました。しかし、その心は、本当はそれは相互扶助自体まで否定しなければならぬことですよね。・・・という変な結論になってしまう。

投稿: デハボ1000 | 2006年4月29日 (土曜日) 02時59分

一応、わからない人もいると思うので、揚げておきます。
★5つの大切
人間・自然・時間・モノ・国や社会を大切にしよう
★10の反省
①友達と仲良くしただろうか
②お年よりに親切だったろうか
③弱いものいじめをしなかったろうか
④生き物や草花を大事にしただろうか
⑤約束は守っただろうか
⑥交通ルールは守っただろうか、
⑦親や先生など、ひとの意見をよく聞いただろうか
⑧食べ物に好き嫌いを言わなかっただろうか
⑨ひとに迷惑をかけなかっただろうか
⑩正しいことに勇気をもって行動しただろうか

あんたに言われる筋合いがないという意見になりますね。

投稿: デハボ1000 | 2006年4月29日 (土曜日) 09時41分

④、⑦あたりに特に問題があったような気がしますね彼の場合。
私は社会の倫理感低下の問題は、三浦展氏流に階層の分化・固定化に原因を求めた方がいいのではないかと思っています。じゃあどういう対策をすればいいか?というと頭をかかえてしまいますが、少なくとも教育基本法改正→→→憲法改正ではありますまい。

投稿: TX650 | 2006年4月29日 (土曜日) 12時24分

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