« レトロな町を歩こう | トップページ | Shall We ダンス? »

図面を書くこと

機械屋さんは図面が共通言語である。図面がすべてを語らなければならない。・・とかいって、完璧な図面というのはやっぱり難しいし、組みあがらない、寸法公差や、組み付けのときの寸法のせりも考えなければならない。帰結するところ図面がやっぱりすべてである。それが、製品の品質・価格・歩留まりだって左右する。
------------------- 
ということがわかっていても、なかなか完璧を期するのが難しいところはありますよね。だから図面を出す時は、査読者の責任てのは重大で、かつ、この製品はどのように作られるかをシミュレートして力量のわかる協力工場に作成依頼をしなければならないのですね。原価や工程を短くして、早く作ってもらうように、そのすり合わせだけをすればいいというのではないのです。
こういうことは、結構みなご存知でしょうし、その計画を1箇所をミスったところが、致命傷になるところもあるわけです。これは、図面作成とその運用方法のコラボレーションがうまく言ってないということに他なりません。すなわち、機械においても厳然と計画系と構造系の割振りが必要なのですよ。意外と語られていません。もしかしたら、一度まとめてみる活動をすることが、複雑系の製品化の場合は必要ではないかと思います。ただ、困ったことに、問題点抽出用の図面の作り方と製品構成を確立するための図面の作り方とはターゲット違いで、実はまったく異なるわけであって、これを理解していただくのは、「機械設計の順序」自体ををわかってもらうことです。これはなかなか苦労することです。
-------------------
私の学生時代、機械系の3学科はそれぞれ卒業製図という科目があった。もちろん目標とするものは異なる、ボイラーだったり、避難装置だったり、圧縮機だったりするわけだが、当時の3学科での大きい差はこれであった。
A:製図道具はX-Y直交ドラフター
B:製図道具はパンタグラフと通称されるアーム型の製図装置
C:製図道具はT定規
なんでー、うちだけT定規なのだろというと、助教授いわく「どんなところでも、現場でも図面を書かなければならないからという考え方による」そうな。
-------------------
ところが、そのような切羽詰まったときにT定規を「機械製造業」でつかうかというと、なんとポンチ絵で定規も使わない図面を出す事だってあるのです。(もちろんN/S)プラント設計ではT定規はやっぱり使うこともあったようですが、普通ならやっぱりつかわないようです。仕事の作図検討は、やっぱりドラフターが中心でした。
とはいえぼちぼち手書き図面の時代は終わりを告げていました。たなぼたで会社の設計部署にCATIAが入ってきて(今で言うCATIA-V3というクラスでしょうか)トレーサー職は順次CADオペレータに転換していきました。期せずして、私の担当製品は、その部署の最後の手書き図面による出図となりました。でも当時は高価なUNIXマシンを使っていたので、全員が図面を書こうとしても端末が足りないということもありました。
当時のマシンの構成や作業者の技量では、干渉検討は出来ても、「図面上は出来上がるけど、組みつけようとすると工具が入らない」とかいう問題もありました。今なら手や工具をツールとして登録しておき、それを組めばわかることなのです。ただ、現場で組めないということが先にたってしまうため、CAD(特に3D)は万能ではないということはわかっているようでした。自分自身はその段階で製品改良の職務に移動して、それは図面来歴の問題から手書き図面での確認・訂正・改訂出図に終始した上、新たな図面に関しても、自分ではCADは扱わないで実験業務と、同僚の図面を監査する立場に回ったため、CADの図面はあまりできませんでした。
----------------------
で、職場が研究施設にかわると、こちらはドラフターがメインでした。実は会社の部署によってCAD導入手法やシステムがことなるため、決めかねていたのです。CAEのモデルつくりでは手でメッシュ切りしたりしてましたが、(今やそんなことしませんよね)、拘束条件も試行錯誤で決めていましたし、図面とリンクしたものではなかったし、移行時期としてはしかたがないものだったのでしょう。
とはいえ、社内の大方針として、図面はCADたるべしということは浸透しつつありました。一方端末は足りない。システムも統合できない。(また製品部門と図面のファイルを共有化してしまうと、研究部署で図面を訂正するという逆の考え方につながり、製品保障上認めにくいものです。)
一方このころから、大学でCAD図面による設計を習ってきた新人が多く入ってきました。それはそれでいいのですが、困ったことにすごーく小さい部品を5倍尺で書いたりする人間がいることに気が付いたのです。
手書きで書く場合、0.5Rとか簡単に書いても事実上かけないというか、管理に苦労するという意味合いは、1倍で書いている以上わかるんですよね。だから発注するときに問題点は大丈夫かということを工程管理者とひざをつめて話せる。ところがCADだけで考えていくと、そのためにたとえば旋盤にどうチャッキングするかというイメージを考えずに、図上で書けるから、「出来るんだ」という間違った主張につながりやすいのです。面白いのは、手書き図面で一度でも書いた人にはその点がわかるらしいが、そうじゃない人には、難しい試練なのだってこと。
私は「新人の教育上に最低限1台はドラフターを残してください。」という懇願をしましたが、それでは節操がない、社内のTOPを切ってCAD化するべきという大勢に押し切られました。けど、研究所で製図する図面てのは基本的には要素試作だったり、試験的要素を詰め込んだり計測用のセンサーを埋めてから削るのもあったりして、あんまり流用性がないんですよね。またマナーの悪い設計部署によっては、自分の検討図面を名前だけ変えて量産図面にするというひどいのもいたりするので、データをそのまま流せないという悩みもある。
------------------------------------------
そういうわけで、ある程度触れ、出図できるCADはこの当時は、
CATIA-V4 をちょっとかじっただけ
AUTOCAD(これはアイソメから機械部品まで沢山書いた・汎用的)
図脳RAPID(軽いので自前のPCでかける・時々飛ぶ)

ということになります。CATIAはともかくメインは2Dですね。
ところが、3Dとなると作図には造形という観念が必要になるんですよね。この頭の使い方はなかなか付いていけなかった。どれを押し出すとか、どこを削るために仮想の物体を起こして差演算をするとかいう考え方は、なかなか慣れるまでに(思い出すまでに)時間がかかります。困ったことに平面や曲面の造成の概念も、CADを創った国によって、「私、造形する人」「私、検査する人」「私、雛形を作る人」というような囲い込み概念が暗黙のうちにあるらしく、もらったデータが妙にこっていたりすることもあるし、品質的にちょっと・・と突っ込みたくなるもの(面離れとか)もあるし、難しいですね。
CATIA-V5は何とかの小僧クラスで勉強しましたが、完璧には出来ず、一方国産の専用CADであるCADCEUSは実際図面まで書きはじめたが、完全にはマスター出来ずじまいでした。ただ、図面の検査などをしていた経験がこのときには大きく役立ったですね。皆さんの図面の最終検査を私がしていたから、つぼだけは突いていたみたいですから。
ところが、あるときSOLIDWORKSで設計してくれということになり、CATIAと同じダッソー社の製品だから、拡張性はともかく扱いが一緒だろうと思って承諾し、触ってみたところ「あら、こりゃだめだ」2D図面を起こして、それを3D展開する方法に対しては非常に好適だが、頭の中で3Dで造形するということが、こんなにつらいとは思わなかった。失敗です。
この時は、担当の人が2D図面が読めないということだったので、2D(AUTOCAD)で作って、最終的に3Dに48時間かかってトランスしてなんとかしましたが・・・。SOLIDWORKSは基板のレイアウトなんかでは結構使うらしいのですが。2Dで図面を書く専門家が新たに3D図面を起こす訓練をすると普通週5日8時間稼動で1月(約22日)かかるとかいます。そこで48時間でなんとかやっつけたのは、10数年前の経験がかろうじて残っていたということですかね。
思い起こせば、学生さんが書いている図面を指導するときに「どうやってものを創るのか」と「モデル化は製品化のために使うもので絵を書くという最終目的ではない(これ学生さんに結構間違って覚えられているふしあり)」ということを訴えていく必要を、ほんと生徒さんを前にして肌で感じたことがありました。
------------------------
最近はフリーソフトで品質のいいCADが出てきてました。図面の数はおおいけど、流用設計が多い土木・建築については国土交通省でJW_CADというのを使って標準化を図ろうとしているらしい。試しに使ってみたけど、これ軽いわ。フリーソフトに目をつけたというのはいいことですね。けどこれは2Dの話。3Dのフリーソフト・シェアソフトは聞かない。私も、スキル維持という観点から3DCADを使う必要が・・・と思うのですが・・・コスト的には3D図脳RABITぐらいしかないですね。さあこまった。
CAD-CAMの問題もあるんですけど、それはまた別の機会に。

|

« レトロな町を歩こう | トップページ | Shall We ダンス? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/9233089

この記事へのトラックバック一覧です: 図面を書くこと:

« レトロな町を歩こう | トップページ | Shall We ダンス? »